フォトエッセイ(32) キャンパスの植物

文・写真 正籐 英司  
(Shoto, Eiji) 
中央廃液処理施設助教授


サギソウ
Habenaria radiata(Thunb.)Spreng.
 
  
サギソウ  秋の気満ちるキャンパスに、サギソウが生い茂っていた。盛夏の湿地に咲く野生のラン、そのサギソウには昔からの言い伝えがある。
 昔々、恋人同士が谷川の水辺のランデブーで逢瀬を楽しんでいた。突然、増水した谷川に、恋人がのまれてしまった。そのことを悲観した恋女はその場に投身し、その後、天国で逢瀬を愉しんでいるそうな。そして、投身した水辺に恋女が変身して咲いているのがサギソウだと言われている。
 これからは、サギソウを鑑賞するにあたり、純情可憐な恋女を幻想したい。サギソウについての昔からの言い伝えによると悲恋の花とされているが、この写真からは純愛を連想させるであろう。
 ともあれ、サギソウは絶滅危急種に指定された野草である。末永く、キャンパス内に保存し、公開したいものである。


 
リンドウ
Gentiana scabra Bunge var.buergeri(Miq.) Maxim.
 
リンドウ  竜胆はその名の示すとおり、神の授けた薬効のある野草として有名である。枕草子第六十一段にその名が見受けられる。
 他の秋草の花々がみな霜枯れてしまった初冬の枯れ草の中に、目も覚めるような青紫色の花。その姿は、純情可憐な中にもクールさを感じさせる。
 リンドウはキャンパス内では、絶滅危急種であろう。キャンパス内に保存・育成し、末永くその姿を楽しみたいものである。


 
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