世界の大学シリーズ35

ブリストル大学
 イギリス(連合王国)








ブリストル大学正面からキャンパス全体を望む

大学近くの広々とした公園

郊外の水路で動物を採集する筆者

ダウンタウンからの坂を上がると大学(塔のある建物)に至る

ブリストルの港で祭りが催された

  
 ブリストルはイングランド西海岸の大きな湾の奥に位置し,かつては貿易で大いに栄えた港町である。最近は,貿易業はあまり盛んではないが,その地の利の良さ(ロンドンから自動車で約2時間)から,さまざまな企業が進出しつつある。
 ブリストル大学は,町の中心部から少し丘を上ったところにあり,工学部・医学部・教育学部など,ほとんどの学問分野に関する学部を擁する総合大学である。
 大学のキャンパスと周囲の街とは半ば交錯しており,商店街を歩いているといつのまにか大学の中に入っているといった感じである。また,大学の周辺には数多くのパブがあり,昼食時や夕方から夜にかけては大変なにぎわいを見せている。秋に新入生が入ってくると,それからしばらくの間は酔っ払った学生たちが周辺を徘徊し,歌をうたったり大声で叫んだりと大騒ぎをしている光景をよく目にした。18歳になるまで飲酒は禁じられており,その反動もあってか大学生になると突然大酒を飲む傾向があるらしい。日本の学生とすこし似ている。
 私が滞在した生物科学部には,ポスドクも含めて約60人の研究スタッフがおり,600人を超える学部生と80人ほどの大学院生が所属している。他の大学の生物系学部(学科)と比べても最も大きなものの一つである。
 毎日午前11時と午後4時には生物学系のほとんどのスタッフと大学院生がcommon room(いわゆる茶飲み部屋)に集まり,いろんな話をしながらにぎやかにお茶を飲む。話題は多岐にわたり,休暇の予定の話や実験に関する討論などさまざまである。なかには,いつもほとんど話をせず,黙ってお茶をすすっている者もいる。全般にあまり追い立てられるような空気がなく,ゆったりとしているように見えるが,着実に研究成果をあげている印象を受けた。
生物生産学部 吉田将之(よしだ・まさゆき)



 


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