本学は、平成15年10月に霞キャンパスの医学部附属病院と歯学部附属病院を一つの病院に統合し、医系の診療と歯系の診療を一本化してトータルに提供できる医学部・歯学部附属病院を設置しました。また、世界に誇れる知的財産の取得・活用をめざして、知的財産社会創造センターを設置しました。

 医学部・歯学部附属病院
広島大学病院の始動! 文・弓削 孟文
( YUGE, Osafumi )
医学部・歯学部附属病院長
 大学院医歯薬学総合研究科教授


広島大学病院医科外来診療棟と
歯科外来診療棟を結ぶ渡り廊下
 平成十六年四月の国立大学法人化を前にして、平成十五年十月一日から霞キャンパスにあった医学部附属病院と歯学部附属病院が統合し、一つの病院となり広島大学医学部・歯学部附属病院(医療法上の呼称は広島大学病院)として生まれ変わりました。
 我々にとりましては歴史的な大変革ですから出来るだけ「広島大学らしさ」を追求する中での統合病院の計画でした。
 大学病院であることからその機能を「教育」「研究」そして「診療」と三本挙げ、これらを明確に分離できる組織機能を模索致しました。
 医学教育は大学病院の使命であり、研究においては探索的な医療の開発が必須であります。この教育と研究がマトリクスのように絡み合った診療の展開が大学病院には必要であるとの姿勢を基本として構想を立て、これを実現するための組織として臨床実習教育研修センターと臨床研究部の設立を盛り込みましたがこれらは法人化後の計画となりました。
 診療科の再編成は最終的に総合診療科と専門診療科に区別し専門診療科を十四診療分野(十一医系診療分野と三歯系診療分野)つくり、それぞれの分野に患者さんに分かりやすい院内標榜の診療科を設置致しました(http://home.hiroshima-u.ac.jp/med/ibyou/参照)。
 また、臨床試験部という名称で治験管理センター的な機能を充実させる部が新しく誕生いたしました。さらに、看護部や薬剤部と同様に医療技術職の職員の組織として診療支援部という組織が認められました。
 組織的に統合した病院を名実共に一つの病院にするために、医病と歯病を結ぶ渡り廊下を完成しました(写真参照)。
 今、霞キャンパスに医学教育と研究を包括する新しい臨床医学の実践組織が動き始めました。

 知的財産社会創造センター
コーヒーブレークで
ブレークスルー
文・岩谷 行雄
( IWATANI, Yukio)
知的財産社会創造センター長
法学部教授


松本建介

葛籠勝彦

前田信隆
知財専門職
 「知的財産社会創造センター」は、文部科学省による平成十五年度の「大学知的財産本部整備事業」として、広島大学を含めて全国三十四大学が選抜されたのを受けて、昨年十月一日付けで設立されました。広島大学は、知的財産として価値の高いものを創出し、適切に管理し、積極的に社会に移転して活用を推進すると共に、教育研究活動を通じて知的財産の重要性について学内外での意識改革を進め、知的財産重視の模範を自ら示し、これによって知的財産重視型社会の形成に貢献します。特許相談に応じ、特許の説明会(寺子屋トーク)を開き、特許調査、特許創出・出願、特許活用のお手伝いをしますのは、メーカーの知的財産部門出身の三人(写真・以下知財専門職という)です。
 国際特許事務所と顧問契約をしますが、弁理士との橋渡しも知財専門職が行います。明細書の作成はできるだけ弁理士に任せ、研究を効率的に行うお手伝いをさせて下さい。一番恐れているのは、技術の活用を充分に想定していない論文の丸投げで、「さー、特許明細書を書いてくれ、書いたことないから」と言われることです。
 知財専門職をメーカーからお願いしたのは、生産部門も研究部門も知らない弁理士では困るからで、生産現場の経験と知的財産部門での先行技術の探索・特許戦略・明細書作成等の実務経験の疑似体験を知財専門職の活用でお願いしたいからです。
 私のイメージは、法学部の研究室から知的財産社会創造センターへ行ってもいつも三人がいない、聞くと、「A先生」「B先生」「C先生」の「コーヒーブレークに呼ばれました」。歓談の中で年一億円くらいの大型技術移転の芽がでることです。大事に知財専門職を活用して下さい。お願いします。

広島大学における発明創出の将来見通し


広大フォーラム2004年2月号 目次に戻る