学長インタビューNo.25
教官は井の中の蛙になるな!
日時:平成10年5月7日(木)午後2時
場所:学長室
新緑が映えるゴールデンウイーク明けの午後、井上委員長と二神委員が学長を訪ね、第一号の特集である「学生就職センター発足」問題や今年度の抱負などについて話を伺った。
「出口」については全学あげて考えるべき
広報委員=景気低迷が長引き、学生の就職戦線がいっそう厳しさを増すなかで、国立大学としては画期的な「就職センター」を創設、スタートさせた広島大学の英断を高く評価すべきものと考え、この問題を特集したのですが、この点についてまずお考えをお聞かせください。
学長=大切なことは、きめ細かく学生の行き先を考えることである。工学部などでは、従来どおりのゼミ単位での就職活動で良いわけだが、全学的に見た場合、そうはいかなくなった。今まで学部学科でやっていたことを全般的に面倒をみる必要性が高くなってきた。今回創設されたのは、そのためのセンターである。各地における同窓生の動向をつかむこと、学生を送り出す援助をしてもらう目的で同窓会連合会を作った。
学内の教官は外のことを知らなさ過ぎて、井の中の蛙になりがちなのが不満で、もっと積極的に外に出て、外を知ってもらいたい。また全教官が就職について真剣に考えてもらいたい。
学生に対して入り口ばかりでなく、出口も考えてやらねばならない。例えが悪いかもしれないが、学生はいわば商品である。良い教育をして立派な商品を送り出すこと…これは教官の役目である。
昨年の就職率は七六・五%で、全国平均八六%より低い。教育系を抱えているのが原因かもしれない。学長就任時には教員の就職率は七〇%であったが、現在は四〇%を切っている。教員以外の人材教育が必要かもしれない。全国で教育系学生定員五千人削減が決まっており、本学にも影響があるのではと思われる。
より一層の大学院重点化やSCSの利用を考えたい
広報委員=それでは次に、今年度の重点課題など抱負をお聞かせください。
学長=一つは悲願であった霞再開発である。病院再開発の予算が、政府の補正予算案に盛り込まれた。
二つ目は教育の再編成と大学院重点化である。本学が背負ってきた歴史を生かし、理学部、教育学部、文学部を核に大学院重点化を続けていきたい。夜間大学院については、法学部、経済学部だけでは弱いので、もっと枠を広げたいと考えている。
これは今年度というわけにはいかないが、次に考えている夢は、SCSを利用して西日本の教養的教育を本学がカバーできるようにしたい。今までは「教育系大学」であったが、将来は「教養的教育に関する全国のメッカ」にしたいと思っている。
広報委員=学生の「流動化」の話はどの程度具体化しているのでしょうか。
学長=委員会から答申をもらった段階である。学部間の壁をできるだけ低くし、学生の進路に柔軟性をもたせるべく検討中である。
広報委員=広島大学は世界のいろいろな大学と学術・教育交流協定を結んでいますが、今年外国訪問する計画があるという話を耳にしたのですが…。
学長=六月にロシアのトムスク工大に二日ほど、九月にイタリアのパビア大学に四、五日行く予定である。
広報委員=スケジュールがびっしりのご多忙中にもかかわらず、時間を割いていただき、どうもありがとうございました。
二神広報委員
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井上広報委員長
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