Are we passed ? 経済学部長 前 川 功 一 みなさんは、ここに人生の大きな節目である広島大学入学という新たなスタートラインに立ち、一斉に飛び出そうとしています。まずは前途を祝して「入学おめでとう」とエールをおくります。ぜひ今の気持ちを持ち続け、四年後にはいま抱いている夢や希望を実現して卒業して下さい。 ところで最近、世間の大学を見る目には厳しいものがあります。大学ランキングがいろいろな雑誌で特集されるのも、このような風潮を反映しています。みなさんも目にされたことがあるかもしれません。中には興味本位であったり、偏っていたり、とてもまじめに取材したとは思われない内容のものもあります。 評価は、教育設備、教育内容、教官の研究内容、卒業生の進路、企業から見た卒業生に対する印象などによって行われることが多いようです。これらの評価(風評レベルのものも含めて)に振り回されるのはよくありませんが、どんな内容であれ、いったん公表されてしまうと評価は一人歩きを始めますから良い評価を得ておくことが大切です。そうなるためには教官と学生がともに経済学部を良くしようと意識的に努力することが大切です。 われわれ教官は、学部をよくするために、いろいろ改革を行っているところです。みなさんも学生の立場から学部をよくするためにどんな貢献ができるかを考えてみて下さい。 一つだけヒントを与えましょう。それはよく勉強することです。そして教官に「こいつは自分よりできるのではないか」と思わせるような、よく考え抜いた鋭い質問をすることです。サミュエルソンというノーベル経済学賞を受賞したアメリカの学者がいます。彼がハーバート大学に提出した学位論文があまりに優れていたので、審査員の一人の、これまた超一流の経済学者シュンぺーターは、「Are we passed?」と言ったという逸話が伝えられています。つまり審査委員のほうが「(サミュエルソンの高い水準に対して)われわれは合格したか」と言ったわけです。 こういう学生がいる大学の教官はおちおちしていられません。アメリカの超一流大学の水準が高い理由の一つはこれだと思います。みなさんも経済学部教官に「Are we passed?」と言わせてみてください。そうすれば必ず、経済学部は今以上に知的刺激に満ちた活気のある学部になるでしょう。 |
新入生の皆さんへ 社会科学研究科経済学専攻博士課程後期3年 Tee Kian Heng(ティー キャン ヘン)
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。 皆さんにとって、大学は最後の学生生活であり、社会に出る前段階でもある。私の国では大学へ行きたくてもいけない学生が大勢いる。また、大学の設備もよくない。皆さんは優れた環境、設備の中で勉強できることはとても恵まれていると思う。 しかし、このすばらしい環境の下で、今までのほとんどの大学生は勉強に関して空白の四年間を過してきたことはとても残念に思う。何も考えず、自分の意見さえ持てない四年間の大学生活を過した学生は多くいた。 今までは会社に入ってからやり直すことができたが、今の大学生の就職は超氷河期と言われている時代である。また、会社も激しい競争時代に突入している。弱肉強食の社会に生き残るためには、会社はできるだけ有能な人材を欲しがるはずである。これからの時代は能率によって賃金が支払われる時代となり、大学で学んだことや、しっかりした考え方を持っていると、就職にも役に立つと思う。 そこで、新入生の皆さんには遊びに大学に来るのではなく、勉強しに大学に来る意思を持って充実した大学生活を送ってほしい。そして、自分の意見を持ち、よく考えてから行動し、周りにながされないようにしてほしい。また、広島大学は外国の大学との交換留学生制度があり、これを利用して外国の大学生活、文化を経験し、自分の視野を広げてください。
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