大学院文学研究科
大学院教育学研究科
大学院社会科学研究科
大学院理学研究科
大学院先端物質科学研究科
大学院医学系研究科
大学院保健学研究科
大学院医歯薬学総合研究科
大学院歯学研究科
大学院工学研究科
大学院生物圏科学研究科
大学院国際協力研究科

大学院文学研究科
インド哲学と世界の多様性

研究室で小川英世先生と(筆者中央)
 人文学専攻思想文化学分野 博士課程前期
 下 前 弘 司(しもまえ こうじ)

 この世界は多様性に満ち溢れている。このことを、インド哲学を学んでいて痛感しました。われわれが生きている世界とはまったく異質な世界について研究していると、世の中のあり方、人のあり方は実に多様なのだということがよく分かります。多様性を理解すると、今まで見えていなかったものが見えてきたり、さらには自分のあり方をよく考えられるようになります。研究するということは、ある分野に新たな発見をもたらすのみならず、人生を豊かにすることでもあるのだと思います。深く追求することは、人生の糧を得る手段の一つなのですね。


楽しみ無き所も楽しむ

岡山県和気町大國家住宅の実測調査
 人文学専攻地表圏システム学分野 博士課程前期
 佐 藤 大 規(さとう たいき)

 早いもので西条での生活も六年が過ぎようとしています。この六年間、いろんな事がありましたが、「楽しかった」と言い切ることができます。
 一度しかない人生楽しまなければ損だと思います。しかし、それは面白可笑しく、自分のやりたいことばかりをして生きるということではないと思います。そんなことは誰にでもできることです。「楽しみある所に楽しみ、楽しみ無き所も楽しむ」これはある作家の言葉です。このように生きることのできる人が、本当に人生を楽しんでいるということなのだと思います。(専門は文化財学です。)

大学院教育学研究科
生産性をめぐって

学会の合間のひと休み(筆者右端)
 生涯活動教育学専攻 博士課程前期
 伊 藤  真(いとう しん)

 生産的な活動なのか?この言葉は大学院に入学した私の脳裏から離れることなくいつも私を責めるのでした。音楽教育学を専門とする私は、理工系の知人からは絶えず非生産的だと非難され、その度に私の存在価値はどこにあるのだろうかと悩むのです。しかし、毎月行われるゼミの研究発表会や学会において自分の研究を発表し、教官や他の学生と議論を交わすという相互活動を通して(あるいはその相互活動に至るまでの自己葛藤の中で)、これまで非生産的だと言われてきた自分の活動の中に生産性のかけらを幾分かはつかむことができたように感じます。
 音楽教育を通して社会に貢献できるものとしての生産性をこれからも頭の片隅に置いていきたいと思います。


修了にあたって
―支えてくれたみなさんへの感謝―

 心理学専攻 博士課程前期
 舩 本 敬 子(ふなもと けいこ)

 今回寄稿するにあたり、修士の二年間を振り返りますと本当にあっという間だったように思います。私は、広大には往復約四時間をかけて通学し、実習、教職、修士論文、就職活動、アルバイトといつも多忙な毎日を送っていました。その中で、自分一人だけで頑張っているというような錯覚に陥っていたのですが、少し生活が落ち着き、周りに目が向くようになると、自分がいかに多くの人達から支えられていたかに気付きました。例えば修論では指導教官の先生方だけではなく、他研究室の先生方にも大変お世話になりました。また先輩友人・後輩には研究だけではなく、それ以外の学校生活の多様な面でも助けてもらいました。
 この場を借りて、二年間お世話になった広大の皆様に感謝を述べさせていただきたいと思います。みなさん、本当に有難うございました。

大学院社会科学研究科
まずは自分から動くこと

ゼミで訪問した米国アイオア州立大学のNCRCRD(北部中央地域農村開発センター)にて(筆者右から2人目)
 経済学専攻 博士課程後期
 桑 原 美 香(くわはら みか)

 私の学生生活は「交流」の一言に尽きます。つまり、他大学との交流、異文化交流、世代間交流などです。確かに、東広島キャンパスは「交流」するには難しい点もあります。しかし、だからこそ自分できっかけをつくり、積極的に外へ出て、触発されるべきだと思います。自分で「壁」を壊さなければ「イメージの向こう」には辿り着けないと思います。


充実した大学院生活

パプアニューギニアにて
鉄斧の使用体験(筆者右)
 国際社会論専攻 博士課程前期
 新 本 万里子(しんもと まりこ)

 私は一旦社会人を経験して大学院に入学しましたが、最初は専門とする人類学で現在話題になっていることを理解するのも難しく思われました。しかしパプアニューギニアで調査するという貴重な機会を得て、休学期間を含めた二年半は充実したものとなりました。今できる事を大切にこなすことが、充実につながるのではないでしょうか。


教授の言葉

ゼミ仲間と韓国にて(筆者右端)
 マネジメント専攻 博士課程前期
 祖 川 浩 也(そがわ ひろや)

 「それは私への挑戦ですか。勝負しますか」―。入学して間もない頃、ある講義で質問した院生に教授はニヤリと笑ってそう言われました。学問への質問なら本腰を入れて挑みなさい、ということでした。あれから二年。幾度、徹夜したでしょう。幾度、勉強仲間と励ましあったでしょう。今、学ぶ苦しさと喜びが教授の言葉とともに胸に刻まれています。

大学院理学研究科
大学時代を振り返って

研究室の仲間達と(筆者前列左)
 数理分子生命理学専攻 博士課程前期
 森 原  隆(もりはら たかし)

 私は学部生として四年間、大学院生として二年間、この広島大学で過ごしてきました。修了を間近に控え、これまであった様々なことが思い出されます。この六年間は勉強やサークル活動など、多くの経験をした貴重な時間でした。この六年間の生活を振り返って大切だと感じたことを二つ書きたいと思います。
 まず一つ目は、自ら学ぶ努力をするということです。
 大学入学当初は、講義の内容にまったくついていけませんでした。私はそのことを「先生の教え方が悪いのだ」と責任転嫁していました。しかし、それは一から十まですべて教えてもらえると思い、自分でわかろうとする努力をしなかったのが原因だったと反省しています。初めからすべて教わろうとするのではなく、自分で理解しようとすることで、はじめて身に付くのだと気づきました。
 二つ目は何事も問題意識を持って取り組むということです。
 学部時代は講義の内容を理解して試験を受け、単位を取ればよかったのですが、大学院に入ってからはそうはいきませんでした。研究は、人がやったことの後追いではなく、自分自身で新しいことを切り開いていかなければならないからです。研究室の先生はよく「自分で問題をつくれ」とおっしゃいました。このことは、社会に出てからも重要なことだと思います。いい仕事をするためには、与えられた仕事をこなすとともにプラスアルファを加えることが必要だと思います。
 四月からは社会人として、これまで得たことを忘れず、がんばっていきたいと思います。最後に、今までお世話になった広島大学のみなさまにお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました。

大学院先端物質科学研究科
六年間の学生生活を振り返って

研究室のメンバーでフェニックス駅伝に出場
(筆者最後列右から 2 人目)
 分子生命機能科学専攻 博士課程前期
 山 口 敏 良(やまぐち としなが)

 まず思い出すのは部活動の事です。入部した体育会漕艇部はボートを漕げる場所が広島市内の太田川にある為、実際にボートに乗って練習できるのは週末だけで平日は陸上でトレーニングという練習方式でした。ボートという珍しい乗り物に乗ってみたいという気持ちが元で入部した為、入部したての頃は乘艇練習の頻度の少なさに多少不満を持っていましたが、その不満はしばらく後に自分の想像以上の形で解決に至りました。それは夏休みや春休み等の長期休暇のほとんどを市内にある艇庫兼合宿所に泊まり込んで過ごすというもので、この超長期合宿生活によりこれでもかというくらいボートを満喫する事ができました。練習は勿論ハードなものでしたが自分が上手くなった事を実感できた時の喜びや大会を含む数々の年中イベント、合宿生活そのものなどとても楽しいものでした。
 諸事情により部活を辞めた後も勉強は最低限度のままでバイト中心に過ごしていたのですが、研究室に配属されてからようやく学生の本分に一生懸命取り組むようになりました。指導教官や先輩に恵まれた事もあり国内外の多くの学会に参加・発表する機会が得られた事はとても良い経験になりました。特に修士二年の時にスウェーデンで行われた国際学会への参加は、自分の英語力の乏しさを痛感させられると共に、一線で活動していく為には英語が絶対に欠かせないという事を身を持って知らされました。
 研究室のメンバーで参加したイベント等も良い思い出です。特に印象深かったのは修士一年の時に出場したフェニックス駅伝で、研究室メンバーのほとんどは普段ろくに運動していない為「襷を繋げる」という目標を達成するのもギリギリでした。自分はメンバーの中では比較的速いほうだったのですが、部活動を辞めて以来まともに運動をしておらずかつての体力は無いのに昔と同じようなペースで走ろうとした為、後半は瀕死状態の上に次の日悲惨な事になってしまいました。
 とても楽しく充実した六年間でした。在学生の方も学生生活を自分で納得のいくものにできるよう頑張って下さい。

大学院医学系研究科
大学院で学んだこと

研究室の教授とワールドカップサッカー観戦(大分にて。筆者左端)
 外科系専攻 博士課程
 大 下 彰 彦(おおした あきひこ)

 医学部卒業後の六年間は手術三昧の臨床生活でしたが、大学院では基礎医学を学ぶ機会を得ました。お世話になった研究室では良き指導者と仲間に恵まれ、山あり谷ありの研究生活を何とか無事に終えることができました。この間支えてくれた家族には本当に感謝しています。
 大学院での研究生活を通じて学んだことは、まず以前より慎重に物事を考えるようになったことです。実験結果の所見を見逃さず、その現象について考察し、証明するための手段を常に考える習慣が付きました。このことは臨床の現場に戻っても大変役立つと思います。また、小さなことでも人に感謝する気持ちが強くなりました。紆余曲折した研究生活の中で、傷ついたときに自分を温かく見守ってくれている人が心の支えとなり、その後の活力となりました。以前より人に優しく接することができるようになったのではないかと思います。
 これから大学院に入る方には、是非いろんな経験を積まれ今後に活かされるよう祈念します。


振り返ってみると

ゼミの仲間と研究室にて(筆者右端)
 保健学専攻 博士課程後期
 藤 原 奈緒子(ふじわら なおこ)

 学部四年・修士二年・博士三年の計九年という長期間、この霞キャンパスでお世話になったことを考えると、この霞キャンパスから巣立っていく事に寂しさを感じずにはいられません。
 思えば、大学院に入学してからは一つの研究テーマに関してその内容を突き詰め、論理を展開していく事により論文を作成していく事が課題であり、その過程で大小の壁によくぶつかりました。ゼミ発表や国内外の学会発表、論文投稿、そして最後には博士論文の審査・発表など、五年間ずっと悩み通しでした。しかしながらいつも指導教授やゼミ生の方々の的確なアドバイスに助けられ、壁を乗り越えながら様々な事を吸収できたのではないかと思います。四月からは臨床で経験を積む事になりましたが、広大で得ることのできた経験が今後更に役立てられるように頑張りたいと思います。

大学院保健学研究科
ビールの誘惑

スペインにて、グエル公園の
とかげ(ガウディ作)と私
 保健学専攻基礎理学療法学講座 博士課程前期
 大久保 敦 子(おおくぼ あつこ)

 私は修士課程の研究で、基礎系の細胞培養や動物実験を行いました。前の晩に飲んだ地ビールの酵母菌を実験室に持ち込んで細胞を汚染しないよう気を使ったり、毎日ネズミ達に会いに実験器具一式をぶら下げて動物実験施設まで出向いたりするのは、正直ちょっと大変でした。細胞培養や動物を使った研究は、相手と会話しながら研究を進めることができないし、また、細かい個人作業が多いため、独り言が多くなるという癖がついてしまいました。ネズミの世話も含め、一週間七日間きちんと大学に通った経験が、この先の博士課程でも役立つと良いと思います。(…せめて週末には思いきり美味しいビールを飲みたいというのが本音ですが。)

大学院医歯薬学総合研究科
よく考えよう

研究室の皆さんと(筆者左から3人目)
 薬学専攻 博士課程前期
 松 冨 智 哉(まつとみ ともや)

 大学の講義というものは基本的に受身であり、多くの講義が先生による一方的な知識の教授の場であるようです。もちろん知識を増やすことは学問の基本なので、限られた時間の講義ではこの形が学生の基礎力を固めるのには手っ取り早い方法であることは間違いありません。しかし、私たちが大学を卒業して社会(特に専門分野)にでると、知識というものは持っているのが常識と考えられ、そこで求められてくるものは、その知識を基に考える力、応用力になってきます。ただ受身的に講義を聴いて、それを覚えるだけではテストでいい点はとれても考える力は養われません。それでは社会に出てから力不足ということになってしまいます。普段からよく考える訓練をしておくことが必要だと痛感します。

大学院歯学研究科
大学院四年間で得たもの

歯科補綴学研究室にて(筆者前列中央)
 歯学臨床系 博士課程
 地 守 宏 紀(ちもり ひろのり)

 気付いたら大学院が終わろうとしています。周りが結婚したり、歯科医として毎日臨床に励み開業を視野に入れた話を聞いたりすると四年間は長かった気もしています。しかし大学に残ったことで今まで授業や実習で教えて頂いていた先生方も身近な存在となり、教育・研究機関である大学の仕組みというのもわかってきました。出前を取り徹夜実験したり、論文を読み学会に行くなど研究テーマに取組み、様々な視点・考え方を持つ多くの人に囲まれ影響を受ける生活をするうちに物事をいろんな角度からみつめ考えられるようになったのではないかと思います。これは大学院生だったからこそ経験できたのかもしれません。さらに触ったこともなかったPCも使えるようにもなりましたが、何よりも多くの恩師・友人に恵まれたことが大きな財産になりました。在学生の皆様も多くの人の経験や知識に触れる環境・機会を常に求め、また大事にして欲しいと思います。


大学院生活の思い出

口腔外科診療室にて(筆者前列左)
 歯学臨床系 博士課程
 西  裕 美(にし ひろみ)

 修了を目前にして一番に感じることは、大学院生という進路を選択したことに、非常に満足しているということです。この四年間は自分にとって様々な出来事があり、しんどいこともたくさんありました。しかし、大学院生にならなくては得られなかった、目に見えないたくさんのことを得ることができました。その一つに、人との出会いがあり、人生の師匠となる人、かけがえのない人達と出会えたことがあります。院生というある意味不安定な立場で、自信をもって歩むことができたのは、自分の信念だけでは挫折しそうになる時、手を差しのべてくれたたくさんの人たちのおかげだと思っています。この四年間は私の財産であり、このような時間を過ごす機会を与えてくれた人達にとても感謝をしています。

大学院工学研究科
これから社会へ出発します

研究室旅行にて(筆者前列中央)
 物質化学システム専攻 博士課程前期
 今 城 祐 二(いまじょう ゆうじ)

 広島大学での六年間は思ったより時間があって、自分勝手な事を多くしたなと思いました。大学生になったら、アルバイトと高校時代から考えており、それを現実化させた感じでした。アルバイト先では、年齢、考え方の違う人たちと出会い、とても人生勉強になったと思います。皆様も今までアルバイトをしたことがない方がいれば、是非やるべきだと思います。アルバイト先での人間関係等得るものは、給与以外にも多くあるはずです。
 二年前、自分の更なる飛躍を求めて、大学院へと進んだ私ですが、求められるものが学部生の時よりはるかに多くなったと実感させられました。あのまま、学部で卒業して、就職していた方が楽だったのではと後悔する時もありました。苦悩も多々ありましたが、修了までたどり着けたのも仲間のお陰と思います。親身になって苦悩を聞いてくれる仲間がいてくれたお陰です。そんな仲間たちと、年甲斐もなく朝まで宴会をしたり、研究室が終わってからは、週に数回、車が趣味の仲間達と深夜に集会を催したりしてストレス発散をしておりました。周りにたくさんのおもしろく、いい仲間を持ったお陰で大学生活を無事終わらすことができたんだと実感しました。
 ここで、最後に皆様への言葉としては、健康に特にお気をつけて残りの学生生活を楽しんでください。その中で自分を伸ばせる「場」を見つけ出せることができれば、どんどん挑戦してみてください。私の場合は、大学院進学でしたね。ご健闘お祈りしております。私は、十八年間の学業は終わりとなり、社会へと旅立ちますが、社会でも「学ぶ」という気持ちをもっていち早く自立できるよう日々頑張って行きたいと思います。

大学院生物圏科学研究科
井の中の蛙、大海でもがく

研究室にて(筆者右端)
 生物圏共存科学専攻 博士課程前期
 前 田 和 寛(まえだ かずひろ)

 私が総合科学部から生物圏科学研究科へと進学し、一番変わった点は外の世界を知ったことです。それまでの自分の研究は、自分が所属するゼミでの、ある意味内輪での議論がほとんどでした。大学院に進学し、学会等の対外的なイベントに参加すると、様々な主張・見解が交錯していて、私はまさに大海に放り投げられた蛙状態になりました。このような経験を通じて、「自分の意見や主張を相手に伝えること」の難しさと重要性を再確認することができました。もちろん大海でおぼれずにもがけるのは、日頃井戸(研究室)でのトレーニング(先生や先輩の指導)のおかげなのはいうまでもありません。これからは、大海で「もがく」のではなく、「泳ぐ」ことができる様努力していきたいです。在学生の皆様が様々な大海で自在に泳ぐのを祈念いたしております。


大学院生活を振り返って

研究室の仲間と
(筆者前列右から 2 人目)
 生物資源開発学専攻 博士課程前期
 白 井 千 春(しらい ちはる)

 一人暮らしをはじめて六年、すべての時間を自分のためだけに使うことができるという贅沢な環境の中で、大学院での二年間は特に研究に情熱を注ぐことができました。大学院の魅力は、勉強をすればするほど広がる疑問に対する好奇心を、常に満たしていくことができる学問の奥深さを学び、考えることにあると思います。この二年で私は少し成長できたように思いますが、大学院を修了する今の自分は思った以上に未熟です。実験結果に一喜一憂し、落ち込んだりすることもありました。しかし、私は多くの人に出会うことができ、色々な経験のすべてが今の自分をつくっていることを感じています。今後、私は博士課程後期に進学し、現在進行中の研究を続けていきます。これまで私を支えてくださった、先生や友人そして、両親に深く感謝します。

大学院国際協力研究科
国際化した教室の楽しさ

多様な出自のゼミ仲間と
(筆者前列右)
 教育文化専攻 博士課程前期
 アラタ,ドルベド〔阿拉騰花〕

 IDEC(国際協力研究科)で受講したある半年間の授業は、とても新鮮でした。先生が、いろいろな国から来ている受講生の考え方を上手に引き出し、「他者を理解する」とはどういうことなのかについて理解させてくれたのです。国際化したその教室の楽しさは、私にとても深い影響を与え、人生の中の素晴らしい一ページとなって残ると思います。先生の幅広い知識、指導方法、教材の多様性と効果性、何よりもいつも身を低くして他者から学んでいる姿が、ほかの先生と違っていました。授業中の討論の間、先生は学生一人一人の意見や考え方を真面目に聞きながらノートに書いていました。「人を一分尊敬すれば、人はあなた方を三分尊敬する」というモンゴルの諺があります。先に人を尊敬することでいっそう尊敬される。そういう関係があってこそ、学生はいっそう自主的・自発的にその先生から学びたいと思うようになるのです。 (原文・日本語)


「意味」の意味を教えてくれた愉快な仲間たち

〈無意味〉なポーズもまた楽し…
(筆者右端)
 教育文化専攻 博士課程前期
 渡 辺 美 和(わたなべ みわ)

 IDEC(国際協力研究科)にいる二年の間に、「もう辞める」と何度言ったことか。とくに授業料の納期が迫るとそんな弱音を吐く私を立ち直らせてくれたのは、IDEC特有の多種多様・国際色豊かな学生仲間――私よりもずっと年配であったり、多様なバックグラウンドを持つ愉快な人たちでした。修論に行き詰まり、大学院に来た理由を見失いかけた時期、ある先輩はこう声をかけてくれました。「意味なんて自分で作るもんだ」――。「意味」は、最初からそこにあるものでも、与えられるものでもない。自分で何ができるかを考え、模索し、行動してこそ意味が生まれるのだ、と。私がここで学び得た一つ一つのことは、どんなに些細でも、それに私が意味を見出しえた限り、一生大切にしたいと思います。在学生の皆さんも、大いに行き詰まり、悩んでください。「IDECにいてよかった…」今、心からそう思います。


広大フォーラム2004年2月号 目次に戻る