広大フォーラムの編集に参加して
−学内向け広報誌の役割とは何か 
・藤本 成明

( FUJIMOTO, Nariaki )

広報委員・
原爆放射線医科学研究所助教授



広大フォーラムは広島大学の絆となってきたか
(筆者中央)
 部局選出の広報委員として『広大フォーラム』編集のお手伝いをさせて頂いて三年目になります。連載記事等の原稿を諸氏にお願いするのと、委員会の席で勝手な雑感を発言するのが私の主な「役割」ということで安穏とやって参りました。ところが、会議中の束の間だけは、情報を編集発信する立場としての使命感を感じるもので、学内広報誌としては、その時々の広島大構成員の直面している課題―法人化に関する問題とか、大学イメージアップ作戦、業績の評価法等々―を掘り下げ、問題意識を共有してもらうような特集や記事を企画して発行してゆくべきだなどと考えてきました。ところが、そんな私にとっては意外だったのは、2003年6月号の「広大のユニーク先生」のようなどちらかといえば雑多な特集の方が、読者からは「総合大学としての深さを感じた」、「他学部の様子が見えた」など大変好評だったことです。学内情報誌である「広大フォーラム」の役割は、構成員全体が情報を共有して大学としての一体感を形成することにあるとされていますが、学生、事務技術系職員、教員の間の共感といっても自ずと限界があります。前記特集の件でわかったのは、雑多な記事の方が一体感の形成には有効らしいということです。立場の違いに関係なく読ませてしまうこのような記事こそが、学内向け広報誌の記事の基本ではないかと考えさせられました。確かに、様々に活動している学生を紹介する記事(不定期掲載)なども、学生自身による取材記事ということもあると思いますが、どの読者層にも好評です。このような記事を増やしながら、特集も各号で学生向け・教職員向けに両方を用意するなどして、総合誌化するというのがこれからの行き方の一つだったと思いつつ、広報委員会は解散の時を迎えました。「フォーラム」という語から元々想定されていた「構成員の意見交換の場」が過去に機能したのかどうかわかりませんが、現在では印刷冊子がその役割を担うのは実情にあわないでしょう。これからの学内誌は、むしろ学内の「文化」(雑多の集合体)を構成員で共有し、独自の「広大」ブランドを醸造していく媒体として意識され発行されるべきではないでしょうか。そういったみんなが広大を感じることのできるような広報誌の継続を期待します。


広大フォーラム2004年12月号 目次に戻る