教育室
教育の「高品質化」を目指して
文・高橋 超

( TAKAHASHI, Susumu )
理事・副学長(教育・学生担当)

主たる業務

 教育室は、理事・副学長(教育・学生担当)が所掌する業務を支える組織として、学士課程および大学院課程の教育体制や学生受け入れ体制・方策、学生支援体制・方策、さらには生涯学習社会への対応など、本学の教育活動全般にかかわる事項について、企画・立案・調整および実施にかかわる点検評価、改善を目的として設置された組織です。
 理事・副学長を室長とし、教育担当と学生担当の副室長(兼任教員)を配置し、さらに「世界トップレベルの特色ある総合研究大学」の実現を目指した本学の学部教育や大学院教育のあり方を教職員一体で検討する組織として、「教育改革推進部門」及び事務職員のみで組織する教育企画グループを設置しております。教育室のもとに、学士課程教育センター、学生総合支援センター、入学センター、キャリアセンター、エクステンションセンターを設置し、それぞれ所掌する業務について企画立案し、遂行しております。

運営組織見直しの効果と今後の課題
 法人化までは教員からなる各種委員会(教務委員会や学生生活委員会など)と学生部それぞれが担当してきた教育活動の企画立案・実行を教職員一体型の運営組織に変更し、三か月が経過しました。教育活動は継続的なものであることから、運営組織見直しの効果は、これから表れてくることになると思います。半年経過した時点で教育室と各センターの点検評価を行うこととしています。

各部局等との関係
 教育室及び各センターは、各部局との連携が不可欠です。特に、平成十八年度に予定している到達目標型教育としての教育プログラム制導入や入試改革など、本学の教育活動の大きな転換期を目前にしております。こうしたことから、教育室に各部局の副部局長(教育担当)からなる「教育室会議」を設け、教育室及び各センターと部局との連携強化を図っています。

学術室
学術室の活動
文・吉里 勝利

( YOSHIZATO, Katsutoshi)
理事・副学長(研究・国際担当)

 広島大学は、世界トップレベルの特色ある総合研究大学になることを目指しています。この目標に到達するための活動の実施本部が学術室です。学術室は、広島大学における研究、国際、及び学術図書の三つの分野における活動の企画・立案をし、それに基づく作業をしています。またそれらの活動の結果を評価し、改善策を講じる機能ももっています。これらの学術室活動を実行するために、現在、十一の会議を設置しています。これらの会議は、学術室の特定活動の企画・立案を担当している組織で、五〜六名の委員で構成され、議長が会議代表を務めます。
 さらにこれらの議長と学術室担当副学長(研究・国際担当副学長)によって構成される学術室運営会議があり、議長は学術室担当副学長が務めます。それぞれの会議が提案する事項を審議して、学術室として承認し、実行に移すことになります。これらの会議の活動は、事務組織である、「学術部」、「国際部」、「図書館部」及び技術者組織の「技術センター」と協力して行われます。国際活動は、学長室に所属する「国際担当学長補佐」と連携して実行しています。
 学術室には、センター等推進部門も設置されており、この部門を通して放射光科学研究センター、自然科学研究支援開発センター、高等教育研究開発センター、ナノデバイス・システム研究センター、教育開発国際協力研究センター、平和科学研究センター、総合地誌研究資料センター、留学生センター、北京研究センター及び宇宙科学センターの研究活動を支援しています。
 以上のように、学術室は、中期目標・中期計画に沿って広島大学における学術・国際活動の広い分野において、問題点を探し出し、その改善策を施すことや、将来計画を広い視野でかつ的を絞って議論・提案することを使命としていますが、それを実行する体制がほぼ整いました。学術室の活動は、教育、社会連携、医療、情報政策などの活動とも深く関連し、「教育室」、「社会連携室」、「医療政策室」、及び「情報政策室」と密接な連携を図っています。また学術室の活動は、研究科や学部とも関連し、学部や大学院の学生・留学生諸君の教育活動とも密接な関係があります。今後、学生・留学生諸君の考えや要望・希望を取り入れるしくみを作り上げる予定です。学術室の活動を知っていただくために、「学術室ホームページ」を七月に開設しました。学術室の活動に関してご意見をお寄せいただきたいと思います。

http://www.hiroshima-u.ac.jp/gakujutsu/index-j.html

社会連携室
社会連携室の任務と期待
文・興 直孝

( OKI, Naotaka )
理事・副学長(社会連携担当)

社会との連携を担う社会連携室
 新たな知を創造する研究とその知を継承する人材を育てる教育は大学の基本的使命でありますが、その活用も重視し、本学が持つ知的資源を活かして、地域社会から国際社会までの広範な社会との連携を推進することを本学の第三の使命として位置づけております。
 社会との連携を積極的に図るため社会連携担当副学長を置き、併せて、副学長を支える組織として社会連携室を設置しております。副学長は、本学全体の社会との連携活動全般に亘り企画・立案、実施、点検・評価からその改善を担っています。本学では、これまでも社会連携の推進に積極的に取り組んできており、法人化を機にそれを更に強力に推進していくために社会連携に関わる組織を一つにまとめ、地域連携センター、産学連携センター、知的財産社会創造センター等から成る社会連携推進機構を設置したことは既に六月号で紹介したところでありますが、近く医療社会連携センターが機構の仲間入りをいたします。これらのセンターは機構の一員として、広島大学としての社会連携戦略の下、効果的かつ効率的な取り組みが求められており、社会連携担当の副学長と医療担当の副学長との連携・協力が図られています。こうした状況の中、社会連携室は、社会連携担当副学長の下、社会連携活動を推進するための企画・立案、点検・評価から機構の運営戦略など、とりわけ産学連携を推進していくための企画、支援さらには社会連携に関わる中期目標・中期計画の立案等を行っています。

多くの方の参加とこれに応える社会連携室
 今日ほど大学に対して知の活用に当たっての役割が強く期待されているときはなく、本学はこれに的確に応えることが求められております。このため本学では、教職員個人の活動だけではなく学内の教職員が連携して行う活動や、行政部局、各種団体との組織的・継続的な連携活動を通じて、社会と大学双方の発展を目指して、双方向の連携の充実・強化を積極的に図ろうとしております。本学の社会連携活動は、これまで知の創造と知の継承に関わっている教職員に依存して行われてきましたが、この四月からは、組織的な活動の展開に努めております。同時に、社会連携活動に携わる教職員はもとより、本学の学生諸君の参加・協力をこれまで以上に期待するものであります。副学長のほか、当該センター長、社会連携部長を始め同部の教職員からなる社会連携室の室員は、全学の関係組織との連携・協力に努め、こうした取り組みが全学に亘る戦略的なものとして着実に展開できるよう、的確なサービスを関係者に提供していくこととしております。

医療政策室
活力向上のエネルギー発信源
文・弓削 孟文

( YUGE, Osafumi)
理事・副学長(医療担当)


筆者(左端)と医療政策室スタッフ
 医療政策室は、医療担当の理事・副学長を直接支える企画・立案組織として、法人化に伴って設置されたものです。したがって、私が担当する大学病院の経営や地域医療との連携などに関連するデータを収集・分析して、病院経営や社会連携の方策について企画・立案することが、医療政策室の中心的な担当業務です。
 さて、広島大学が行う「医療」に関係する教育・研究・診療・社会連携は、霞地区の六部局(大学院医歯薬学総合研究科、大学院保健学研究科、医学部、歯学部、原爆放射線医科学研究所、病院)が主軸となります。私は、医療担当の理事・副学長として、それら本学が行う「医療」に関係した全ての活動に関して責任を負う役職と考えていますので、医療政策室は、霞地区内での様々な調整なども担当することになると思っています。
 新生『国立大学協会』から先日公表された資料によりますと、その名称は「医療担当」のほか「病院担当」や「医療連携担当」など様々で、病院長を兼務するところもありますが、病院を有する四十二国立大学法人のうち東京大学を始めとする過半数の二十四国立大学法人が、何らかの形で「医療」または「病院」を担当する理事を置いています。このことは、多くの国立大学法人が、一つの独立した組織として、医療または病院が果たす社会的な役割や(国立大学)法人の経営面での重要性を認識した結果だと確信しています。
 現在、医療政策室は私を含めて五名の小規模組織ですが、霞地区六部局を中心とした関係組織と協働し、この医療政策室がフル稼働して「医療」にとどまらず、本学全体の活力向上のエネルギー発信源になることを目指しています。

情報政策室
情報基盤の整備と広報活動の充実に向けて
文・椿 康和

( TSUBAKI, Yasukazu )
理事・副学長(情報担当)

情報化の推進

 情報政策室は、情報メディア教育研究センターや教育室と連携して、教育・研究活動の基盤となる情報通信サービスを安定的に提供し、e-Learning環境の整備や教育用コンテンツの開発を促進します。また、最新のERP(統合基幹業務)システムの導入など、大学運営の効率化を情報システム面で支え、限られた経営資源の下でより良いサービスを提供するため、経理や人事など各部署が個別に行っていたシステムの開発・運用業務を情報政策室に集約しました。さらに、情報サービス充実のため、情報メディア教育研究センターに新たに情報サービス部門を設置し、システムエンジニアを配置しています。
 情報化の推進には、端末や遠隔講義設備などの情報環境の整備、サブネットワークの管理や情報セキュリティ対策の実施など、様々な課題が存在しています。情報政策室では、全ての部局を対象としたヒアリングを実施し、それにもとづく全学的な情報化推進プランを検討しています。

広報とUI
 もう一つの情報政策室の主な業務である広報活動は、本格的な実施段階に入ったUI活動と一体となって進めていきます。「世界トップレベルの特色ある総合研究大学」という到達目標をめざす広島大学のブランド価値を一層高めるために、本学の学生・教職員の活動を、様々な関係者の方々に的確に伝えていくことが重要になります。このため、広報体制の強化策や広報メディアのあり方に関する検討に着手しており、学外への情報発信力を高めるWebコンテンツ管理システムの導入や、大学紹介パンフレットの大幅な改訂を進めています。

ビジョンと情報の共有を
 ビジョン共有型の大学運営では、組織全体の到達目標や問題認識を共有して、教職員一人ひとりがその実現に向け努力することが基本となります。この活動を支えるために、構成員相互の活発なコミュニケーション活動と情報の共有が不可欠です。新たな運営組織はスタートしたばかりで、オフィス同士の横の連絡がまだ十分とはいえない状況です。情報の共有とともに、オフィス間、オフィスと部局が密接に連携して課題の解決に取り組める仕組みを、もっと機能させる必要があると感じています。

財務室
財務室の任務と役割
文・前川 功一

( MAEKAWA, Koichi )
理事・副学長(財務担当)

 四月から旧事務組織の経理部と施設部が合体して新たに財務室が発足しました。職務内容は学内予算配分、執行、決算、文部科学省への概算要求、施設管理などが主です。さらに労働安全衛生法に基づく職員の安全衛生に関する事項の一部も財務担当の所掌事項になっています。
 法人化後は国から支給される運営費交付金の使い道は基本的には大学の裁量に任されることになりました。法人化にあたって広島大学は、「国立大学法人広島大学設立構想」(教職員には配布されている)の中で「人的・物的・財的資源の全学的管理」という基本方針を打ち出しました。この方針に基づいて本学は、運営費交付金と授業料収入などの収入(十六年度は五百七十四億円の収入)を、中期目標・計画に従いつつ、本学の到達目標である「世界トップレベルの特色ある総合研究大学」という大方針を達成するために予算編成を行うことになります。施設に関しては、大学の施設は原則として部局の所有物ではなく、全学的な観点から施設の効果的・効率的利用を推進し、優れた研究成果を生み出す環境の創出と長寿化による長期的な施設費の節減を図らなければなりません。また大学全体のエネルギーを総合的に管理運営することも大切な仕事です。予算の配分に関しても昨年までと大きく異なります。主な改正点は、従来のように積算基準に基づいて部局ごとに予算を配分し、その使途の詳細は部局に一任する方式を改め、人件費などの全学的管理的経費、基盤研究費、研究特別経費、学長・部局長裁量経費、予備費などに分類し配分することになりました。また教育費を研究費から切り離し、教育に係る経費を明確にした点も大きな変更点です。
 しかし、厳しい財政状況の中で、しかも減少傾向にあるパイの中での有効利用や経費節減を呼びかけるだけでは前途の展望が開けません。社会連携室、学術室などと協力しながら財務室としても外部資金の獲得を通してパイの拡大を図る努力が必要だと考えています。また、法人化以前は、国の会計法規に規制されていたため物品の調達方法等に数々の制約がありました。しかし、法人化後は、この制約が緩和されたことによって時代に適合した購入方法等(例えば、今年度から可能になったインターネットによる図書の購入など)を積極的に導入したいと考えています。この他にも前例にこだわらずいろいろな工夫をしてみたいと考えています。皆様からアイディアを寄せていただければ幸いです。

人事・総務室
国立大学法人にふさわしい人事制度と
大学運営システムの構築を目指す

文・塩谷 幾雄

( SHIOYA, Ikuo)
理事・副学長(人事・総務担当)

 まず、人事・労務関係の仕事を担当しています。法人化後の人事・労務関係は、職員の非公務員化に伴い、国家公務員法制から、民間労働法制へと大きく変わりました。しばらくの間は戸惑いもあると思いますが、労使協議のルールや健全な労使慣行などについて、今後時間をかけて形成していかなければならないと考えています。
 職員数や給与に係る制度についても、定員の考え方はなくなり、従来の定員削減が直接国立大学法人に適用されることはありませんが、いわゆる効率化係数により人件費を含む運営費が年々縮減されていくことが予想されることから、今後、国家公務員の人事・給与制度の動向や他大学の状況、財源の問題など様々な角度から検討を進め、本学としての新たな仕組みを構築していくことが課題となっています。
 このほか、法人化後新たに、あるいは衣替えして設置された、役員会、教育研究評議会、経営協議会などの運営に関わる仕事があります。発足後三か月経過し、学長のリーダーシップのもとでの議事運営の在り方などについても、改善の余地はあると思いますが、ようやく軌道に乗ってきた感があります。
 ところで、法人化後の本部組織については、機動的になった反面、少し細分化しすぎたのではないか、横の連携が図りにくくなったのではないかという声も耳にします。その評価についてはもう少し時間がかかると思いますが、企画立案機能の強化、業務の効率化、労務管理の適正化といった観点からの全学的な見直しは、絶えず行われる必要があります。
 国立大学法人をとりまく様々な状況は常に動いており、また、本学の設立構想が策定された時点では予測できなかった課題なども生じてきています。必ずしも構想の内容に縛られることなく柔軟な対応が今後不可欠になってくると思われます。
 人事・総務の仕事は、職員の身分や処遇に関わる分野であり、また、大学としての意思決定に関わる各種会議の準備作業を担当しています。どちらかといえば、大学運営の裏方として黒子的な仕事の方が多いかと思いますが、知恵を出し合い、創意工夫をこらしながら、職員の皆様が適度の緊張感ある中で、目的意識を持って、いきいきと仕事に取り組むことができる職場環境づくりに努めてまいりたいと考えていますので、皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

附属学校室
附属学校の役割を果たすために
文・間田 泰弘

( MADA, Yasuhiro)
副学長(附属学校担当)

 広島大学には、幼稚園から高等学校まで十一の附属学校があります。それらを統合再編する予定ですが、当面は、その組織を五つの地域にまとめ、大学への研究協力、教育実践とその研究、質の高い教育実習、地域貢献及び日々の基礎的教育を主な目的にして活動しています。これらの附属学校を統括・調整する附属学校室について四つの視点で紹介します。

附属学校室の担当業務

 附属学校室は、附属学校の交流人事、予算を統括・調整するとともに、そこに校長会議を置き、組織としての将来計画や、共通する事業の企画・評価など、全体の運営にかかわる業務を担当しています。

運営組織見直しの効果
 従来から、各附属学校は、それぞれ特色ある教育・実践研究の成果をあげてきましたが、単独の運営体制であったために、せっかくの大きな人的・組織的資源が効率的に機能していないことも多くありました。この度、附属学校室を設置して組織・構成と業務を確立させたことによって広島大学における附属学校の役割と位置づけが明確になり、大学への教育・研究協力と、実践的研究活動が今まで以上に推進できるようになりました。

めざすべき方向性と今後の課題
 校園長のリーダーシップ・権限及び責任を明確にすることによって将来を見通した機能的な運営をめざしていますが、校園長は、教授と併任であるため職務を果たすための時間的余裕が少ないという大きな課題が残っています。
 また、組織としては、東広島キャンパスの近くに附属小・中学校を配置するという計画がありますが、これらが解決・実現しさらに発展させることができれば、児童・生徒・学生の教育、研究協力、実践的教育研究、地域貢献の四つの面で全国に誇れる附属学校になると信じています。

室と各部局・教員との関係
 附属学校室の任務と組織が明確になったことから、教育学研究科を始めとした各部局・教員との相互の連携がとりやすくなりましたが、それを今後さらに深め、教育界のみならず大学全体に貢献できる組織にしたいと思っています。


広大フォーラム2004年8月号 目次に戻る