文・岡田 光正
( OKADA, Mitsumasa )
大学院工学研究科長


現地研修でお世話になった方々と
―三洋オートメディア株式会社(マレーシア)にて―
 この度、現代的教育ニーズ取組支援プログラムに採択された「国境を超えるエンジニア(Engineers to Cross Borders―通称ECBO)」教育プログラムを紹介します。
 本プログラムは、工学研究科と国際協力研究科が共同で実施する海外研修派遣型の新しい技術者教育プログラムです。全学から十数名の学生を選抜し、約一ヶ月間、アジアの技術移転の現場に派遣します。これによって、国際的な視野と技術者倫理、コミュニケーション力を養うことのできる現場を体験させ、二十一世紀を担う次世代技術者を養成することを目標としています。
 本プログラムの特徴は、現地研修単独の科目ではなく、事前研修と事後研修を重視した四科目で構成し、派遣学生の能力改善のみならず派遣できなかった学生もその経験を共有する仕組みにあります。
 事前研修では、日本型生産システムの特徴、技術移転の現状や派遣国の社会背景等に関する知識を習得するとともに、国内の母工場を見学し、現地研修の課題を設定します。英語によるコミュニケーション力を高めるための集中特訓も行います。
 一方、事後研修では、派遣できなかった学生も交えて現地研修の成果について議論し経験を共有します。加えて、地元企業との連携科目を開設し、専門家を講師としたディベート演習を行います。これらをパッケージとした一連の教育プログラムに独自性があります。
 本プログラムはマツダ財団の助成を受けて二〇〇一年に開始し、三年間の試行期間を経て、今年度から本格稼動します。教育パートナーである受け入れ企業のご理解とご協力に感謝いたしますとともに、本プログラムが新しい技術者教育の展開への架け橋になるものと確信します。


広大フォーラム2004年12月号 目次に戻る