21世紀COEプログラム
「社会的環境管理能力の形成と国際協力拠点」
COE国際シンポジウムと
ユネスコ・アペイドセミナー開催 
文・金原 達夫
( KIMBARA, Tatsuo )
大学院国際協力研究科副研究科長


国際シンポジウムのパネリストたち


バングラデシュの小学校の教室で
COE国際シンポジウム北京で開催

 国際協力研究科(IDEC:アイデック)による二十一世紀COE(研究拠点)プログラム「社会的環境管理能力の形成と国際協力拠点」(代表松岡俊二教授)は、平成十六年十一月三日、中国北京にある首都師範大学の国際文化学院国際会議場で、国際シンポジウムを開催しました。シンポジウムでは、牟田泰三学長及び許祥源・首都師範大学学長が挨拶をされ、両大学のバックアップを受けた盛大なシンポジウムとなりました。
 松岡教授が基調講演を行い、持続可能な社会の形成に向けた国際協力のあり方、社会的環境管理能力の形成・発展について説明し、その後、パネルディスカッションが行われ日中環境協力と社会的環境管理能力の形成について熱心な討論が行われました。司会は国際協力銀行の開発金融研究所長の橘田正造氏がつとめ、パネリストには国際協力機構の国際協力専門員今井千郎、中国国際民間組織合作促進会副理事長の黄浩明、世界銀行北京事務所の環境社会発展部門主任のAndres Liebenthal、首都師範大学教授の宮輝力、国立環境研究所の主任研究企画官の松村隆、東京工業大学大学院教授の牟田博光の各氏が加わり、研究者、実務担当者がそれぞれの専門の立場から具体的な問題に踏み込んだ討論を行いました。

エキスパート会議

 この国際シンポジウムに先立って、十一月二日には中国人民大学環境学院でエキスパート会議が開催され、広島大学、中国人民大学、北京交通大学、環境科学院、インドネシア環境省、テキサス大学その他から大勢の参加者があり、社会経済、技術、生態のセッションに分かれて二十本以上の報告があり活発な討論が行われました。中国人民大学環境学院はこれまでにも国際協力研究科とは緊密な協力関係にあり、今回の訪問ではこの会議の前日の十一月一日に、同環境学院および国家環境保護総局環境経済政策研究センターと国際協力研究科は部局間協定を締結しました。また、シンポジウム当日の午前には、首都師範大学におかれている広島大学北京研究センターが新装オープンし、牟田学長も参加して開所式が行われました。

ユネスコ・アペイドセミナー

 国際協力研究科はユネスコに協力し、発展途上国への教育協力として、アペイド(アジア・太平洋地域教育開発計画)セミナーの開催を研究科発足当初から行ってきました。本年度も平成十六年十一月八日から十三日まで、「小学校教員養成制度の改善」のテーマについて国際協力研究科でセミナーを開催しました。
 現在世界には、初等教育を受けられない児童が一億人以上もいます。この状況に対してユネスコは、「すべての人に教育を」を目標として初等教育の普及に取り組んでいます。今年度のアペイドセミナーでは、小学校教員養成の改善に焦点をあて、各国が直面する小学校教員養成の問題と質的向上策について各国専門家による国別報告を行い、共通理解を深めるとともに、日本の学校訪問、教育センター訪問を通して日本の教育制度を紹介しています。このように、発展途上国の教育制度の改善に向けて改善策を探求し、各国と協力しながら取り組むことで世界平和に貢献することが、IDECのミッション(使命)のひとつとなっています。

ホームページ
http://home.hiroshima-u.ac.jp/hicec/


広大フォーラム2005年2月号 目次に戻る