あなたが裁判官です! 法学部夜間主コースは、働く学生のためのコースである。当然、その職種は幅広く、人生経験豊富な学生たちである。そして、どの学生も目標意識をもって学問に励んでいる。サークル活動においても、昼間コースほどではないが、どのサークルも限られた時間の中で活発に活動している。 三年前から、夜間主コースの学生だけで、「森戸祭」を企画実施運営している。模擬陪審裁判は、森戸祭の時、実行委員会とは別の企画として夜間主コースでは昨年初めて、企画実施運営した。 昼間コースの甲斐刑法ゼミでは、毎年模擬裁判を開催している。平成九年度も、十一月に法学部の二十周年記念行事の一環として実施された。我々夜間主コースでも、機会があれば実施したいと考えていたが、なにしろ前述のように、昼間仕事をしてい る学生が多いという事情も手伝って、その機会がなかなかなかった。 陪審制度が事実認定を一般人の経験則に求めるということを目的としていることを考えれば、夜間主コースの学生が企画する方がより経験則に基づく、より精度の高い脚本を制作できることになる。 そして今回、適役の人材が甲斐刑法ゼミに登場し、機会を得ることができた。 我が甲斐刑法ゼミのメンバーは、看護婦、警察官、海上保安官、マスコミ関係者、保険営業マン、音楽家等多種多様な職種により構成されている。 当然、医学的知識や警察段階の捜査の現状・方法等につき、誰に聞くより確実な現場の情報・状況が、瞬時に我々の疑似体験となるし、実施の段階の模擬法廷で、警察官役を演じたのが本物の警察官なのだから、その精度は高くて当然である。 しかし、やはりネックになったのが、昼間の仕事である。準備の段階で全員揃って練習したのは前日の一回のみであった。だが、逆にこれが当日のよりよい緊張感を生んだとも言える。我がゼミの、初めにして大成功に終わった模擬裁判は、少ない準備時間を、チームワークと人生経験で補ったと言える。 模擬裁判の後、森戸祭のビアガーデンで、軽い打ち上げを行った。甲斐ゼミは、甲斐先生を筆頭に酒好きが多い。しかしあの時ほど、おいしいビールを飲んだことはなかった。我々はこの模擬裁判の企画と、今年のゼミのことをおそらく生涯の宝とすることであろう。 |
証人の捜査官を尋問する検察官(監督脚本)と聞き入る傍聴者たち |
証人尋問する弁護士(筆者)と聞き入る陪審員(市民も含む) |