コラム

中国の大学事情あれこれ(4)
キャンパスライフのもう一つの側面



 メンタルヘルスの問題は、確かに今や国境を超えて深刻な問題となっている。しかし、それでも中国には日本などとは違い、解決への土壌がすでに備わっているのではないか。
 これはすでに知る人ぞ知ることなのだが、中国の多くの大学には「電映院」(映画館)があり、有料だが若干上等の担担麺一杯分ぐらいで国内外の映画を二本は観賞することができる(写真)。また「活動中心」(学生会館的な施設)ではダンスやカラオケパーティーが定期的に実施される。さらにかなり広い運動場や各種スポーツ施設は学生の使い放題で、この他樹木の多い学内には木陰にベンチやテーブルも備え付けられている。学生たちは昼休憩や放課後などを、そうした場所できわめて有意義に過ごすことができるのである。
 我が大学に例をとれば、映画上映会は大学祭などに限られており、何かと狭く施設の不足がちな日本では到底考えられない。「モノは豊富と言われる我が国は、経済発展の影に心の豊かさを捨ててきた」とは、よく言われる言葉だが、決して新しく立派なとは言えないにせよ、以上のような中国における福利厚生施設の充実している様を前にして、彼の国の青年には可能性が残されていると改めて実感した。

(広島大学調査室 橋本 学)


学内の映画館

上映予告板

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