学長インタビューNo.29
日時:平成10年10月30日(金)午後2時
場所:学長室
学部間に序列を生まないか?
広報委員=広島大学転学部の取り扱いに関する細則が一部改正され、いよいよ平成十一年度から学生の学内流動化が本格的に始まることになるが、まず改正に至った経緯とその効果についてお聞かせ下さい。
学長=広島大学においては、七・五%の学生が転学部の希望をもっており、また、退学者も増加し(昨年度は一五五名)さらにそのうちの大部分の学生は他大学の他学部へ進学している。これまで転学部は志望する学部の学科等に欠員がある場合のみ可能であったが、今回の改正により一定限度を超えない範囲で認められることになった。
これにより、進路分野の変更希望者に対し救済の道が開け、勉強意欲が高まり生き生きと目の輝いている学生が増え、ひいては広島大学全体の活性化につながるものと考えている。
もちろん、転学部が認められる場合は、学生の適性上転学部させることによりその能力を伸長させることになる、と認められるときであって、また、推薦入学した者は原則として認められないことになっている。
広報委員=人気学部、不人気学部が出てきて、学部間の序列を生む懸念はありませんか。
学長=各学部は普段からの企業内努力が必要である。今は、大学自体の民営化も問題になっているときでもあり、自分のいいところを積極的にアピールしてもらいたい。
「教官ベンチャーシステム」を!
広報委員=転学部により学生定員に欠員が生じた場合の対応があるのでしょうか。
学長=転学部に関しては、一定の歯止めがあるので学生定員の欠員にも自ずと限度がある。欠員が生じた場合の対応の一つとして編入学制度があり、これを活用してもらいたい。これは高等専門学校、短期大学等の卒業生を三年次に受け入れるものであるが、受入れ人数は各学部で決められている。
広報委員=受験生・受験指導者にも少なからず影響を及ぼすことについてはどうお考えですか。
学長=転学部に関しては、認められる人数に制限があり、また試験もあるので必ずしも自由なものではない。また、一方、ライセンスを必要とする医学部等の一部の学部を除く、各学部のアイデンティティは少なくなりつつあり、大学院では学部間の壁はあまりないということも理解してほしい。
広報委員=学部間(学部長レベル)の情報の交換と対応についての協議はどうお考えですか。
学長=まず、学部間の壁をなくすことが重要である。各学部という考えではなく、同じ分野の教官はお互いに共同して切磋琢磨していくべきであって、このためには教官ベンチャーシステムのようなものが必要であろう。
藤越広報委員
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西尾副委員長
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