生物生産学部長 三國 英實
皆さん、入学おめでとうございます。 広島大学と生物生産学部は明年、創立五十周年を迎えます。そのようななか、皆さんの努力が実ってめでたく入学されたことを心よりお祝いいたします。 生物生産学部では、環境保全を図りつつ生物の生産性を高め、生物資源の有効利用を実現し、食糧生産をはじめ人類の持続的生存と福祉の向上を理念として、教育と研究を行っております。 食糧問題ひとつ見ても、たとえば、国連児童基金(ユニセフ)の『一九九八年世界子供白書』では、世界の子供の三人に一人が栄養不良の影響を受け、多くの子供に死をもたらしており、緊急事態としてその解決を訴えております。 新入生の皆さんが、いまの感激を大切にして、広い視野から歴史や現実を科学的に見つめ、未来への確信をもてるように有意義な学生生活を送ってほしいと願っております。 |
生物生産学部 新入生チューター長 濱崎 恒二
あなたにとって大学とはどんな所になるのでしょうか。大学を知の海原にたとえると、そこに学ぶ者はさしづめ海を渡る航海者、といったところでしょうか。 これまでは、すでに確立された知識を自明のこととして学んできたことでしょう。豪華客船に乗り、多くの乗客の一人として定期航路を渡ってきたわけです。しかし、これからは一人ひとりが自分の船に乗りこみ、自身で船を操って海を渡ろうとしているのです。大学の教官は、操船方法を教えるだけです。あなたがどの航路を取って、どこに行けばよいかは教えてくれません。 けれども、そこには新しいもの、未知のものを見つけるあなただけの喜びと興奮がきっとあるにちがいありません。そして、あなたが切り拓いた航路が、新しい定期航路となるのです。 「何を学ぶか」ではなく「いかに学ぶか」。知の成果のみを蓄積するのではなく、そうした知がいかにして得られるのか、そこにどのような背景があるのかを学んでください。私もまた、一航海者にすぎません。いざ、知の海原へ。 (はまさき・こうじ)
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応用生化学講座 日本学術振興会特別研究員 木須 康智
新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。いよいよ新しい生活が始まります。みなさんは、大学で何にめぐり会うのでしょうか。私もほんの十年前に、大学の門をくぐり「生物の研究」にめぐり会いました。研究というものは予想外の結果の連続で苦労も多いのですが、それゆえすばらしい結果を得た時はまた格別です。 私はその魅力にとりつかれてしまい、以来大学院(生物圏科学研究科)を経て博士号を取得し、現在は特別研究員という、研究を日々の糧とする生活を送っております。 桜の花は咲いたばかり。これからは好奇心の枝を広げ、その中で見つけた目標という光に向かって青葉を茂らせ、自分という幹を成長させてください。また、その陰には地盤となってみなさんを支えてくれる人たちがいることも忘れないでください。 (きす・やすとも)
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