HCR広島大学キャンパスレンジャー誕生

文・野村 正人(Nomura, Masato)
広島大学キャンパスレンジャーグループ代表


 設立記念企画 Happy New Year Count

 1998年1月25日(日曜日)9:00〜11:30
 天  候:快晴,無風,積雪あり
 参 加 者:18名
 観察結果:14科21種類の野鳥


設立記念企画

 この冬一番の寒波に覆われた翌日、東広島キャンパスは積雪5センチメートルで真っ白になった。
 広島大学キャンパスレンジャーグループはこの日、設立記念企画として東広島キャンパスで探鳥会(ハッピーニューイヤーカウント)を行った。レンジャーをPRすることと、今後の自然観察会の基礎になる数字を得るための企画だった。

 集合時間の午前九時には、十数人の人が山中池そばの藤棚付近に集合していた。前もって中国新聞ほかで案内をしてもらっていたので、参加の事前連絡はたくさんあったが、その人たちの顔がみえない。積雪のためであろうか。雪が積もって、晴れ上がると絶好の探鳥会日和になるのに残念であった。
 探鳥会をしながら、ゴミを自然な気持ちで拾って歩こうということにしていたが、積雪のためにゴミがほとんど目につかなかった。山中池のまわりはゴミがけっこう多いのだが、この日は、ほんとにきれいだった。
 山中池では十羽ほどのヨシガモが朝日を浴びながら羽根を休めていた。用意した望遠鏡に姿をとらえ、参加者のみなさんに順番に見てもらった。ヨシガモの顔はすまして、ナポレオンみたいでしょうと言うとみなさんは納得して下さる。
 このあと、理学部の生態実験園、事務局前を通って東大橋の下をくぐり、ぶどう池まで出た。途中枯れ草のヤブがあったが、全員怪我もなくたどり着けた。特に東大橋の下を流れる山中谷川の水はたいへんきれいであった。川幅が二メートル以上あるが、堆積した土砂の上を通って横切ることができた。しゃれた木の橋でも欲しいですねと言った人がいたが、それも今後のレンジャーの企画にしよう。
 実はもう少し下流の角脇調節池まで行くつもりだったが、ぶどう池で解散予定時刻になってしまった。ぶどう池南のモニュメントのあたりでぐるりと輪になって集合し、この日に見た鳥の種類と数を全員で確認した。結局十四科二十一種類の野鳥が観察できた。その後ひとり一人に印象を語ってもらった。後ひとり一人に印象を語ってもらった。
 普段何気なく過ごしているキャンパスにもたくさんの野鳥がいることが分かってよかったという感想のほかに、一般市民の方から、広大のキャンパスにこんなすばらしいところがあるのなら、ときどき来てみたいがいいだろうかという質問も出た。


九年十一月に発足

 広大フォーラムに過去何度か「キャンパスレンジャー」の名前が登場している。水辺環境研究グループや環境保全委員会専門委員会の記事で提案されている。そして平成九年十一月の大学祭参加企画シンポジウム「広島大学キャンパスの環境を考える パート2(環境保全委員会専門委員会主催)」の後半に、よりよいキャンパスの環境づくりのための核としてキャンパスレンジャー制度が設立された。

 私たちの関与する空間をどうしたらいいのか、自然環境をどう保全すればいいのか、あるいはキャンパスの快適さはどう実現すればいいのか、これらの問題を多面的に検討し、しかもその実現に向けて自らも活動するグループとしてこの制度を発足した。


快適なキャンパスを目指して

 洋画などで海外のキャンパスを見ることがあるが、それらはうらやましいくらいに美しい。大きな樹木、ゴミひとつない広々とした芝生、歴史を感じさせる建物群。大学のキャンパスは工業団地などとは違う雰囲気が欲しい。

 しかし、広島大学のキャンパスの現状はあまりにもひどい。おそらく今のままの植栽管理だと十年、二十年たっても大学らしい景観にはならないだろろうと指摘する先生もいる。筑波大学は、広島大学と同じような移転をしたが、二十年で樹木の豊かな落ち着いたキャンパスになっている。東広島キャンパスもあそこまでなれるだろうか。移転して十数年経過した工学部周辺の景観から判断しても、東広島キャンパス全体が十年やそこらで総合大学にふさわしいキャンパスに変容してゆくとは思えない。

 学内に散乱するゴミもひどい。広島大学は毎年四千人以上の人材を世に送り出している。ごく一部の人であろうが、ゴミを平気で路上やヤブの中に投げ捨てたり、吸い殻をあたり構わず捨てる、昼休みに憩う場所が少々汚くても平気。こういう青年を広島大学卒として、あるいは日本の高等教育の成果として社会にお返ししている。こういうことは、今後も広島大学で学んでいく人たちにとっても残念であるし、何よりも本人たちにとって不幸なことに違いない。


考え行動するグループ

 環境保全委員会専門委員会の環境教育活動の一環としてこのグループが設けられた。これまで個人的に行動してこられた方も参加してみませんか。このグループはあくまでもボランティア組織です。
 グループのメンバーとして、本学の教職員、学生、地域の方たち、あるいはネットワーク上で協力できる方を広く募集します。






 連絡先

東広島キャンパス:(ダイヤルイン)
 野村正人(〇八二四)二四−六二一八
 上村信行(〇八二四)二四−七八四二
霞キャンパス:(ダイヤルイン)
 神田博史(〇八二)二五七−五三三〇



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