読者からの手紙
◇先日は、同誌五号と教養的教育に関する貴重な資料を送っていただき有難うございました。貴学の開設された教養的教育の内容を拝見し、たいへん立派な制度と拝察いたしました。
私は、教育には全くの素人ですが、教育には関心を持っています。私は旧制広島高等学校最後の卒業生(昭和25理3)です。そこで授かった教育は、まさに一般教養であったと思っています。そして、大学で専門教育を授かる前にそのような教育を受けることができたことを、今でも感謝しています。
その後、新制度が発足した際、大学に二年間の教養課程が設けられたので、そこで一般教養の履修が行われているものと思っていました。
ところが最近、ほとんどの大学で教養課程が無くなっていることを知り、びっくりしました。テレビのインタビューでは、学生が「大学は職を身につける所だから、専門課程だけあればよい」と言っているのを見て、またびっくりしました。
これでは、教養のない知識人(知識人と言えるかどうか分かりませんが)が生まれ、こういう人たちに日本がリードされるのかと、たいへん心配しています。
貴学ではこの点に着目され、大学での教養的教育の充実を目指しておられるものと拝察し、心強く存じております。お送りいただいた資料によれば、時代の進展に伴い複雑になっていますが、その内容は旧制高校に欠けていた課目も含まれ、より進歩したものになっていると思います。理念はまさに旧制高校と同じだと感じました。
しかし一方、同誌六号のモニター報告によれば、教養的教育が学生にも教職員にもあまり理解されていないのが心配です。
ほぼ同じ理念のもとに運営されてきた旧制高校が、アメリカの圧力で廃止されるまでの六十年間、学生にも一般市民にも理解されて存続し続けた理由と、新制度で創設された教養課程が永く存続し得なかった原因を分析していただきたいと思います(旧制高校が優れた点ばかりであったとは言えませんし、その優劣を含めすでに分析済みとは思いますが)。
アメリカの大学の教養課程は多くの大学で存続しており、なかには教養課程のみの大学も成功していると聞いています。日本でなぜ、教養課程が理解されないのか不思議です。
これらの分析結果も踏まえて、この新しい教養的教育制度を守り育て、これからの世界に通用する、グローバルにして優秀な人材を多数広島大学から輩出されますことを祈願しております。
(旧制広島高等学校同窓生)
◇七号をお送りいただき、有難うございました。学部卒業生、大学院修了生を送り出される頃となり、大学の近況を知ることができます。
大学人事に関しては、私は実情が全くわからない領域の門外漢です。ただ、人事は大学における最重要事項の一つですから、における最重要事項の一つですから、一般論として感想を申し上げるならば、疑心暗鬼を防ぐ意味で、責任者から論点を明らかにされたことはよかったと思います。
(名誉教授)
◇三月十三日、中国新聞に「広大歯学部の医員解雇を患者が採用継続要望の嘆願書提出…」が出ており、その後、広島大学から今期の七号を拝受いたしました。
そのなかに、「高田名誉教授の歯学部への提言」とそれに対する「反論」が出ており、拝読いたしました。
歯学部附属病院では私もたびたびお世話様になり、口腔外科では抜歯で二回ほどお世話になっております。どの先生もたいへんご親切な治療をしていただいて、現在八十七歳ですが、なお十二本の歯と入れ歯がしっかりしており、楽しい食事をしております。いつも感謝しつつ食事していますが、このような記事を悲しく思います。
早く収まりますよう願っております。
(名誉教授)
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