世界の大学シリーズ77

ベルリン工科大学(TU Berlin)
反ユダヤ主義研究センター(ZfA)
ドイツ連邦共和国


第一学部(人文科学)が入る20階建てのビル。ZfAはこの9階にある。外壁修復中は、このように広告塔としても利用された。
ZfAのProf. Bergmann(前列中央)とスタッフ。後列は東京外大の相馬保夫教授(右)と筆者(左)。(相馬氏提供)
文・写真/長田 浩彰

( NAGATA, Hiroaki )
総合科学部
広域文化研究講座助教授


TUの本部棟。旧西ベルリンの玄関口であった鉄道の動物園駅から、地下鉄で1駅のところの街の一角をTUが占めている。

ZfAの入る9階から見たベルリン市の風景。右手の道路がつき当たった先には、シャルロッテンブルク宮殿がある。

 TUの沿革をみると、源流の一つは1770年にフリードリヒ大王がベルリンに設立した鉱山学校にさかのぼります。前身校は1879年創設の王立ベルリン工業単科大学(TH)です。THは、1933年の第三帝国発足以前からナチスの牙城となっており、ナチスが他民族を戦争によって攻撃・抑圧する巨大なシステムの発展を技術的に支えました。その反省から、人文諸科学を諸研究の基礎に据えた新制TUは、1946年、総合大学として蘇ったのです。2004年4月、22あった学群は8つの学部に再編されました。反ユダヤ主義研究センターは、1982年に創設され、反ユダヤ主義に関する学際的な基礎研究、ドイツ=ユダヤ史、ホロコースト研究のみならず、少数民族や移民の迫害問題といった様々な偏見や差別の研究にもその視野を広げています。筆者は、2002年10月から翌年7月末まで、文部科学省在学研究員としてこのセンターを利用しました。

 ベルリン工科大学のホームページ http://www.tu-berlin.de/
 反ユダヤ主義研究センターのホームページ http://www.tu-berlin.de/ ~zfa/


広大フォーラム2004年8月号 目次に戻る