大学院国際協力研究科長 山下 彰一
![]() IDECの特徴の一つは、日本人学生と留学生が一緒に勉強することである。本年度の学生数は二一五名、うち八三名は十六か国からの留学生であった。この体験は、君たちの国際的な連帯感を強めただけでなく、その御利益は十年後、 十五年後に現れると考えている。つまり、机を並べて学んだクラス・メイトと、世界のどこかで一緒に仕事をする機会が必ず訪れると私はみている。これは、IDECで勉学した大きなメリットである。 修了生諸君、IDECを修了したことを誇りに思ってほしい。この二年間、各学部の教室や研究室でバラバラに授業を受け、不便や不満が多かったに違いない。新しい研究科棟にも入れなかった。ただ私は、不満足な条件の下で苦学した君たちに、限りない懐かしさと将来への期待を抱いている。 この研究科は、設立の趣旨や教育理念・方法など、従来の大学院とは違う。まだ、整備の途上にあるとはいえ、必ずやこの分野の先端的大学院になると信じてほしい。君たちもパイオニアの一人である。胸を張って新しい職場で頑張り、後輩たちに道を拓いてほしい。 |
開発科学専攻 深田 卓宏
今思えば二年前、東京から広島の地に移ることで、念願の一人暮らしが叶い浮かれていた自分が滑稽でしかたがありません。 前大学における学会投稿論文の関係で、新幹線や飛行機で授業に通った一年次の四月。授業と研究の狭間で荷ほどきも行えず、段ボールに埋もれて眠った五月。北海道での学会を日帰りした七月…。とにかく、“忙”と“徹夜”の二語で言い尽くせるような二年間でした。 そんな生活でも頑張ってこれたのは、研究室の皆さんの暖かいサポートがあったからだと感謝しています。休日、自宅にまで押しかけて教えを乞い、また、毎日日付が変わろうかという時間まで指導してくださった先生方には感謝の言葉もありません。学生同士では、週一回スポーツの日やパーティーの日を決めることにより、リフレッシュが図れました。 悔いなく社会に飛び立って行けるよう残り短い学生生活を精一杯頑張るのは当然のこと。社会に出ても、この貴重な二年間を無駄にしないよう頑張ってゆく所存です。唯一、新校舎に入れないことが心残りではありますが(涙)。
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教育文化専攻 林 情
留学してはや三年が過ぎ、修了を迎えようとしています。留学当初の私は、異国の地で自分がどこまで頑張ることができるだろうかと不安で一杯でした。それでその不安感を消すために、たくさんの人々に出会い、その出会いを大事にしていこうと思いました。 また、せっかく日本に来ることができたので、日本の人々に母国の韓国のことをもっと解ってもらおうと思いました。その中でも特に忘れられないのは、一昨年九月の福山、御調(みつぎ)高校一年生との交流です。外国の留学生と日本の高校生が一緒になって、外国の料理を作るということでお互いを知ってもらおうというテーマで催されたものでした。 最初はお互いに緊張して話しかけるのも難しかったのですが、次第にお互いの思いを伝えることができるようになりました。料理が完成し試食するときの学生たちの驚いた顔を、今も忘れられません。各国の料理を一緒に作ることで、世界の広さと多彩さを、私も御調高校の学生と一緒に勉強することができました。 今年も御調高校の学生から年賀状が来ました。来年、大学生になるということです。修了してからも人々とのふれあいを大切にしていきたいと思います。
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