−医学の歴史に触れてみませんか−
文・ 片 岡 勝 子(Kataoka, Katsuko)
医学資料館館長
(医学部教授)
広島大学医学部は、旧陸軍兵器補給廠の建物を校舎として使っていたが、昭和五十年代に入ると十一号館(大正四年建造)を残すのみとなった。懐かしい赤レンガの学舎を残そうという同窓会の支援により、昭和五十三年、医学部創立三十周年記念事業の一環としてこれを改装し、国立大学医学部最初の医学資料館が設置された。ところが、平成十年、附属病院病棟の建て替えのため、この建物も存続できなくなった。旧資料館は、設立の経緯からも、建築学的にも、原爆被爆建物であり被災者の臨時救護所となった歴史的意義からも由緒ある建物だったことから、新医学資料館は旧館と同じ外観とし、ほとんど全ての石材とレンガの一部(玄関周りの外壁に)を再利用して、平成十一年十月に竣工、平成十二年三月八日に開館した。
医学資料館は、学問や文化の歴史的基盤に支えられて現在の医学があるという認識と、そこに受け継がれている医の倫理を自覚した上で、医学教育や研究が行われなければならないという確信のもとに、世界・日本・広島・広島大学の医学の歴史を示す種々の資料を収集・展示している。約二百年前に広島の医師が作った世界初の木製人骨模型や江戸時代に杉田玄白らが翻訳した「解体新書」の初版本など約五百点、和洋の医学書等約三千六百冊を収蔵。
医師や医学研究者のみならず、多くの人たちにも利用されるよう念願している。
被爆したれんがなどを再利用して建築した医学資料館
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館内の展示室
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杉田玄白らが翻訳した「解体新書」
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マルピギーの「顕微鏡図譜」
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エウスタキオ「解剖図譜」
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(案内)
○開館時間:10:00〜16:00
○休館日:
土・日,祝日,
年末年始(12月29日〜1月3日)
※その他,臨時に休館することがあります。
○所在地:広島市南区霞1−2−3
TEL (082)257−5099
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