私を支えてくれたもの
濱本 房代
(はまもと ふさよ) 附属図書館医学分館
〈部局歴〉
昭和37・7 原爆放射能医学研究所
56・6 附属図書館
いつのまにか、医学分館の周りの寒椿が、赤い花を咲かせています。
あと数か月で広島大学を去るに当たって、三十五年あまりの長い公務員生活を支えてくれたものは何だったろうと想いを巡らせました。
昭和三十七年、原爆放射能医学研究所化学療法部門に配属されて以来、原医研図書分室、医学分館と霞キャンパスでの異動でしたが、心の触れ合う人たちに出会い、親しい友ができたことでした。育児で大変な時期はお互いに励ましあい、職場の対人関係の軋轢に悩む時は慰められ、体調の悪い時期は後押しをしてもらい、今日ここまで勤められたと思っています。
私が短期大学を卒業した頃は、今日と同じように就職難の時代でした。図書館の仕事に就きたいと願い、紆余曲折の末、今の仕事に就くことができました。
人から見ると単調な日々のようですが、誰も開けていないインクの匂いがプンとする「本」を手にしたときの小さな感動。その本を必要とされる方へ手渡したとき、相手の顔に浮かぶ微かな微笑み。そんな小さい感動が今日まで私を支えてくれたのです。
退職後は、広島大学で得た宝物─友─を大切に、そしてシンプルライフに生きていきたいと思っています。
医学図書館員セミナーの参加者と医学分館で(筆者右端)
広大フォーラム29期6号
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