第1回中国四国ベンチャービジネスラボラトリー(VBL)院生夏の学校  
文・ 松門 宏治(Matsukado, Koji)   
理学研究科博士課程後期・前VBL院生委員長
写真・ 松崎 泰貴(Matsuzaki, Hiroyoshi)
理学研究科博士課程前期

 
 一. ご挨拶 
 えぇ、広大VBL院生委員会委員長の松門でございます。以前本誌にVBL院生の紹介記事を書きましたが、今回は、八月二十五日から二十七日に行った「第一回中国四国ベンチャービジネスラボラトリー院生夏の学校」についてレポートします(ちなみに今回の準備担当は広大VBL院生委員会、世話人兼校長は私であ りました)。


 二. この企画について 
 ここ数年、各地の国立大学にVBLが設置され、活動を開始しています。
 「VBL設置の目的は、二十一世紀に向けて、挑戦的・野心的(ベンチャー的)に科学技術の開発研究に従事できる大学院生の教育」なんて言ってますが、どこのVBLも創設期のごたごたから抜け出ていません。ましてや院生なんて放し飼いであります。院生たるものは自分で芸を覚えないといけません。VBL院生にとってそれはどんな芸でしょうか。
 一つは、(何だか解らないけれど)分野を超えた研究や発想を駆使できる研究者や技術者になることです。しかしながら「分野を超えた…」と軽々しく口にはできても、具体的にそれがどういったことを指すのかは大きな問題であります。
 同じような悩みは、黎明期にある国内のVBLで研究を始めた全ての院生が持っているはずです。そういう大学院生が集まって、互いに何を考え、何を研究しているのかを話し合うことは非常に有意義ではないでしょうか。
 このような理由で、VBLの大学院生によって企画・運営されたのがこのイベントであります。こんなことを言っておくとVBLから援助も出る(*注)に違いありません。何といっても日本初の試みなのですから、合法的に休みも取れます。もう、とにかく画期的なんですってば。
 (*注)この企画は、広島大と岡山大のVBL主催、徳島大と山口大のVBL共催です。援助は各VBL毎に異なっていて、広大の場合、三千円(円/参加者)でした。ごっつあんです。


 三. 開催・現地にて 
 開催地は島根県の国立三瓶青年の家。二十六名(岡山十一名、徳島三名、広島七名、山口五名)の参加者と十七件の発表のエントリーを得て、いよいよ夏の学校の始まりです。校の始まりです。
 一日目
 スケジュールは、開校式、オリエンテーションと順調に進み(この辺りは、どうでも良いのですが…)、夏の学校のメインイベントの懇親会(なんでやねん)がその夜行われました。想像以上の壮絶な盛り上がり(写真1)の後、翌日ポスターを貼るのが精一杯という程度の体力のみを残して、懇親会は終了したのであります。

(写真1)懇親会から…。広島大学VBL院生委員会委員長某氏他
 二日目
 定刻の九時半から少し遅れて、酔い醒ましの研究会が始まりました。二日酔いで頭痛に悩む座長の挨拶に始まり、順次各VBLの機器紹介のトークが進んでいきました(写真2)。トークは一時間程度で全て終了し、十一時ごろから昼食をはさんで十五時までのポスター見学に移行しました。あちこちのポスターの前では活発な議論が交わされました(写真3)。
 分野のばらつきで言うと「特定フロンの有効利用」から「高エネルギー素粒子実験」までという無秩序さ、しかも発表者間にフィールドのオーバーラップがほとんどないという恐ろしい状況でしたが、その分全く目新しい研究分野に接することができ、さらに各VBLの状況や特徴がよりよく見えて、当初の研究会の目的が十分に達成されたのではないか、と思いました。
 その夜の座談会(当然アルコールつき)では、深夜までVBLでの活動から政治の話まで、幅広い議論がなされ、
●第二回中四国VBL院生夏の学校を来年行う。準備校は岡山大学が担当する。
●中四国のVBLで研究する大学院生が互いに連絡を取り合って、協力し合える体制作りの基礎となるメーリングリストを作成する。
という事項を決定しました。

(写真2)研究会、機器紹介トーク

(写真3)研究会、ポスターセッション
 三日目
 セミナーハウスの大掃除と閉校式を行って、十時には無事解散しました(写真4)。
 その後は、参加者の一部は、幾つかのグループに別れて島根県の名所へ向かったようです。
 ちなみに広島と山口の院生の一部は、島根ワイナリーでワインをたらふく試飲した後(三日間飲みっぱなしじゃねえか)、出雲大社を見学して解散とあいなりました。

(写真4)閉校式の後の記念撮影



 四. 夏の学校が終わってみて… 
 ただ、ひたすら酒を飲んでいただけのようでもありますが、結果的には、やってよかった、成功であったと言えそうです。その根拠は、
●参加大学のVBLの様子がよく解った。これによって、VBL院生としての在り方に少しでも指針が与えられるのではないでしょうか。
●直接自分の研究に役立つことはないであろう研究会ではありましたが、他分野の人間の考えていることの一部でも垣間見ることができたということで、今後の研究活動にとって何らかのヒントを得たはずです。
●何より新しい友だちが大勢できました。そして、その彼らが第二回の開催を支持してくれました。今回の世話人をさせていただいた私としては、これが最大の喜びであります(報告も終わりに近づいたのでまともなことも言っておかないと…)。


 五. これからのイベント 
 これからの広大VBL院生委員会の活動予定について、少し宣伝しておきます。
 院生研究会は今年度も三月初旬に開催しますが、講演者の募集は、早い時期から一般学生にも広く募っていきます。
 夏の学校も来年に第二回が行われます。こちらも一般の学生の参加は大歓迎です。今回も、広島大学内からはVBLに所属していないM1院生の参加と四年生からの問い合わせもいただきました。ふるって参加ください。
連絡先:野草義人
E-mail:yoshy@ipc.hiroshima-u.ac.jp





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