ニューズ・ダイジェスト 

 



評議会だより


大学院先端物質科学研究科が誕生

 平成十年四月、広島大学に新しい大学院組織「先端物質科学研究科」が誕生した。その設立の趣旨は次に述べるとおり。
 理工学の各分野では現在、高度の専門化と細分化が進み、科学と技術の意識的な相互交流を図らなければ、飛躍的な発展が困難になってきている。なかでも先端的な科学・技術を扱う分野では、このような傾向が非常に強くなっている。
 本研究科では、「基礎研究の深化と応用に動機づけられた研究の究極の到達点が自然に一致する」という意味で、従来の「理学」「工学」という枠ではとらえきれない性格を備えた二分野を切り出して教育・研究活動がなされる。
 具体的には次の二専攻から成り立っている。
(1)量子物質科学専攻(学生定員 前期三十三名 後期十六名)
(2)分子生命機能科学専攻(学生定員 前期三十一名 後期十四名)
 こうした構成のもとで、先見性に富む諸研究活動を行うとともに、学際的でかつ総合的な教育を行い、新しい視点から問題の本質をとらえることができる高度な専門技術者と創造的な研究者を育てようとしている。
 初代研究科長には、山西正道教授が選任され(四月九日発令)、四月二十四日に、本研究科の入学式が理学部講義室で行われ、新入生十五名、転研究科生一一三名が研究生活のスタートを切った。
 原田康夫広島大学長は、訓辞で「本研究科は、二十世紀の科学・技術が抱え込んだ閉塞状況を物質科学の側面から打ち破り、新しいパラダイムを打ち立てることを目的に設立されました。皆さんは二十一世紀の担い手です。皆さんが研究者・技術者として二十一世紀を拓くのです」と述べ、続いて山西正道研究科長が、「自らが新しい研究科を立ち上げるという気概を持って、研究に励んでほしい」と激励した。

左から牟田理学部長,山西研究科長,原田学長,西村事務局長


本年度の文部省科研費、広大関係は十七億七五四〇万円

 平成十年度の文部省科学研究費補助金の交付内定状況が、このほど明らかになった。
 予算総額は、一一七九億円(対前年度比五十七億円(五・一%)増額)が計上されている。
 広大の交付内定状況は、七七九件(対前年度比一五三件(二四・四%)増)、十七億七五四〇万円(対前年度比一億五三七〇万円(九・五%)増額)となっている。
 本年度の本学における申請件数に対する平均採択率は四二・九%で、部局等別の申請件数、採択件数及び交付内定金額は表のようになっている。
(資料提供 総務部研究協力課、国際交流課)

(平成10年4月24日現在)
部局 申請件数 採択件数 交付内定金額(千円)
総合科学部 177 64 147,400
文学部 55 31 42,400
教育学部 79 41 58,800
学校教育学部 53 16 16,200
法学部 18 9 7,500
経済学部 18 6 6,100
理学部 274 120 253,100
医学部 260 117 349,100
医学部附属病院 93 30 46,300
歯学部 128 60 125,600
歯学部附属病院 58 20 37,800
工学部 352 142 375,600
生物生産学部 88 35 72,100
大学院先端物質科学研究科(注2) 3 24 66,400
大学院国際協力研究科 29 11 23,800
原爆放射能医学研究所 75 29 89,900
大学教育研究センター 10 9 12,100
総合情報処理センター 7 0 0
遺伝子実験施設 4 0 0
低温センター 1 0 0
留学生センター 3 2 4,000
機器分析センター 2 0 0
アイソトープ総合センター 4 1 800
地域共同研究センター 1 0 0
ナノデバイス・システム研究センター 6 4 11,500
放射光科学研究センター 8 5 26,200
研究開発国際協力研究センター 3 1 1,200
保健管理センター 3 1 500
平和科学研究センター 3 1 1,000

合計

1,815 779 1,775,400
(注1)奨励研究(B)を除く
(注2)特別研究員奨励費分のみの申請件数、一般科研及び国際学術研究の申請件数は旧所属に含む。



平成十年度総合科学研究プロジェクト事業採択される

 総合科学研究プロジェクトとは、総合科学部において、文系と理系にまたがる共同研究をはじめ、さまざまな形の総合的、学際的研究を育成、推進するための研究プロジェクト事業で、萌芽的研究分野を開発し学問の高度化を目指したものである。
今年度は次の七件が採択された。

小島基
 学際的教育の試みとしてのパッケージ別科目の教育方法改善に関する研究 一五五万円
佐野(藤田)眞理子
 女性研究者のキャリアとネッワーク形成の学際研究─性差と理系・文系の違いを中心として─ 五十万円
石倉康次
 地域社会と高齢者生活支援システム─広島市を中心に─ 一五〇万円
石橋勝
 「境界」概念の設定を巡る学際的研究 一二〇万円
原田耕一
 語の情報処理に関する総合的モデルの構築に関する研究 一五〇万円
早瀬光司
 公共空間における散乱ごみの防止とそれに関わる人間の意識と行動に関する研究 一八〇万円
筒井和義
 本能と学習・記憶の制御システムの多角的解析 五百万円



各種委員会の見直しの具体化へ検討開始

 懸案となっていた各種委員会の見直しに関して、第五一一回評議会に学長より具体化に向けた提案があった。
 各種委員会の見直し案は平成九年十月に各種委員会見直しグループ(座長 生和総合科学部長)より学長に答申され、第五〇四回評議会に提示された。この案に対する各委員会、各部局等の意見を平成十年一月末までに提出してもらい、これを踏まえて同年七月までに新委員会規程案を評議会に提出する予定となっていた。
 各部局等の意見をうけて、各種委員会見直しグループで具体化に向けた検討を行った結果、規程審議の円滑化を図るため、答申内容を直ちに規程案とする前に、より具体的提案を提示することになった。
 今後各部局持ち帰りのうえ審議し、その意見を踏まえて七月の評議会で規程案が提案され、九月の評議会で規程が制定される予定である。
 

東広島市への附属学校移転計画の検討始まる

 附属学校委員会の下に、附属学校の移転に関するワーキング・グループを設置し、移転計画を検討することが第五一一回評議会で承認された。
 附属学校のあり方については、昨年七月附属学校委員会の下に設置された特別委員会(委員長 茂里副学長)に諮問され、本年一月二十三日に答申があった。
 この答申は「教育系学部のあり方」が検討されている折から学長預かりとなっていたが、附属学校の東広島市への移転について早急に検討する必要があるため、附属学校委員会の審議を経て、ワーキング・グループ設置がこのたび評議会に提案された。
 ワーキング・グループは教育学部長、学校教育学部長他部局長二名、附属学校長、副校長など計十名で構成され、委員長は附属学校部長が務める。本年七月までに検討結果を出す予定。  


医学部附属病院で「第一回看護経済国際セミナー」開催

 医学部附属病院看護部は、第一回看護経済国際セミナーを三月一日(日)霞構内の広仁会館で開催した。
 同看護部では平成七年二月から、現神戸市立看護大学の中西睦子学長や本学医学部保健学科の水流聡子助教授の指導のもとに「看護サービス管理研究会」を発足し、看護サービス、看護管理及び看護経済などを中心に研究している。
 今回のセミナーは「医療改革と看護経済(英国から何を学ぶか)」をテーマに開催した。英国クィーン・マーガレット大学助教授のジェイムス・ブキャン氏による基調講演「英国医療制度改革と看護へのインパクト」で英国における医療改革の実状などの説明を受けたあと、国際医療福祉大学助教授の金井パーク雅子氏、日本看護協会常任理事の岡谷恵子氏、医療科学研究所研究員の安川文朗氏をパネラーとした討論が行われ、中国・四国地方の看護管理者や大学教官ら参加者二三〇名がそれぞれの立場で、熱のこもった討議を繰り広げた。
 臨床看護婦が主催したこのセミナーには、松浦医学部附属病院長をはじめとする各方面からの学術的支援が寄せられた。ネットワーク作りやセミナーの継続開催などの要望も多く出され、好評のうちに閉会した。
 看護部では、今後も「地域に密着した大学病院」としての看護活動を進めていく決意を新たにしている。

 活発な意見交換が行われたパネル討論



留学生へテレビ贈呈

 四月九日(木)午前十一時から国際交流会館で、留学生へのテレビ贈呈式が行われた。 式のなかで原田学長は、「日本語の勉強や日本の習慣を知るためにテレビを活用するのもいい。日本事情に一日も早く慣れて欲しい。そのためにお手伝いできることはこれからもしていきたい」と述べ、目録を贈呈した。
 これに対して、大学院国際協力研究科博士課程前期一年の夏 海峰さんが代表してお礼を述べた。
 今回贈呈されたテレビは二百台である。

目録を受け取る留学生代表の夏 海峰さん



障害者理解講座始まる

 教養的教育科目「障害者と社会」が今年度からスタートした。障害についての理解を深め、障害のある人の立場になって考える心を全学に浸透させるのが目的。
 学校教育学部が開設し、同学部障害児教育教室の教官八人が交代で授業を担当している。障害者がいることを前提に施設面の改善を考えたり、偏見をなくすことも講義の狙いの一つ。
 障害者(児)教育の第一線で活躍している人を招き、体験や実践を語ってもらう計画である。    


「図書館の利用」説明会に一三〇〇名の参加者

 附属図書館では昨年に引き続き、四月二十日から五月十二日の間、教養ゼミの一環として「図書館の利用」と題した図書館利用説明会を東広島キャンパス、東千田キャンパスで開催した。
 東広島キャンパスでは中央図書館、東千田キャンパスでは四〇四講義室を会場とし、合計二十五コマが実施された。講師は図書館の情報サービス課職員十一名が担当した。
 説明会では、図書館を利用するためのノウハウについての説明、サービスカウンターとレファレンスカウンターでサービスと利用手続き、OPAC(蔵書検索システム)の利用方法も説明された。その後、中央図書館会場では館内ツアーを、四〇四講義室会場ではOPACの実習を行った。
 本年度は昨年の二・五倍にあたる約一三○○名の参加者があり、学生の自学自習で図書館がさらに有効に活用されることが期待されている。

図書館の利用法を説明する職員


バイク安全講習会に一五〇名が参加

 入学式を翌日に控えた四月七日、学生委員会主催で新入生を対象としたバイク安全講習会が行われた。約二七〇名の申込があったが、最終的には一五〇名が受講した。
 今回の講習会は東広島自動車学校に委託し、講演は法学部・経済学部の二五五講義室で、実習と実演は北駐車場で行われた。学生委員会主催としては、昨年の十一月に開催された交通安全講習会についで二回目の講習会。
 今回の実習では、参加者全体が八班に分かれてエンジンをかけたままでのバイクの引き回しや試乗を体験した。また、実際に車両同士をぶつけた際の衝撃を疑似体験した。西条警察署の交通課長も見学に訪れた。

真剣な表情の受講者



事故ゼロを目指して─春の全国交通安全運動

 四月十四日(火)、東広島キャンパスで学生・教職員を対象にした交通安全キャンペーンが繰り広げられた。
 このキャンペーンは東広島市が毎年春と秋の全国交通安全週間にあわせて実施しているもので、東広島市のほか西条警察署、賀茂地区交通安全協会、広島県トラック協会西条分会、そのほか下見婦人会が中心となっている「交通安全母の会」など八団体四十七名と、ミス東広島二名、事務局や各学部の教職員や学生など、合計七十四名が参加した。
 当日は、小雨が降るあいにくの空模様であったが、朝八時三十分から参加者が交通安全の黄色いたすきを肩にキャンパス全域に分かれ、登校する学生たちにチラシ、ティッシュペーパー、ボールペンを配って交通安全を呼びかけた。
 

「交通安全」を呼びかけるキャンペーンの様子



 
訂正とお詫び
 本誌二十九期八号(No.343)四十三頁、ニューズ・ダイジェストの「新入生への宿舎斡旋に外部業者参入」の記事中、「学生部長が事務官となった昨年夏頃、理由、目的が明らかにされないまま生協以外の不動産業者の導入が図られた」という箇所につきましては、事実誤認がありましたので、削除するとともにお詫びいたします。



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