学校教育学部


『新たなる学びへの旅立ち』

学校教育学部長 高橋 超
 後輩や先生から、「おめでとう」という言葉をかけられながら、皆さん、それぞれの思いを抱いて新たなる人生に向けて広島大学を去ることになります。卒業・修了を迎えて、皆さんの脳裏には大学生活のさまざまな記憶が蘇っていることではないかと思います。
 大学生活の大半は、満足できたかどうかは別としても、「勉強」に費やされ、専門分野に関わる多くの知識・技能を身につけられたでしょう。職業に従事する上で直ぐに役立つものもあるでしょうし、しばらくしてから役立つものもあるでしょう。しかし、「何が起こってもおかしくない」と言われるほどに変化が目まぐるしい時代にあっては、「大学で学んだものが役に立つ」と思わないほうがよいと思います。
 授業やゼミ、研究等で学んだ知識や技術よりも、さまざまな学問との触れ合い、友人や先輩、教官等の人との触れ合いといった、皆さん一人ひとりが「一人の人間として生きている」ことを間違いなく実感できた経験が、何にも代えがたい財産ではないかと思います。
 広島大学での生活の中で蓄えた財産を元手に、これから始まる新しい人生の中で、皆さん一人ひとりが「一人の人間として生きている」ことを実感できる新たな学びを創造してください。その場は、職場とか家庭といったものではなく、皆さん自身の中にあるということを忘れないで下さい。
 最後に、卒業・修了される皆さんがそれぞれの生活の場で二十一世紀を支える担い手になられることを期待します。

 

『修了する私』

大学院学校教育研究科 有田 哲也
 私は六年間油絵を専攻した。その間、自分の絵画とはどのようなものかを模索し続けた。また学校教育の中での美術教師とは何か、私の目指す教師とは何かも考えた。だが高校の非常勤講師をするようになってみても、フリーターが当然のような世代の私にとって「生きる力」や「学ぶ力」は、なんら実感の湧くものではなかった。
 そこで私は青年海外協力隊の試験に応募した。今夏、アフリカのジンバブエという平均寿命四十歳代の国の人口約四千人の村に美術教師として派遣される。現地の人と全く同じ生活ではないだろうが、「生きぬく」状況に身を置いたそこでの体験を、日本の子どもたちに何らかの形で伝えることができたら嬉しい。今が楽しく将来が楽しみだ。

 

『ラーメン倶楽部』

学校教育学部 前田 徹
 大学に入ってラーメン好きの男四人が偶然にも出会った。そして全国のラーメンを食べ歩こうとラーメン倶楽部を作った。しかし四年間に全員で食べたラーメンは十回に満たないほど。広島より東には行ったことがない。その中で一番おいしいラーメンは全員一致で北二のラーメン。おばちゃんの笑顔もおいしさに拍車をかけた。
 このラーメン倶楽部、ラーメン以外のことでよく結束した。印象に残っているのが、私の野球の試合の応援に下関まで駆けつけてくれたこと。試合中に球場で花火を鳴らされたのには正直びっくりした。でもあの時の応援歌と感動は一生忘れない。名ばかりのラーメン倶楽部が私にくれたプレゼントは、かけがいのない友だった。いつか四人でラーメンの全国食べ歩きをしたい。

ラーメン倶楽部の友人と(筆者左から2番目)
 

 

『根気・元気・呑気』

特殊教育特別専攻科 豊本 奈美
 昔々特専には『三気会』という会がありました。三気とは『根気・元気・呑気』の三つの言葉からとったものです。
 この三気は、私たちの心の中にしっかりと根を張っています。その証拠に、(一)『根気』・・・飲み会を昼三時頃〜夜半過ぎまで開催。(二)『元気』・・・教育実習直後の疲労困憊日曜日に皆で山登り。(三)『呑気』・・・修論提出前日"わいわい"ボランティアに参加。これくらいで控えておきますが、私たちの三気は圧倒的な強さだったと思います。これからも特専で培った『根気・元気・呑気』を忘れずに励まし合っていきましょう。いつか「障害がある子供の教育研究会」で会えたらいいですね。
 最後になりましたが、船津先生をはじめお世話になりました先生方に、心から感謝申し上げます。

昇地三郎先生の自宅にて(筆者左から7番目)
 

 



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