理学部




 卒業生,修了生の皆さん,ご卒業おめでとうございます。
 皆さんは,これから新しく始まる実社会での生活あるいは大学院での研究生活への大きな期待や不安を胸に抱いておられることと思います。
 そんな皆さんへ理学部の各学科,専攻からのメッセージをお送りします。





☆数学科

 皆さんへのお祝いの言葉として、サン=テグジュペリ作の「星の王子さま」(岩波少年文庫、内藤濯訳)の中の有名な一節をお送りさせて頂きたいと思います。
 「なに、なんでもないことだよ。心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。肝心なことは、目に見えないんだよ」。
 「星の王子さま」の一節は、自分の可能性を信じて一日一日を悔いなく生きることの大切さを教えてくれます。
 何物も恐れない勇気こそが、若さの持つ特権です。その中で、自分自身を磨き、ぜひ、人生における素晴らしい出会いをたくさんして下さい。



☆物理学科

 卒業してゆく人たちはこれから先の準備に忙しいかもしれないが、精神的には最も自由な時間を手にしているのではないだろうか。これまでの人生を思い出してみれば、勉学や研究、人間関係、日々の生活などで愉快なこともあれば、恥ずかしいこともあり、また困難を感じたこともあったかもしれない。そこでこの時間を利用して自分の辿った軌跡を点検してみたらどうだろうか。
 この在学期間がその発達の歴史のなかで最も素晴らしい時期であったことを願っています。



☆物性学科

 卒業生、修了生の皆さん、おめでとうございます。この時を迎えることができたのも皆さんがこれまで勉学に励んだ結果であります。大いに自信をもって下さい。
 これまでにも、幾度かの卒業を経験してきたことと思います。ここで、このたびの卒業が皆さんにとってどのような意味をもつかを考えてみて下さい。また、それとともに大学で何を学んだかを確認して下さい。皆さんの将来に必ず役に立つことだと思います。
 皆さんは、これから各方面で活躍することになるでしょう。その際、ここで考えたことが役に立つことを願いつつ、贈る言葉とさせて頂きます。



☆化学科

 皆さん卒業・修了おめでとうございます。
 「風雪、勤章を育む」、人は厳しい試練を経て強くなり鍛えられるということです。たとえどんな紐余曲折があろうと自分を見失わず、切蹉琢磨して挑戦する人生にしてください。経験は知恵の父、記憶は知恵の母ともいいます。
 私たちが若いときに経験することの中には、一見無意味に思えたり無駄な経験に感じられたりすることもあるでしょう。しかし、どのような経験でもすべて私たちの身について形を変えていつの日か活きてくるものなのです。人生にとって無駄なものなど何もないのです。です。前向きに考えて、楽しい人生を送って下さい。幸運を祈ります。



☆生物科学科

 皆さん卒業、修了おめでとうございます。
 皆さんは、自然科学はいかに理論と実験に基づいて自然現象を客観的に捉え、説明する学問であるかを垣間見たことと思います。物事を客観的に判断するという姿勢は、今後どのような社会・組織に身をおくにせよ、一層重要になることと思います。社会全体が揺らぎの大きい時代になり、常識とか尺度といったものが必ずしも明瞭ではありませんが、感情と理性のほどよいバランスに基づいた、客観的な思考のできる人として活躍されることを期待します。
 巣立っていく皆さんと私たちが、お互いに努力することによって生物科学科を一層素晴らしい母校にしたいと思っています。ご健闘を祈ります。



☆地球惑星システム学科

 みなさんご卒業、ご修了おめでとうございます。地球惑星システム学科の教職員を代表して、心よりお慶び申し上げます。
 卒業後、社会に出ていくみなさんは、幼稚園から小学校・中学校・高等学校・大学、修了の方は大学院につづく長い学校教育を終えて、学んだことを実際に役立てることになります。
 みなさんが大学・大学院で学んだのは、単なる地球惑星科学についての知識だけではありません。問題が生じたときに、それに対処するための科学的な思考力や想像力などの総合力を十分に身に付けたはずです。広島大学理学部の地球惑星システム学科・専攻を卒業、修了したことに自信を持って、今後、困難なことに立ち向かってください。
 最後に、みなさんの健康と幸福を祈ります。



☆遺伝子科学専攻

 本年もまた卒業生を送り出す季節になった。学部卒業生は四年前の入学時に比べ、自分と回りの変化にさぞかし驚いていることだろうと想像する。また、大学院修了生は四年間の広大生活のあとの二年間を終える者もいるし、二年間の西条での生活を終えることになる者もいるだろう。
 遺伝子科学専攻の場合、大学院修了生の約三分の一は後期課程に進学するが、社会にでる者も、進学する者も新しい心構えで、立派に生きていって欲しいと思う。



☆編集委員から一言

 最後になりましたが、皆さんお一人お一人が、それぞれにご自分の好きな道を歩まれ、幸せな人生を送られますよう心からお祈り申し上げます。


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