文・弓削 孟文
( YUGE, Osafumi ) 理事・副学長(医療担当) |
この総合研究棟は、旧東病棟(八階建て)を約十五億六千万円かけて改修し、新たに、全く違う『研究施設』として再出発させたものです。しかも、霞地区だけでなく、広島大学全体の研究拠点として、さらには社会と連携した研究を行う場として、当初から計画されたものです。 平成十六年四月、国立大学が一斉に法人化するという一大イベントの最中、静かに実験機器などの移転を行い、少しずつ運用を開始していたところですが、大きく覆われていたテントがはずれ、あたかも新築された建物か?と見間違うほどの美しい全容をみて、また、建物内の充実ぶりを目の当たりにして、新たな気持ちで霞総合研究棟の開所式を計画いたしました。我々広島大学としては、霞総合研究棟のスタートは、開所式を行った日である五月十七日(月)としています。 さて、この霞総合研究棟は七階建て、総面積約九千平方メートルで、一階に広島大学自然科学研究支援開発センターと社会連携推進機構のカウンターパートがあり、特許取得やベンチャー企業設立の相談を受け持っています。また、整備されたDNA解析室などもあります。二階には、フロンティアラボ(ベンチャーラボ)、三階にはプロジェクトラボが入り、産学官連携の研究を展開しています。現在のところ、二階と三階には合計十八グループが最大五年間の期間で入っており、すべての部屋が埋まっている状況です。四階から上は、医歯薬学総合研究科と原爆放射線医科学研究所の研究室となっており、生化学研究、免疫学研究、薬学研究、腫瘍学研究などの研究室が同居するかたちで入り、既に研究室の移転も終了して、共同研究も円滑に行うことができる体制になっています。 この霞総合研究棟は、大学全体で運用し、研究を大学内のみで行うのではなく、広く社会と連携して共同で研究開発を行う「場」であることから、これまでの国立大学では成し得なかった新しい大学の役割を追求することができるものです。 霞総合研究棟が広島大学の"新たな試みの第一号"として発展することを、心から祈らずにはおられません。
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