モニターから・編集室から




 今期のモニターは、教職員23名、学生12名の35名に委嘱した。各広報委員から推薦の固定モニター制となっている。回収率は29%となっている。

三号のモニター意見から

☆今号の特集「就職協定の廃止と就職問題」に関する感想・意見

学生 「現役四年生からは『今さら…』という不満が出るだろう。変化への大学の対応の遅さは今に始まったことではないとはいえ、藁にもすがりたい学生にしてみれば、ひどい裏切り行為である。結局のところ、どんな変化に対しても、迅速かつ柔軟に対処できる能力を学生自身が身につけなくてはならないということだろう。大学入学時より将来のことを具体的に考えても、決して早すぎることはない」、「大学における就職に対するサポートが日頃から甘いと感じていた」など、大学に対する不満が寄せられた。
 これに対し、「今から就職活動を始める学生にとっては、よい時期での情報提供」、「時期についてはタイムリーでよかった。しかし、内容については少々問題がある。どれぐらいの人が実際に志望どおり就職できたか不明であるし、企業に就職したといっても、どの分野にどれくらい就職したのか不明である」という企画についての意見も寄せられた。
 また、「モラトリアムという言葉が根付いて久しい。このモラトリアムの時期にこそ学生が社会に出てもおかしくないような人間になるべきなのに、モラトリアムの意味を誤解している。学生をもっと精神的に鍛えるべき。就職の手伝いはしなくてよい」という意見も寄せられた。
 なお、「街中にある大学より情報を得る機会が少ないので、この記事を機に、大学で説明会を増やすなどして学生の意識を高めてほしい」、「就職した学生の意見も聞きたかった」という要望も寄せられた。
教職員 取り上げた時期について意見が寄せられた。時期が早いという意見では「夏休み前に『就職の記事』がないと、来年の学生(三年生)にしか役に立たないのではないか」という意見や、「時期としては少し遅い。七月頃が学生も本気で読む」などの意見が寄せられた。
 その他の意見としては、「企業側面接者の感想を」「人事担当者とのインタビューなどがあってもよかったのでは。また、女子学生の就職差別の現状について掘り下げてもらいたかった」という意見も寄せられた。


☆今号の「フォーラム」の記事中、一番興味深く読まれた記事

学生 「歯学部教授選考の背景と経過」が二名、「待望の広島大学後援財団が設立」と「異年齢のかかわりにおける『やさしさと共存』」がそれぞれ一名となっているいる。
 その理由としてはそれぞれ、「信頼の回復には当然必要」、「財団の運用方針や、寄付者が誰なのか興味があったから」、「附属の存在価値が分かったような気がしたから」となっている。
教職員 教職員からは全員が「歯学部教授選考の背景と経過」が挙げられた。
 その理由として、「マスコミ情報からは、歯学部の人事において何かよくないことがあったように写っていた。公にできることは公にして、厳正に運営されていることをマスコミにも伝えるべき」、「マスコミで報道がある以上、どういう立場からであれ、大学側のコメントを表に出すべき。広報誌として絶対必要な記事」が挙げられているが、「大学側の一方的な見解ではなく、問題になっている点を明確にした方がよい。これでは国会答弁と同じ。一般の人が読むとおかしいと思うのでは」という意見も寄せられた。


☆カラーページを増やした点について

 学生からは全員から、「とてもインパクトがあり、機関誌としてのバランスをよくしている」などの肯定意見が寄せられた。  教職員からは、「香港島の夜景が素敵だった」という意見もあったが、「大学の広報に、香港の夜景の特大カラー写真など不適切。紙面がもったいない。『キャンパスの植物』などのような、知的、学術的なことがらで、カラー写真でないと情報が大きく欠けるものにカラー写真を使うとよい」という厳しい指摘もいただいた。


☆「自著を語る」について

学生 「いろんな先生の著書を知ることができてよい」、「専門知識の無い者にも容易に理解できるように書かれており、好感がもてる」、「長いと読む気がしない」、「こんな欄で謙遜などしてほしくない」という意見が寄せられた。
教職員 「痴呆症については興味がもてた」「高齢化社会の日本なので、問題解決の糸口になればよいと考える」「一冊に絞って書いた方がよかったのでは」という意見が寄せられたほか、「内容はさておき、自著の紹介がなぜ、黒い背景の上に印刷しなければならないのか。読みづらい。読む気もしなくなる」という意見も寄せられた。


☆今号の構成について

 学生、教職員とも肯定的な意見をいただいたが、次のような意見もいただいた。
 「就職記事に続いて『留学生の眼』と『二〇〇〇字の世界』の欄があるが、緊張をほぐすというより急に格調が落ちた感じ」、「活字が多く、もう少しカットを増やし、眼を休めるようにしたほうがよい」。




編集室から

 モニターからのさまざまなご意見をありがたく読ませていただいています。約一千万円の校費と二十二人の教職員の労力をかけて、年間八号の「フォーラム」を発行していますが、これが、広報していることのアリバイ証明的であっては、費用と労力の無駄遣いに等しいと思います。より多くの本学構成員に読んで(見て)もらってこそ、これらの投資が生かされます。  なかでも学生諸君に手にとって見てもらえるよう毎号努力しているつもりですが、編集子の周囲の、特に三年生以下の学生は本誌の存在さえ知らない者もいて、少しがっかりしています。
 「文字を少なく、写真を多く」をモットーに編集していますが、記事の多くが依頼原稿で著者の意思を尊重しますので、そのようにはなり切れません。それでも今期は、特集を広報委員の手でつくっていますので、いくらかビジュアル化が進められたと思います。
 記事内容についても、「意見の交流」が深まるよう取材をすすめていますが、なかなかジャーナリスティックにはなりきれません。当委員会が大学の管理運営機関の一つであるという制約からでしょうか。
 モニター意見は、これを補っていただく最良の糧となっています。モニターをお願いしている方ばかりでなく、学内外の多数の読者からも、ご意見、ご感想をお寄せください。
(お)

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