![]() 白亜のロンドン大学セネト・ハウス(1933年建築,大学事務局,図書館,食堂などがある) |
![]() トラファルガー広場に建つセント・マーティン・イン・ザ・フィールズ |
![]() ベッドフォードウェイ通りに面した教育学研究所 |
![]() ブルームズベリにあるフォーセット(女性参政権運動家)が住んでいたアパート前に立つ筆者 |
ロンドン大学教育学研究所 Institute of Education, University of London ロンドンを訪れた人なら必ず足を運ぶ大英博物館あたりの一帯は,ブルームズベリと呼ばれている。今世紀前半にヴァージニア・ウルフなどの小説家や芸術家など,ブルームズベリ派の人たちが先駆的な活動をした場所である。 ロンドン大学は大英博物館の北隣に位置し,ユニバーシティ・カレッジ,バークベック・カレッジ,SOAS(オリエンタル・アジア研究所),教育学研究所などを擁している。ユニバーシティ・カレッジが1826年に開学しているのでイギリスの大学としては比較的新しく,また,女性に初めて学位を出したことで有名である。ブルームズベリ派の時代の先駆け思想が影響したのかもしれない(ちなみに,地名ブルームズベリは現在,「知的な」とか「知識人ぶる」という意味の形容詞としても使われている)。 筆者が文部省在外研究員として(91年から92年)通った教育学研究所の建物は,イギリスの大学らしからぬ近代的な外観である。そこの7階にある,英語を第2言語として教授することの理論と実践の研究を行っている学科にお世話になった。 世界的に著名なウィドソン教授をヘッドに若手の研究者がそろっていた。イギリス国内と外国から多くの学生が押しかけ,スタッフたちは嬉しい悲鳴をあげていたが,おそらく現在もこの研究所で最も人気のある学科であろう。 コースは学部卒業生を対象とする教員養成コースと,研究コース(MAとPhD)が並存している。長期に加えて,アフリカやアジアなどの開発途上国の研究者を短期間(3か月)受け入れる制度が確立しており,国際交流にも積極的である。 学生や研究者にとって,ロンドン大学の「地の利」はありがたい。名だたる美術館,図書館,劇場などが徒歩で行けるだけでなく,大学主催の研究会や講演会に,他の大学から教官を講師として頻繁に迎えることができるからである。求めるものを受け入れる開放的な雰囲気がロンドンの良さであろう。 総合科学部英語講座教授 西田 正(にしだ・ただし)
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