世界の大学シリーズ38

ミシガン大学 アメリカ合衆国


寄附を記念して作られたAnn and Robert H. Lurieタワー。毎日正午にタワー頂上にある大小さまざまなベルの自動演奏がある

私の実験が機械工学科のラボ科目Design Projectsに組み込まれた。これは研究結果の発表会の看板

修士課程のセミナーでの講演後,ホストのAssanis教授

1996年にオープンしたRobert H. Lurieエンジニアリングセンター。工学部長室他の各種オフィスが入っている。建物の名前の主(卒業生)からの1,200万ドルの寄附でつくられた。左奥の二階建はWalter E. Lay自動車研究所

Design Projectsで実験を一緒にやった学生たち。中には会社に勤めている者もおり,単位を取って会社に戻れば給料が上がるらしい

  
 ミシガン大学はアメリカ合衆国のミシガン州立大学である。世界の自動車産業の首都(アメリカ人によると)デトロイト市からフリーウェイを車で西に約1時間のアナーバー市にあるキャンパスの他に,フォード自動車の本社のあるディアボーン市(デトロイト市の西隣),州都であるフリント市(アナーバーから車で北に約2時間)にもキャンパスがあり,それぞれ独立して運営されている。
 1979年以来広島大学とは姉妹校の間柄にあり,工学部では日本フォードの援助による交流が行われている。名古屋大学とも姉妹校で,ミシガン大学と名古屋大学が国の自動車産業の中心に近いため,というのが理由の一つらしい。
 私が1995年10月から10か月間滞在したアナーバーキャンパスは,ミシガン大学設立来の歴史のあるセントラルキャンパスと,工学部だけが移転してできた比較的新しいノースキャンパスからなる。セントラルキャンパスでは大学と町が混然一体となっているが,ノースキャンパスの方は大学は町から分かれている感じだ。
 研究はノースキャンパスに最初にできたWalter E. Lay自動車研究所で行った。研究所のラボでは,Tireless Researcher(疲れを知らない研究者)と言われたLay教授(銅像が研究所の2階にあった)をお手本に,先生,研究員,大学院生が昼どきも,ラボでサンドイッチやリンゴをほおばりながら,コンピュータや実験装置と向かい合っていた。しかし午後5時を過ぎると,皆さっと帰る。土曜日,日曜日はほとんど誰も来ない。博士課程の学生もそうである。やる時に集中してやる,そして個人の時間は大切にするという考え方の ようだ。
 私のホストのAssanis教授は研究所のディレクターで多忙をきわめ,研究員,大学院生,秘書(国籍はさまざまで旧ユーゴスラビア,中国,ギリシャ,インド,レバノン,米国,そして日本など)らと共に走りながら仕事をしているように見えた。

工学部 西田恵哉(にしだ・けいや)



 



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