武田家宜さん
大学院教育学研究科
言語文化教育学専攻日本語教育学専修
博士課程前期2年

―大学院を受験しようと思ったきっかけは?

 ビジネスマンとして約四十年勤め、その三分の一を海外で過ごしました。現地の人々とのふれあいの中で、日本語教師になってもっと海外で日本ファンを作りたい、そして民間外交に貢献したいという思いを持つようになりました。定年退職を控え、最後の勤務地である香港から一時帰国したときに資料を集め、国公立の大学を中心に調べました。キャンパスの広さ、図書館の蔵書数、大学院生と教員が発表した論文の数、留学生数などを学生一人当たりの割合で計算し、点数化したところ広島大学のポイントが一番高かったのです。もちろん日本語教育学講座の内容(教員数や質)も他大学と比較しました。入学した今、その選択は間違っていなかったと思っています。余談ですが、私は皆さんの刺激を受けて、一年で日本語教育能力検定試験にも合格できました。

―広大生の印象は?

 おとなしいですね。講演会などでも質問する学生が少ないので、もっとアグレッシヴ(積極的)になって欲しいです。人間性の豊かさや勉強に対する真面目さなどが広大生の長所だと思います。そういった良い伝統は残しつつ、もっと積極的になって、広大生、卒業生のいい評判をみんなで作っていくことが大切だと思います。

―以前、大学生だった頃と今とで違う点はありますか?

 今は多くの人が大学に進学し、大学院に行く人も増えています。前に自分が大学生だったころと比べて社会自体が変化しています。昔の人達が持っていたハングリー精神が戦後日本の経済成長を支えてきました。経済が豊かになり、社会のバックグラウンドが変わっているのだから学生の意識自体が変わるのも当然のことでしょうね。日本が世界トップクラスの国になった今、これから社会に出てゆく人達はどんな人生の目標を持って社会に参加していくのでしょうか。いい達成感を得るためには目標を持って生きていくことが大切です。そして私自身もそうありたいと思っています。

(聞き手:教育学研究科 馬場雅恵)


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