学生部門で総合優勝 ソーラー&人力ボートレース全日本選手権大会98 |
八月二十二日(土)、二十三日(日)に浜名湖競艇場で開催された「ソーラー&人力ボートレース全日本選手権大会98」において、工学部第四類 エンジニアリングシステム教室の学生有志らが出艇した、人力水中翼艇「hues 3.0」が、学生部門での総合優勝と学生初の二百メートルスピードレース決勝戦進出、並びに一キロスラロームレース水中翼クラスでの三位入賞を果たした。学生部門総合優勝は四年連続である。 ◇ ◇ ◇ 「夢の船コンテスト」の後を受けて、一九九四年から始まった当競技会への広島大学からの参加は、今年で五年目。 初年度は二人乗り水中翼艇で学生部門で準優勝した。二年目からは一人乗りと二人乗りの水中翼艇二艇を出艇し、学生部門での優勝・準優勝を独占してきたものの、強豪企業チームの壁は厚く、二百メートルスピードレースでの決勝戦進出は長年の夢であった。 今年は、例年学生部門で優勝している二人乗り水中翼艇「Hues 4.0」が舵トラブルでリタイヤするなど、思いがけないトラブルもあったが、新造の一人乗り「hues 3.0」で例年以上の成果を収めることができた。 出艇している艇は二艇ともに水中翼艇である。センターフレーム上に自転車のフレーム部を配し、左右に取り付けられたCFRP製の軽量双胴船体により水面上で艇を支えている。 チェーンにより自転車のスプロケットと連結されたギヤボックスを介し、水面下七十センチに配置したスクリューを駆動する。 加速後、秒速三メートルにさしかかると、艇の前後、水面下六十五センチに設置されたCFRP製水中翼に作用する揚力で、総重量九十二キロ(ドライバー六十五キロ、艇二十七キロ)の艇を離水させ水面上三十センチほどを浮上して高速翼走する。 自転車のフレーム以外は全て手作りであり、艇の軽量化と抵抗軽減、および水中翼の微細な迎角調整が性能を左右する。製作費は一艇約二十万円。教室の卒業生からの募金と「工学部学生おもしろ企画」からの助成金にて賄っている。 今年の製作スタッフは、M2:石原大輔(リーダー)・上田隆治、M1 :上寺哲也・高妻愛親・渡辺幸夫、研究生:菅近直範、四年:岡本 晃・安村亮太郎の八名。例年と比べ平均年齢の高いチームとなった。 例年、ドライバーは、トライアスロン部の学生など脚力に自信のある者に頼んでいるが、今年は適当な者が見当たらず製作スタッフから出すことになった。二人乗り艇を高妻・渡辺、一人乗り艇を安村・岡本が交代で担当。 艇の性能もさることながら、二百メートルスピードレースでの安村君、一キロスラロームレースでの岡本君の頑張りが今回の勝因だったと思う。 当初、「座学で得た知識を体得させる」という教育的見地から、教室が後押しする形で始められた製作活動であるが、現在では経験者を中心に学生主導の形で運営されるようになってきた。 設計・製作・性能評価などトータルエンジニアリングのみならず、組織運営などマネージメントに関する経験をも自然と会得しているようである。今後とも他大学の目標であり続けることができるよう、頑張ってもらいたいものである。
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