文・高橋 超
( TAKAHASHI, Susumu )
理事・副学長(教育・学生担当)


ボランティア活動室において、支援学生が視覚障害者用の点訳作業中

 昨年からスタートした文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム(Good Practice:特色GP)」につきましては、障害学生就学支援部会から申請されました「高等教育のユニバーサルデザイン化―総合大学における障害学生就学支援―」が審査の結果、採択されました。本取組の概要をご紹介させていただきます。
 「高等教育のユニバーサルデザイン化」とは、すべての学生に質の高い同一の教育を保障し、自立と共存が可能となる学習環境を整備することです。その際、障害の有無にかかわらず、成績評価の基準を変えることなく、情報の伝達方法を障害にあわせて工夫することが重要です。この目的を達成するために、本学では施設設備のバリアを取り除くことに加えて、以下のような取組を平成九年度から全学体制で行ってきました。@入学前から卒業までの一貫した支援、A学生・教職員一体型の授業支援、B日常的支援のための拠点(ボランティア活動室)の設置、C支援者育成のための授業開設(概論と実習)、D全学体制の構築(障害学生就学問題検討部会の設置と大学規定の制定)などです。
 このような取組は、随時、多様な学生に対応でき、情報伝達支援の質や精度が高く、多数の支援者が恒常的に確保でき、よりわかりやすい授業の実施や開発を可能にしているという点で特色があり、社会全体のユニバーサルデザイン化に貢献できる人材の育成に役立つものです。
 本取組が採択された理由は、全学体制の下で着実な成果を上げてきたということですが、教職員はもとより、積極的に参画していただいた多くの学生諸君の努力の結果と思います。今後は、取組のさらなる充実を図るとともに、地域における大学や短期大学等との連携協力による「障害学生支援ネットワーク体制づくり」、さらにはグローバルスタンダード化を推進していく必要があります。


広大フォーラム2004年10月号 目次に戻る