2000字の世界(22)

スマートな大学生の方がええで!

文写真・ 西亀正之(Nishiki, Masayuki)
医学部保健学科教授



 平成五年から霞キャンパスの大学生の教育に携わってきたが、毎年四月になると教養的教育を修了した学生が新しく進学してくる。茶髪、ロンゲ、ピアスに膝の破れたジーパン、サンダル履き。このような学生が目に付くたびに、この人たちが将来の医療を担うのかと思うといつも憂うつな気持ちにさせられていた。 若い教官とこのような話をするたびに、「先生は古い。あれはファッションですよ」とくる。そんなある日、構内をスケートボードで走り回る学生をみつけ、どうしようもない怒りを感じた。私が、おじいちゃんなのだろうか。

 さて、広島県医師会速報(一九九八年七月七日発行)に禁煙推進委員の方の次のような記事が掲載されていた。
 「広大医学部構内に時折顔を出すが、第五講義室周辺の道路わきにポイ捨てたばこの多いのが目につく。新しい保健学科本館は全館禁煙となっているのに隣の医学部本館にはその掲示がない。医師を志すものは喫煙御法度、喫煙者は発癌実験に参加している人間モルモット。など教えてもらいたいが、医学の進歩に追いつけないカリキュラムでは禁煙教育などに入りこむ余地はない。…学内禁煙に取り組む大学が増えてきている…早稲田大学では一部キャンパスが禁煙宣言をし、…青山学院大校舎内原則禁煙告示…産能大学の構内全面禁煙・キャンパス内の歩行喫煙禁止…かかる時に広大同窓会誌にサッカー部学生の学内禁煙を訴える記事が載ったことは大いに喜ばしいことであり、病院新築の前に禁煙を中心としたクリーンキャンパスの実現を学生たちが率先して考えてもらいたいものである」。
 この文面に指摘されているように、どこででも座り込む(ジベタリアン)、寝そべる(ネソベリゾク)学生が目立ち、周囲にはたばこの吸い殻、空のペットボトル、空き缶が散乱していた。このように、外部の方に指摘されたことを恥ずかしく思っていた。しかし、私が部長をしている医学部水泳部の部員五十名の内には喫煙者は一名もいなかった。
 さて、このような記事がみられた直後から、構内は突然清掃が行き届き、たばこの吸い殻や空き缶のポイ捨てが見られなくなった。そして写真のような看板(医者の卵ともあろうものがと人々から誹りを受ける前に社会常識を充分にふまえて飲料水の空缶、空ビンの放置やタバコの吸い殻のポイ捨て今日から止めましょうよ)が立てられてからクリーン環境が守られている。
 この日を境に、私のモヤモヤしていた胸中がスッキリした。学生諸君が自主的に行動で示したことを称賛したい。不思議なもので、学生の風貌・服装・態度・礼儀も全て良くなって見えてくる。教育改革、教養ゼミの効果が現われたのであろうか。
 学生諸君、心身ともに清潔でスマートなほうがええで。そして東広島キャンパスも目指す「パークユニバーシティー」に相応しい環境になることを願っている。

 

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