本年度は教員44名と職員16名の計60名の方々が定年退職されます。この人数は広島大学全教職員数の約2%に当たりますので、単純に平均するとおよそ半世紀をかけて教職員が入れ替わってしまうことになります。現実には教職員の年齢別構成や途中転出などを考慮すれば、もっと短い年数となることでしょう。いずれにしても、法人化後の体制が固まるには相当の年数がかかることが予想されます。 法人化元年の節目の年に退職されることになった皆様、永年のお勤めお疲れ様でした。とくに、法人化準備には多大の苦労や努力をされたことと推察いたします。今後も、広島大学の外側から厳しい助言を頂けますようにお願い申しあげます。 |
平成十六年は台風の多い年でした。加えて厳しい真夏日が過去の記録を更新した年でもありました。八月末の台風では広島市内で瞬間最大風速が六十mを超え、広島大学でもアンテナの破損や多くの倒木と、いろいろな面で被害をうけました。教職員の中には、交通機関の乱れで身動きが取れなくなった人もあったと聞いています。自然が法人化に呼応するわけではないでしょうが、法人化と台風の直撃を受けた年でした。 昨年度までは法人化を迎える準備に追われつづけましたが、万全の対策を打ってきたつもりでしたし、法人化も何とかひとまず乗り切れたかなと考えています。法人化ははじめての経験ですし、どこの大学でも大なり小なりの波乱があったのではないでしょうか。本年度末で退職される方々もそれぞれの感慨を持たれた年であったろうと思います。 大学の運営に当たっている私達の立場から、所感を三つばかり述べたいと思います。 一つ目は予算配分で、配分の基準は明確にしたつもりでしたが、当初配分案を各部局に提示しましたら、部局特有の諸問題の指摘と要求が出てまいりました。前川財務担当副学長が各部局の意見を聴取した結果を受けて、第一次補正を学長裁量経費を使って行うこととしました。第一次補正では、各部局からの妥当な要求と認められたものについて、改めて予算配分を行いました。さらに、予備費として留保していた予算の残りを用いて、十一月には第二次補正として更なる各部局への配分を行いました。この経験は来年度に有効に生かされなければならないと思っています。 二つ目は人員の配置で、特に教員の配置に関して、中期計画の中で大きな枠組みは示しているものの、細かな基本的基準まで明確にできない部分が残っていました。全教員数の75%が部局の基礎分、15%が部局付加分、10%が学長裁量分としていましたが、特に部局の努力と実績に応じて勘案される部局付加分に対する評価の基準が確定しておらず、したがって、しばらくの間は部局付加分については部局の長の所掌とし、一方、学長裁量分が確保されるよう各部局に努力して頂くこととしました。 三つ目は広島大学教職員代表との交渉で、国家公務員ではなくなったという実感を与えてくれる経験でした。教職員組合が中心となって、署名を集めることによって選ばれた教職員代表との間で、労使協定を締結することができ、無協定の状態で法人化にいたることは避けることができました。しかし、教職員代表との交渉の中で、これまで国立大学の中に安住して明確にしてこなかった点がいくつもあることが明らかになりました。超過勤務手当の問題で困難な事態もありましたが、教員の裁量労働制の問題などについて協定締結にこぎつけました。 退職される皆様本当にご苦労様でした。新たな場所での皆さんのご活躍を期待しますとともに、これからは大学の外から広島大学を支援して頂くよう願っております。 |