フォトエッセイ(43) キャンパスの動物

文・写真 木村 綾子(Kimura, Ayako)
大学院国際協力研究科
開発科学専攻
       


ヨシガモ
Anas faicata
 

ヨシガモ:頭が緑色なのが雄(左)、地味なのが雌(右)(日本野鳥の会 広島支部 山室文雄氏撮影)

シジュウカラ:簡単に見ることができる野鳥。学内にて撮影。

ホオジロ:街路樹のてっぺんなど、目立つところによくとまる。

ぶどう池:池の奥に浮いているのがヨシガモの群。

コサギ:普通に見られるシラサギ。ぶどう池の畔で餌を探している。
  
 冬になると、東広島キャンパスの工学部と総合科学部の間にあるぶどう池に、ヨシガモが越冬のためにやって来ます。
 ヨシガモは中型のカモで、雄の頭部は光沢のある羽毛で覆われ、ナポレオンハットのような形状になっています。この頭部の羽毛は光の加減で緑色に見えたり、茶色に見えたり、黒に見えたりします。くちばしは黒、体は灰色でお尻にはきれいなクリーム色が見えます。雌はあまり特徴のない茶褐色です。カモの雌は地味な茶色のものが多く、判別が難しいのですが、たいてい雄と一緒にいるので鳥のことをよく知らない人でも図鑑さえあれば特定することもできます。多くのカモは夏にシベリアで繁殖し、冬を日本や中国の暖かい地域で過ごします。ヨシガモもそういったカモの一種です。
 多くの野鳥が人が近づくのを嫌うように、ぶどう池のヨシガモもたいへんシャイで、平日など人の多いときには、人間が近づきにくい池の北側に隠れています。しかし、早朝や土日には、池の真ん中付近に出てきており、簡単に観察することができます。
 ぶどう池では、ヨシガモの他、カワセミ、コサギ、アオサギなど、水辺を好む鳥も比較的容易に見ることができます。また、池の周辺の林ではツグミ、ヒヨドリ、ホオジロ、シジュウカラなどの小鳥も多く生息しており、手軽にバードウォッチングを楽しむことができます。
 バードウォッチングをする場合、肉眼でも見えないことはありませんが、可能なら七〜十倍の双眼鏡を使用することをお勧めします。この場合、鳥たちを脅かさないよう、物陰から観察することがじっくり鳥を見るポイントです。
 学内では、ぶどう池だけでなく、藤棚のある山中池、国際協力研究科の南にある角脇調整池などでもヨシガモを観察することができます。ただ、これらの池の周りには、ルアーフィッシングの針の付いたルアー(擬似餌)や釣り糸、コンビニのビニールや弁当殻などがよく捨てられているのを目にします。これらのゴミは見た目が美しくないだけでなく、鳥がからまってけがをしたり死んでしまったりする危険性があります。キャンパスの野生生物の負担にならないよう配慮した上で、学内の池でヨシガモをはじめとした野鳥を観察してみてはどうでしょう。


   

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