図書館−時空を超えた知の殿堂−

附属図書館長 位藤 邦生




 新入生の皆さん、広島大学へようこそ。東広島キャンパスのほぼ中央に、真っ白い姿を見せているのが中央図書館です。東広島キャンパスにはこのほかに東図書館、西図書館があり、広島市には、医学分館と東千田分室があります。これらの大学図書館は、全館あげて、皆さんの入学を歓迎します。
 『眺めのいい部屋』などの小説で知られるイギリスの作家、E・M・フォースターに、『アレクサンドリア』という著作があります。アレクサンドロス大王が建設した古代都市アレクサンドリアの歴史を、生き生きと語った書物です。
 その古代都市にあった学園ムーセイオンをフォースターは「プトレマイオス王朝の一大知的記念碑であった」と評し、「それは当時の文学と科学の発展に大きく寄与したばかりでなく、思想の分野においても不滅の足跡を残した」と書いています。彼はまた「この巨大な施設のなかでも、とりわけ天下にその名を知られたのは図書館である」と記しました。蔵書数は実に五十万巻、図書目録は一二〇巻であったと伝えられています。
 広島大学の蔵書数は現在およそ二八〇万冊にのぼります。その中にはたった今刊行されたばかりの書物から、数百年前に書かれたり写されたりした内外の書物の原物が含まれています。
 一方、オンラインジャーナルと呼ばれ、コンピュータを用いて利用するジャーナル類の利用も可能で、その点では、世界中の大学や図書館と結ばれた「超図書館」といってもよいでしょう。
 図書館は皆さんの知的意欲をどこまでも応援します。心に余裕を持つためにも、情報社会への対応のためにも、どうぞ、欲張って図書館を利用してください。図書館は皆さんのどんな要求にも、きっと応えてくれるものと信じています。

 



広大フォーラム29期8号 目次に戻る