文・金原 達夫
( KIMBARA,Tatsuo ) 大学院国際協力研究科副研究科長 |
十周年を迎える 大学院国際協力研究科(IDEC:アイデック)は、一九九四年にスタートして今年で十周年になります。本研究科は、本年四月現在二百六十四人の大学院生が在籍し、そのうち、五〇・八%は留学生です。しかも、海外三十一カ国から受け入れています。このようにIDECは、広島大学の教育国際化において重要な役割を担い、他に代え難い役割を果たしています。特に文理融合型である点は国際協力系大学院として全国でも珍しく、その融合によって広範かつ実践的な国際協力に取り組み、環境協力、教育協力、平和協力を中心とした教育と研究が行われています。創設以来十年の間に、本研究科の活動はめざましく社会的にも高く評価されてきています。二十一世紀COEプログラムに採択、JICAとの連携、ユネスコ事業の実施などがそれを物語っています。 二十一世紀COEと環境協力 環境協力については、昨年度、文部科学省の二十一世紀COE(研究拠点)プログラムとして認定され、環境に関する研究科全体の活動が統合的に展開されています。そして、環境経済、生態環境、資源経済、交通環境などを中心に、国際協力機構(旧国際協力事業団:JICA)、日本貿易振興機構、国際協力銀行などとの連携・調査活動が活発に行われています。また、開発と環境に関連する社会制度の改革、資源エネルギー、開発金融などについて実践的な国際協力および研究が行われています。 教育協力 教育協力は、ユネスコなどの個別プロジェクトに本研究科のスタッフが参加して活動を行ってきましたが、IDECとしては本誌八月号にも紹介されたザンビアプログラム、あるいはバングラデシュでの理数科教育プログラムがあり、ユネスコのアジア・アペイドセミナーなどがあります。ザンビアプログラムは、博士課程前期の学生が二年間ザンビアに派遣されて現地で理数科教員として活動するとともに、研修を行った経験を元に、修士論文を作成して修了するというものです。アフリカ諸国との関係も年々強化され、ケニア、ガーナ、マラウイ、南アフリカなどからの留学生が本研究科に学んでいます。 平和協力は、広島という固有性に立脚して平和研究・教育が推進されています。特に国連訓練調査研修所(UNITAR)広島事務所とは協力的な関係を築いています。 十周年事業の企画 IDECは、今秋、十周年事業として、下記の事業を予定しています。 |
◆小和田恆氏による特別講演 10月27日(水)11:00〜12:30 場所:サタケメモリアルホール 国際司法裁判所判事・広島大学学術顧問の小和田恆氏に「国際協力の課題―若者に期待すること―」と題して講演をしていただきます。<参加無料・申し込み不要> ◆記念式典・記念講演・祝賀会 10月28日(木) 場所:サタケメモリアルホール 国連訓練調査研修所(UNITAR)広島事務所長N.アジミ氏に「紛争後復興の課題:我々は過去10年に何を学んだか」と題して記念講演をしていただきます(同時通訳付き)。<参加無料・申し込み不要> また、民族舞踊をまじえた留学生によるお国紹介も予定しています。 お国紹介 13:00〜14:20 記念講演 14:30〜15:30 記念式典 16:00〜17:00 ◆国際シンポジウム 11月3日(水) 場所:広島大学北京研究センター(北京の首都師範大学内) 「社会的環境管理能力の形成と日中協力」と題し、21世紀COEプログラム関連のシンポジウムとして開催します。 ◆ユネスコ・アペイドセミナー 11月8日(月)〜13日(土) 場所:大学院国際協力研究科 ユネスコを通した開発途上国への教育協力として開催します。本学はユネスコが推進するアジア・太平洋地域教育開発計画(APEID)の協同センターです。 ◆国際協力セミナー 10月22日(金)15:00〜 場所:大学会館 国際協力とは何か、どのような活動をするのかなどについて、実際に国際協力活動に参加した修了生が自身の体験をもとに話し合います。国際協力に関心のある学生への参加案内を致します。 ◆公開講座 10月21日〜11月25日 毎週木曜日18:00〜 場所:ひろしま国際センター 「21世紀のアジア−文化の多様性と展望−」と題する公開講座を行います。 問い合わせ先 国際協力研究科 Tel:082−424−6906 |