世界の大学シリーズ45

フローニンゲン大学 オランダ王国









写真1 マティーニ教会のタワー。らせん階段で一番上まで上がれるが、翌日は筋肉痛

写真2 フローニンゲン大学の本部。学位の公聴会はここで行われる。

写真3 フローニンゲン大学病院の全景。滞在する2か月前に完成したばかりで、構内には電気自動車が走り、カルテの完全電子化が行われていた。

写真4 研究室のメンバー。(左より)Boering教授、karin, Yvonne, de Bont教授

写真5 (右より)Dr.Bos, Jan-Paul, von Oort、Nauta

写真5 (右より)Dr.Bos, Jan-Paul, von Oort、Nauta

  
 フローニンゲン大学 Rijkuniversiteit Groningen(RuG)はオランダの北部,フローニンゲン州の州都フローニンゲン市にあります.町の中心には,1482年に完成した高さ97メートルのマティーニ教会のタワー(写真1)が500年以上も鎮座し,その鐘の音楽はどこからでも聞くことができます。気温は夏でも20度前後,冬の厳しさは広島とは比べものになりません。オランダと言えば,チーズやチューリップが連想されますが,自転車王国でもあり,スケート,サッカーも盛んです。
 RuG本部の建物(写真2)は,町の中でも一際大きな建物で,ヨーロッパ中から多くの学生が学んでいます。RuGの創立は1614年。ちょうど,『デ・リーフデ(博愛)』号が1600年4月19日に九州の臼杵海岸に着き,家康から日欄交易が許された時期と相前後します。私は,このRuGの医科病院(通称AZG,写真3)の顎顔面口腔外科で,de Bont教授とBoering教授の下で研究させていただきました。ここでは顎関節の変形性関節症に関する独創的で息の長い研究を行っており,人工関節の開発も手がけています。多くの事を学ばせていただきました。
 ある日,研究室のメンバーの結婚記念パーティに出席した時のこと,定刻に行くと誰もいません。定刻に集まる日本人の特徴を曝け出してしまいました。また長野オリンピック期間中は,AZGの食堂はJapanese Weekと題し,ちょっと妙な日本食が食べられました。オランダ人の特質は「寛容性」とされ,また,衣食住の中では「住」に重きを置き,「衣」や「食」に浪費する日本人とは価値観が異なります。また日本との400年という長い歴史的交流からでしょうか,研究室に扇子が飾られていたり,電灯が提燈型であったりしたのには驚きました。
 2000年は日欄修好400周年の節目にあたり,両国間ではさまざまな記念事業の準備が進行中だそうです。
 
歯学部 歯科矯正学講座 小澤 奏(おざわ・そう)



 

 

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