科学技術学部のルンド教授と筆者は、十年前より「磁気共鳴分光法の物理化学への応用」に関する国際共同研究を開始した。日本学術振興会、スウェーデン自然科学研究財団等の援助を得て、現在までに双方で延べ十人の研究者の相互交流を行ってきた。
これらの研究交流の過程で、同大学SWETECH(Sweden Technology in Foreign Countries)プログラムの責任者であるタンバール教授から「リンシューピン大学では、国際産業経済の専門家を養成するための五年制のプログラムを、一九九四年度に発足させた。ついては、広島大学に毎年二名の学生を交換留学生として派遣し、日本文化、日本の産業経済等について勉学させることができないか」との申し出があり、交流協定締結の仲介役を務めることになった。
交流協定にかかわる準備のため、タンバール教授は三回本学を訪問され、また筆者は、工学部国際交流協定準備助成を得て、九六年三月にリンシューピン大学を訪問した。原爆放射能医学研究所の星正治教授(附属国際放射線情報センター)の協力を得て、同研究所と工学部が幹事部局となり交流協定を締結する運びとなった。
【交流の現況】
交流協定のスタートにより、リンシューピン大学から二名の学部学生がHUSA(Hiroshima University Stay Abroad)プログラムの短期交換留学生として、現在本学で勉強している。さらに、大学院学生一人が特別研究学生として、筆者の研究室で博士論文研究に従事している。
本学からは、工学研究科博士課程後期の学生一人が、工学部留学奨学金による初めての留学生として科学技術学部に派遣され、博士論文研究に取り組んでいる。
学術交流については、これまでの研究室レベルの共同研究は、昨年来STINT(The Swedish Foundation for International Cooperation in Research and Higher Education)からの研究助成を得て、両大学間の国際共同研究「有機および生化学系の放射線物理および化学」に発展している。