ニューズ・ダイジェスト 

 



評議会だより


大学院医学系研究科保健学専攻博士課程後期
入学式等を挙行


 今春設置された大学院医学系研究科保健学専攻博士課程後期の入学式等が四月三十日、第二期工事の完了した保健学科棟の大講義室において挙行された。
 同専攻博士課程後期は、看護学教育においては西日本で初めての設置、理学療法学・作業療法学教育においては、わが国初の設置であり、全国の教育研究機関等から大きな期待を寄せられている。
 入学式では、原田学長の入学許可宣言及び訓辞があり、引き続き松浦医学系研究科長から挨拶があった。同専攻博士課程後期への入学者数は、定員十七名に対し十八名で、その内訳は一般学生十一名、社会人特別選抜による学生六名、外国人留学生一名となっている。
 同日の午後から行われた記念講演会では、文部省高等教育局医学教育課大室看護教育専門官により「看護教育の現状と課題について」と題した講演が行われ、教官・学生・看護婦等約百七〇名の参加者は熱心に聞き入っていた。
 引き続き記念式典が行われ、松浦医学部長の挨拶に続いて、原田学長等来賓による祝辞が述べられた。
 会場をキャンパス内の広仁会館に移して行われた設置祝賀会では、松浦医学部長及び大室看護教育専門官の挨拶に続いて、梶本広島国際大学長の祝辞の後、テノール歌手としても有名な原田学長が、ピアノ伴奏による独唱を披露するなど、学内外の関係者約百名の参加者全員で盛大に設置を祝った。

入学許可を宣言する原田学長


生物生産学部の矢野助手らに最優秀発表論文賞

 五月十三日、生物生産学部の矢野淳子助手及びベンチャー・ビジネス・ラボラトリーのカリマ・ブベクリ非常勤研究員は、米国シカゴ市で開催された第八十九回アメリカ油化学協会年会において最優秀発表論文賞を受賞した。
 受賞理由は、新規物質であるSRSの物性に関する研究成果が、脂質の新しい機能性を提示したこと及び論文発表方法等が優秀であったことが評価されたもの。

歯学部の竹本助手に奨励賞

 五月二十一日、歯学部の竹本俊伸助手が、日本歯周病学会奨励賞を受賞した。
 受賞理由は、歯周病関連菌Bacteroides forsythusの培養法を開発し、その病原性を動物実験で世界で初めて証明したもの。この研究が、歯周病の研究及び歯周病予防・治療に大きく資すると期待されている。



歯学部の田中助手に奨励賞

 五月二十二日、歯学部の田中良治助手が、日本組織培養学会奨励賞を受賞した。
 受賞理由は、「Wild type KGFR遺伝子移入によるヒト唾液腺由来腺癌細胞の増殖制御」の研究成果を発表し、その内容が高く評価され、優れた研究業績と学会への学術貢献を認められたもの。
 

学校教育学部野外活動で単位認定

 学校教育学部では、教職を志す学生・院生が児童生徒の野外活動の指導に必要な知識・技術・知恵を、実際的な体験活動を通して学ぶ選択科目「野外活動実践」を新設し、国立江田島青年の家で開講した。
 今日、児童生徒の体験学習や野外活動を支えるための力量が教員自身にも求められているが、教員養成系学部がこのような施設と連携して実践的学習を単位化するのは、全国的にも珍しい試みである。
 「野外活動実践」はキャンプの歴史、野外活動の企画と運営等の理論と野外炊飯法、ロープワーク、自然観察法、救急措置法、キャンプの安全管理など実践的技術の両面を実際の活動を通して学んでいく。この授業は広島県キャンプ協会とも連携し、授業履修を通し日本キャンプ協会キャンプインストラクター取得の資格要件をも満たす内容となっている。後期は「野外教育実践」として、実際に自ら野外活動のプログラムを企画・運営し、児童の指導にあたり、教員として必要なより実践的な力量の形成を目指す。現在、定員一杯の五十名が受講し、毎月一泊二日で国立江田島青年の家での研修を行っている。

野外炊飯法の授業を受ける受講生



学校教育学部フレンドシップ事業
「ゆかいな土曜日」はじまる


 五月二十三日から学校教育学部でフレンドシップ事業「ゆかいな土曜日」が始まった。
 「ゆかいな土曜日」は将来教員を目指す学生の資質を高め、児童の豊かな心をはぐくむことを目的に、昨年から始まり、自然体験や文化体験を軸に子どもたちと学生、地域の人々との交流など、休日の土曜日を中心にさまざまな活動を行う。
 今年度の活動は前期・後期各五回で行い、四年生以上の東広島市内の児童がそれぞれ百二〇名と学生約六十名が参加して行う。児童、学生とも参加希望者が多く、一部の人たちには次の機会に参加をお願いしなければならないほどの盛況。
 前期は栽培活動が中心で、すでに学生と児童で餅米、サツマイモ、落花生、こんにゃく芋等の植え付けを終えた。
 後期は稲刈り、餅つき、正月遊び、星座観察等の季節感溢れる内容を計画。
 今年度から、前年経験した学生を中心に学生実行委員会も組織され、事前の研修会や学生が企画・実施する活動もあり、学生自身が主体的に各種の活動に、児童に、そして地域の方々に関わる形が出来始めた。児童だけでなく、学生にもさまざまな自然体験や直接体験の良い体験学習の機会となるだけでなく、学生が自然な形で子どもたちと関わることを通して、少しでも子どもの気持ちや活動、動きを理解できるようになっていくことが期待される。

「ゆかいな土曜日」で田植をする参加者



ペニー彫刻「平和行進曲像」除幕式行われる

 ペニー彫刻「平和行進曲像」(ペニーズ・フォア・ピース)の除幕式が五月二十八日、広島大学附属中央図書館一階ロビーで多数の来賓が見守るなか挙行された。
 この像は、ニューヨークで活躍中の台湾のアーチスト林世宝(Shin pao Lin)氏による制作で、百万枚のペニー硬貨を接着剤で重ね合せ、二年がかりで昨年六月完成させた直径三メートル、重さ三キロの円形のモニュメントである。広島大学創立五十周年記念事業の一環として林世宝氏が本学に寄贈したもので、ニューヨークから横浜経由で本学に搬送されてきた。
 除幕式では、原田学長の挨拶のあと、林世宝氏(製作者)、千宗守氏(武者小路千家十四世)、遠藤継雄氏(エンドウ・フレイト・フォワーダーズ会長)、山本和郎氏(広島テレビ代表取締役社長)、海生能子氏および原田学長の六人で除幕された(本誌二十九期七号四十ページに予告記事)。




佐藤事務次官が東広島キャンパスを視察

 佐藤文部事務次官は、五月三十日に東広島キャンパスを訪問した。原田学長・西村事務局長らの出迎えを受けた佐藤次官は大学を取り巻く諸問題について意見交換後、放射光科学研究センターとナノデバイス・システム研究センターを視察し、センター長らから各施設の概要や研究内容の説明を受けた。翌日には、折から本学で開催された「日本高等教育学会」のシンポジウムにパネラーとして参加し、大学院生ら若い研究者からの熱心な質問も受けた。

説明を受ける佐藤次官(左から二人目)
 


広大相撲部、三位に健闘

 第十六回全国国公立大学対抗相撲大会が五月三十一日、東広島キャンパス広大相撲場で開かれた。
 参加九校総当たりの団体戦は、京大が八戦全勝で十年ぶり四度目の優勝。四連覇を狙った東大は二位。広大(黒田亮平主将=法学部二年)は三位に入る健闘をみせた。新人戦でも広大の林世史基が二位に入った。
 今年は、全国大会の当番校に当たったため、大学の資金協力で土俵を改装した。これまで、まさ土のため、すり足をしただけで足が痛くなる土俵を改装し、経験者から土俵作りのノウハウを学んだ相撲部員が整備した。公式戦用の小俵も埋め込んだ。部員不足から活動休止に追い込まれた時期もあったが、一九九五年に復活。八人の部員は今大会、土俵の改装、大会の運営もこなした。



総合科学部の藤井教授に業績賞

 六月二日、総合科学部 藤井博信教授が、国際水素機能協会業績賞を受賞した。
 受賞理由は、水素と金属および水素吸蔵合金の研究において、ナノ構造化、非晶質化並びにナノ複合化による著しい水素化特性の発見及びそれらの原子レベルでの評価技術の開発に関する顕著な業績が認められたもの。



フレーベル祭挙行される

 去る六月三日、フレーベルの教育精神をたたえ、その偉大なる功績を偲んで、第四十九回フレーベル祭が広島大学附属三原幼稚園で厳かに挙行された。
 今日、学校現場ではいじめや不登校、さらには少年による殺傷事件などさまざまな問題行動が深刻化しているが、そのたびに喧伝されるのが心の教育の重要性であり、多くの場でそのあり方が論議されている。
 こうした時期に「人間に内在している貴いものを顕現していくことが人間教育の眼目である」と主張するフレーベルの教育を見直すことは、誠に意義深いことでもあった。
 祭典内容は、開式の辞・挨拶・祝辞・黙祷・献花・献辞・幼稚園讃歌斉唱・閉式の辞・記念講演であった。今年の記念講演は、三原市出身の加藤繁美先生(山梨大学教育人間科学部助教授)の「その子らしさを育てる保育実践」であった。フレーベル祭は広島県幼稚園協議会(国公立幼と私立幼の連合)が主催で、この会の理事長は本園の園長が歴代引き継ぎ、事務局を本園に置いている。
 現在では広島県を七ブロックに分け、毎年それぞれの地で輪番制で行われているが、そもそもは、一九五○(昭和二十五)年にフレーベル生誕百年を記念して、第一回フレーベル祭を本園にて開催したものが、引き継がれて四十九回に至っている。フレーベル祭が毎年行われているのは全国的にも珍しく、第一回の記念講演者は、故長田新先生と故荘司雅子先生であった。当時広島大学教育学部の長田先生所有の写真の中の一枚を大きく引き伸ばし、それを額に収めたものを現在も祭典写真として使用している。当時は広島大学教育学部と附属三原幼稚園で隔年行われていたようである。来年は因島市で挙行される予定である。




SCS開局記念式典開催

 広島大学二つ目のスペース・コラボレーション・システム(SCS)基地局の開局記念式典が、筑波大学、群馬大学、東京医科歯科大学、東京学芸大学、横浜国立大学、東広島キャンパス基地局を結んで、六月八日に東千田キャンパスの法学部・経済学部三○二号教室をメイン会場として開催された。
 式典に続いて、原田学長による「人間のバランス感覚」と題する講演が、小笠原副学長、茂里副学長ほか教室にあふれんばかりの教職員を前にして行われ、コンピュータ画像を駆使した講演内容が、同時に衛星を通じて全国六大学に配信された。
 SCSは、他大学・研究機関との研究交流はもとより、東広島・東千田キャンパス間の教養的教育科目の遠隔講義のために活用されることが期待されている。
(西谷SCS事業実施委員会委員長)

講演中の原田学長



工学部シンボルマーク決定

 六月十一日、工学部のシンボルマークが決定した。工学部の印刷物やレターヘッドなどに使用される。これは、三月一日を締め切りに公募していたもので、全国から三四六点の応募があった。審査委員会を経て教授会で下の作品に決定した。
 この作品は、HIROSHIMAのHとENGINEERINGのEをモチーフに、全体のイメージとして工学を表現している。

制作者:関口哲也氏(大阪市在住、大阪コミュニケーションアート専門学校学生)



絶滅危機の水生食虫植物ムジナモの大量増殖に成功

 理学部附属植物遺伝子保管実験施設(施設長=近藤勝彦教授)が、絶滅の危機に瀕していたポーランドの水生食虫植物ムジナモの大量増殖に成功し、六月初めに同国の自生地に戻した。
 ムジナモは、モウセンゴケ科の水生植物で茎の長さは六〜二十五センチ。日本では、タヌキの尾に似た形状からムジナモと呼ばれる。欧州では酸性雨などで絶滅が心配されている。日本では埼玉県羽布市の宝蔵寺沼が唯一の自生地で、国の天然記念物に指定されている。世界各地に広く分布しているが、環境の悪化で絶滅の危機にある。
 近藤教授らは、四年前に今回と同様の手法で日本のムジナモを大量増殖させており、ヨーロッパ各地の研究者から増殖の依頼がきていた。今後、イタリアなど各国のムジナモ増殖に取り組む。

ムジナモ
写真は実物大。黒くなっている部分は,虫を消化した捕虫葉



教職を志す学生
地元の「散乱ゴミ追放キャンペーン」にボランティア参加


 教育学部及び学校教育学部では、多様な経験を積んだ人材養成に積極的に取り組んでいる。このたび、地元東広島市が例年主催する環境美化重点地域の散乱ゴミ追放キャンペーンの実施について、一元化した教育系学部事務部からの初の試みとして両学部の学生に案内したところ、教官ゼミやサークル仲間など七十名余りの参加があった。
 当日六月十四日は、あいにくの雨模様の中、地域の人たちと総勢二百人余りでのスタートとなったが、大学キャンパスの周辺道路を中心に空き缶や吸い殻等のゴミ拾いをした。作業を終えた昼前には空も晴れ上がり、参加した学生たちは心地よい汗と地域の人たちとの交流を体験でき、きれいになったキャンパス周辺に満足していた。
 




 
訂正とお詫び
前号(No.344)三十二頁、ニューズ・ダイジェストの「評議会だより」の第五一〇回評議会の教員選考報告で、法学部「助教授 小川秀美」は「助教授 小山秀美」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。


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