廃プラスチック,廃試薬瓶,焼却残灰による遊歩道用タイルの作成

文 写真・正藤 英司(Shoto, Eiji)
中央廃液処理施設 助教授


 東広島キャンパスから排出されている排水、廃棄物のゼロエミッション化を目指し、環境保全委員会専門委員会では活動を推進しています。
 ごみの減量化を目的とする廃棄物のリサイクル施策については、まだ二年を超えたばかりの初期の段階であるが、専門委員会及び全構成員の協力を得て着実に推進できています。
 キャンパスから排出される廃棄物、特にごみは紙類、金属類、ガラス類、プラスチック類、燃やすごみの焼却残灰の五種類に分別できます。
 そのうち紙類、金属類、ガラス類は比較的簡単にリサイクルできます。
 しかし、プラスチック類は焼却すればダイオキシン発生の一因となり、埋立処分すればかなりの埋立場を必要とし、またダイオキシンの溶出の一因となります。焼却残灰とプラスチック類はごみのうちではヤッカイな物です。
 このヤッカイな物そしてリサイクルできないとされているプラスチック類、廃試薬瓶、焼却残灰を利用して、安全かつリサイクル可能とする実践・実証的な試験研究を推進しています。
 手始めに、大学から排出されたプラスチック類、廃試薬瓶、焼却残灰を利用して遊歩道用タイルを作成しました。その遊歩道用タイルについてQandA式で解説してみましょう。

Q:これなんだろう。
A:大学から排出されたプラスチック類,廃試薬瓶,焼却残灰を利用して作成した遊歩道用タイルです。
Q:どれくらいのごみでこのタイルを作成したの。
A:湿潤焼却灰330キロ(乾燥灰として65キロ,東広島キャンパスから排出される2日分),廃試薬1,900キロ(東広島キャンパスから排出される45日分)、プラスチック類650キロ(東広島キャンパスから排出される6日分)で、400枚の遊歩道用タイル(300×300×50ミリ,2,600キロ)を作成しました。
Q:施工はいつ,誰が,どこへ敷設したの。
A:平成9年12月10日に施設部のお世話により,桜並木の通りの一部に敷設いただきました。桜の開花期にはこの遊歩道を利用ください。
Q:遊歩道用タイルはどのような行程で作成したの。地球にやさしいの。
A:廃試薬瓶,焼却残灰を砂状にまで破砕し,180度くらいに温め(燃やさない),プラスチック類を投入し,溶融・混練し,型枠にはめて作成しました。決して燃やさないで溶融・混練しているのでダイオキシン発生は極力低減できています。
Q:他にどのような試験研究をしているの。
A:重金属類の溶出試験,各種植物に及ぼす影響,耐久試験などの実証試験をしています。
Q:この遊歩道用タイルについてなにか一言。
A:実践・実証的試験研究は教育研究学内特別経費(処分困難な廃棄物のリサイクルと植物散策路の敷設に関する実践・実証的研究)によるものです。


 ごみで作成した遊歩道を歩いてください。見てください。遊歩道用タイルに名前をつけてください。護美(ゴミ)タイル、ゴミックスタイルなどと。


附属幼稚園でタイルを敷く園児ら

広大フォーラム29期7号 目次に戻る