フォーラムギャラリー



「残果」三好達治

友らみな梢を謝して
市にはこばれ売られしが

ひとりかしこに残りしを
木守りといふ

蒼天のふかきにありて
紅の色冴えわたり

肱張りて枯れし柿の木
痩龍に睛を点ず

木守りは
木を守るなり

鴉のとりも鵯どりも
尊みてついばまずけり

みぞれ待ち雪のふる待ち
かくてほろぶる日をまつか

知らずただしは
寒風に今日を誇るか

東広島への統合移転事業が完了という賑わいの年に、当時の法学部長だった辻秀典先生から頼まれて書きました。現在は、東千田キャンパスの新校舎に、ひっそりと飾ってあります。皆が立ち去ったあとをたった一人で守る者に、「しっかり頼むよ、頑張れよ」と言い残す、切なくも凛としたはなむけの詩を選んでいただきました。

島木赤彦のうた二首(1998年日本書芸四月展)

斉藤茂吉のうた三首(1997年正筆展)

日頃の気持ちを公房のことばに見出して(1997年読売展)

良寛のうた

菜根譚シリーズから

写経に心の安らぎを求めていたころ

国宝不動院(墨画は村上敬夫氏)に石川丈山のうたを添えてみる




「筆と仲良く」
      法学部 八木玲子

うれしいとき、
悲しいとき、
怒ったとき、
気持ちはそのまま書面に出る。
しばらく筆を走らせると、
"無心"になる。

細く長く、続けていきたい。

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