世界の大学シリーズ40

クイーンズ大学 カナダ






クイーンズ大学図書館

研究室のあるBotterell Hallの前で筆者。 この銘板はボイラーの煙突をかねている

サウザンドアイランド

市の議事堂

パープルピーポー

リッチモンド教授(中央)とご主人(ご主人もまたクイーンズ大の教授である)右は筆者

凍結したオンタリオ湖上で家族と共に (筆者の後方がBotterell Hall)

  
 クイーンズ大学は1841年にカナダ・オンタリオ州キングストンに設立され,医学部,経済学部,法学部,工学部,芸術学部,教育学部などを有するカナダの名門大学の1つで,その歴史は1867年に正式に誕生した現在のカナダ連邦政府よりも古い。
 私は1996年4月より1年間,クイーンズ大学生理学教室のリッチモンド教授のもとで研究させていただいた。ここの研究室では頸の運動を電気生理学的及び蛍光トレーサーを使って解剖学的に解析している。
 キングストンはトロントの東約250kmにあり,オンタリオ湖がセントローレンス川にそそぎ込む地点にある。人口約10万人あまりのこじんまりとした大学町である。夏場はセントローレンス川一帯に点在する約1,000もの島々を観光遊覧する島巡りの拠点としてにぎわう。ちなみにこの地域は,サラダのドレッシングで有名な「サウザンドアイランドドレッシング」発祥の地としても知られる。
 キングストンは別名ライムストーンの町と呼ばれ,この町特有の石灰岩造りの住宅や教会,キャンパスの建物などが建ち並び,古都の雰囲気を漂わせている。実際キングストンは,一時期カナダ連邦の首都になったこともあり,現在の市庁舎は当時の議事堂である。
 キングストンの町は夏の終わりとともに大きく様変わりする。観光客が去り,学生が戻ってくる9月はじめ,キャンパスや市内は髪の毛を鶏のとさかのように逆立てて,赤や緑や紫などいろいろな色に染めた奇抜なヘアースタイルの若者が目立つようになる。彼らは工学部の新入生で,「パープルピーポー」と呼ばれている。毎年新学期のオリエンテーションの時期によく見られるクイーンズ大学の風物詩の1つである。
 キングストンの四季は実に変化に富んでいる。涼しくて快適な夏はもちろんのこと,メープルの木の紅葉の美しい秋,オンタリオ湖までもが凍結する厳しい冬,実に毎日が新鮮であった。
 
歯学部口腔解剖学第二講座 里田 隆博(さとだ・たかひろ)



 



 

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