![]() ではどうして付き合いたくないのか。恐らく医師・僧侶・教師はその職業柄、一人一人が自立していて信念を持ち、何事に対しても自説があって、それをなかなか曲げないためではなかろうか。地元にトラブルがあってこの重役が仲裁に入ったとき、その関係者にこの種の職業の人が居ればなかなか収まるまい。重役は何度も苦労してつい首記の愚痴をこぼしたくなったのだろう。 これらの職業にもう一つ共通するのは「倫理」である。僧侶の仕事は倫理そのものであるし、医師・教師には倫理が厳しく求められる。教員や医師の養成課程には倫理の講義があると聞いた。 翻ってエンジニアにとって、個人としての自立性とか、職業上の倫理とは何だろう。工学部の講義要目の中には倫理をテーマにした講義は載っていない。卒業・修了の間際になって急にそんな難しい話をするのは止めてくれ、と言うかも知れないが、諸君が社会に出ればきっとこの問題にぶつかる。 現場の経験を積んで建築士や技術士の資格を獲得することは、個々のエンジニアとして自立することに他ならない。自立すれば倫理を求められる。具体的に言えば、顧客や雇主と意見が違った場合どのような態度をとるべきか、という問題である。今から、ぼちぼち考えてみてくれ給え。 では、お元気で。 |