先輩からの裏ガイダンス  
広島大学で新生活をスタートする皆さんへ




 拝啓
 桜の宴たけなわの今日このごろ、このたびはご入学まことにおめでとうございます。広島大学に入学されての印象はどうですか。まずは、入学式での人の多さに驚き、生協食堂の行列にうんざりし、聴講受付の抽選にもれて勉学の意欲をそがれている、かどうかは存じませんが、いずれにせよ、皆さんの一人ひとりが広島大学の一角を占めていることは、喜ばしい現実として、揺るぎのないところです。
 そんな皆さんの新生活を応援するために、僣越ながら私ども広島大学医学部歯学部学生広報紙刊行会「霞プレス」(政治や宗教とは関係ありません)が、数年前の「新入生」経験をもとに、総合科学部や所属学部によるガイダンス(私たちは、これを「表ガイダンス」と呼んでいる)に対抗して、ここに「裏ガイダンス」を執 り行わせて頂きます。
 それでは、くれぐれも交通事故と一気飲みによる急性アル中にだけは気をつけられ、大学生活をエンジョイされることをお祈り申し上げます。
敬具      
  (霞プレス編集部)


 
 裏ガイダンスその1 「大学と高校の違いと私」 


 さて、私は(一般的な)高校と大学の違いを書こうと思います。


授業
 高校と同じように必須の授業もあれば、高校と同じように選択科目もあります(同じじゃねーか)。しかし、選択の幅はだいぶん広いです。高校のときにもあった単位ですが、大学では自分でどれだけの単位が必要だとか、何が必要だとか、自分で考えなければならなくなります。
 私はとりあえず単位をそろえるために簡単そうなのを選択していきましたが(先生には内緒だぜ)、みなさんは自分の興味のある教科を選択しましょう。

クラス
 教養ではみなさんの好きな科目を選択するので、必須科目のとき以外はクラスというものを感じることはありません。この機会を利用していろいろな学部の人と仲良くなって下さい。

チューター
 チューターというのは、高校でいう担任の先生みたいなものです。しかし、大学に入ると朝の会や、帰りの会というものはありません。連絡事項は原則として掲示板を以てなされ、チューターがいちいち注意してくれるわけではありません。それよりも、チューターは人生の先輩として相談にのってくれるので、心強い存在で す。実際には留年しそうだとか、事故を起こしてしまったというときにお世話になることが多いようです。す。皆さんは、ピンチのとき以外にもいろいろ相談しましょう。

クラブ
 野球部やサッカー部はもちろん、大学ともなると自動車部、ゴルフ部、探険部、霞プレスなんてものまであります。勉強以外に打ちこめるものを持つことの意義は、大学のクラブでも同じです。人脈ができるというのも大きいです。先輩から得られる情報は貴重です。教科書ももらえます。

 アルバイト
 高校ではアルバイトは禁止されていたと思いますが、私の周りの人はみんなやってましたし、みなさんもやっておられたと思います。しかし、大学では堂々と働いてください。
 引っ越しの手伝い、温泉旅館、うなぎ屋の下足番などいろいろありますが、どんなアルバイトでも得られるものは大きいです(お金だけではなく)。
 卒業する前に一般社会の風にあたっておくのは、絶対必要だと思います。いろいろ経験してください。

学生
 高校とは違って大学では生徒のことを「学生」と呼びます。いろんな学生がいます。いろんな所から来てます。外国からも来てます。ひげな学生もいます。お父さんもいます。いろいろいます。

先生
 高校と同じく「先生」と呼びます。「教授」と呼ぶ人はいません。いろんな先生がいます。いろんな所から来てます。外国からも来てます。ひげな先生もいます。おじいさんもいます。いろいろいます。

長期休暇
 クラブに励んだり、運転免許を取得したり、帰省したり(久しぶりに実家に帰ると家族は妙にやさしい)、旅行したり、バイオハザード2をがんばったり、有意義に使って下さい。こんな長期休暇は大学時代でおしまいだ、ということを念頭に大いにたくらんでほしいと思います。宮崎から熊本を経て北九州まで歩くのも良い でしょう。

      *   *   *

   どうですか、参考になりませんね。何か分からないことがあったらタウンページをみると意外と役に立ちます。がんばって下さい。
(医学部・木下 健)



 裏ガイダンスその2「東広島キャンパスライフ」 

 皆さんの生活の新たな舞台となる「東広島」という町について、少し述べさせていただきます。皆さんのほとんどが東広島で過ごすわけですが、はっきり言っちゃいますと、ゃいますと、東広島はのどかな田舎です。私も関西から来て、初めて西条駅に降り立った時、「シマッタ」と思いました。
 下宿も田んぼに囲まれてポツンと存在していますし、梅雨どきにはカエルがゲコゲコうるさかったりします。皆さんもとんでもない所へ来たもんだ、と戸惑ったかもしれませんが、しばらく暮らしてみると、この「田園生活」も案外良いものです。
 夏冬の厳しさは相当なものですけれど、夏なら星空の下でバーベキューをしたり、冬には鍋を囲んでわいわいやったりで暇がないくらいです。見上げれば満天の星、足元には淡く輝くホタルのひかり、こんな贅沢は都会じゃあ味わえませんよね。
 ただ下宿から大学や買い物に行くのがかなり遠かったりするので、原付がないと不便かもしれません。でも、大学近辺ではものすごい速さで開発が進んでいるので、どんどんと便利になってゆくことでしょう。もっとも、人口が増えつつある分だけ交通事情も次第に厳しくなり、交通事故も増えているようですので、皆さん十分に注意して下さい。ちなみに東広島のパトカーは神出鬼没でしかも容赦がないので、違反にも注意しましょう。
 大学についても御覧のとおりだだっぴろく、さまざまなスポーツ施設が自由に使えますので十分に楽しんで下さい。そのほかにも東広島で楽しく過ごす方法はまだまだあるはず。それは皆さんで見つけていきましょう。
 最後になりましたが、皆さんの学生生活が充実したものであることを祈っています。
(医学部・山本 浩隆)




 裏ガイダンスその3「オリエンテーションキャンプ」 

 たいへんだった受験勉強をのり越え、いよいよ新たな挑戦、自分を見つけること、天職を見つけていく旅の出発です。
 この輝かしい出発のお祭りとしてあるのが、「オリエンテーションキャンプ」です。このキャンプは、各学部の新入生、教官が宮島などでキャンプを楽しもうというものですが、なんてったってキャンプなので、テントを張ったり、食事を作ったり、みんなで協力していかなければできません。
 例えば、霞(医学部と歯学部)の場合、班員の構成が医学科、保健学科、総合薬学科、歯学部からそれぞれ二、三人ずつになっていて、この機会を利用して、「チーム医療」の基本を学ぼうというのも、ひとつの目標です。また、普段あまり触れ合いのない先生方と話ができるよいチャンスです。
 そしてなんといっても感動的なのが、夜のキャンプファイヤー。歌に踊りに、若いパワーを爆発させて、自分は生きているんだ、こんなに熱いんだ、と感動して涙を流してしまいます。ぜひ、このオリエンテーションキャンプをすばらしい思い出にしてください。
(医学部・加藤 貴弘)



広大フォーラム29期8号 目次に戻る