広島大学の社会連携
「高度生涯学習支援システム」
―コミュニティパートナーシップ構築事業― 
文・石井 光雄
( ISHII, Mitsuo )
情報メディア
教育研究センター教授

プロジェクトの体制
 地域貢献特別支援事業として平成十四年から始まった六事業のうちの一つです。本プロジェクトは、広島県、広島市、東広島市の生涯学習課から委員を迎え、教育学研究科、高等教育研究開発センター、文学研究科、理学研究科、医歯薬学総合研究科、図書館、情報メディア教育研究センターの研究者が集まって、生涯学習モデルプログラムを実施したり、大学の知的情報・資料を電子情報として提供し生涯学習社会づくりのために活動しています。

コミュニティパートナーシップ構築事業とは
 生涯学習は地域の活性化に貢献できる人を育てることでもあるという考えのもとで、住民一人一人の学習ニーズを満たすいくつかのテーマ、たとえば、住民参画型生涯学習モデルの構築と実践、口腔保健分野医療人の生涯研修、住民主導型生涯学習リーダー養成講座などの育成プログラムを実施しています。
 特に力を入れているのが大学の貴重な資料を収集整理して住民に公開するデジタルアーカイブ事業です。アーカイブ内容を公開するためにホームページ「デジタル博物館」を開設しました。現在この中には、自然史博物館、埋蔵文化財博物館、郷土図書館、講義アーカイブズ館の四つのテーマ館があり、刻々と充実されています。また、デジタル博物館を楽しく見る閲覧方法を開発しました。三次元のバーチャルリアリティ博物館を建設してその中にホームページの写真を展示して歩いて見てゆくという表現技術を取り入れたもので、博物館を訪問して観て歩く気分にしてくれます。詳しいデータが一杯の「デジタル博物館」と歩いて楽しい「バーチャルリアリティ博物館」は自由に往来できるようにしてあり、楽しい学習への素材をめざしています。

今後の予定
 この事業によって広島大学ブランドの個性的なデジタル博物館の骨組みができました。この内容を充実し見栄えあるものにして、地域の人が楽しく訪問できるデジタル・バーチャル博物館に成長させてゆきたいと願っています。

デジタル博物館 HP
すべてのデジタル博物館は、以下のホームページから訪問できます。
http://www.digital-museum.hiroshima-u.ac.jp/

デジタル郷土図書館
(篁山竹林寺縁起絵巻バーチャル展示室)
デジタル郷土図書館は、当館所蔵の郷土関連資料のうち地域内での利用頻度の高いものからHP作成を進めています。今までに「松落葉集」「篁山竹林寺縁起絵巻」「中国五県土地・租税資料」「厳島縁起」など8万ページ以上を収録しています。


デジタル自然史博物館
(苔苔苔でむせかえるバーチャル展示室)
デジタル自然史博物館は、理学研究科の収蔵する膨大な資料の中から、コケ植物の国際標本や宮島の自然、日野化石コレクションやカエルなど、地域の方の関心を呼びそうな研究資料を優先的に選択して一般公開可能とするべく写真集を作り、解説文をつけてホームページの構築作業を続けています。

デジタル埋蔵文化財博物館
(東広島キャンパスの遺跡と遺物のバーチャル展示室)
デジタル埋蔵文化財博物館は、東広島キャンパス内の遺跡と出土遺物について写真を中心とした総合的な解説を行っています。旧石器時代から江戸時代までの各時代の遺跡が調査されており、これらの遺跡を概観するだけでも西条盆地の考古学的な歴史や地域史が学習できます。研究にも利用可能な画像データベースも閲覧できるように構築中です。

講義アーカイブズ館
(講義録画ビデオからWeb学習コンテンツへ)
講義アーカイブズ館には、キャンパス内の学生向けに「学問との出会い」や「公開講座」の録画ビデオを元にしてWebコンテンツ「復習用LIVE教科書」を作成展示しています。


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