理 学 部
情熱をもって有意義に
理学部新入生と大学院理学研究科新入生を迎えるにあたり、松浦博厚理学部長、西谷弘子さん(理学研究科博士課程前期化学専攻二年)、間下悟志君(物理学科四年)の三人に集まってもらい、新入生へのメッセージを語ってもらいました(広報委員・藤越)。
まず楽しく学ぼう
松浦:
新入生の皆さんは、これまでに学んだこと、身につけたことを踏み台として、より大きな飛躍を目指して入学してきたことと思います。理学部では、自然科学の基礎を学ぶとともに、専門以外のいろいろな知識を身につけて、社会人として必要なバランス感覚を養ってもらいたいと思います。大学院では、さらに高度な専門的研究活動をとおして、研究者として一人前の仕事ができるように励んでもらいたいと思います。新入生の皆さんはそれぞれ目標をもって入学してきたと思いますが、先輩のお二人はどのようなこころざしをもって入学し、今どのように大学(院)生活を楽しんでいますか。
西谷:
私は高校時代から化学が好きで、化学の奥底まで知りたいと思い大学に入学しました。化学の面白さは講義や実験をとおしてますますふくらみ、大学院に進学して一線級の研究に携わってみたいと思うようになりました。大学では、化学を学ぶだけでなく、サークルやアルバイトなどで多くの人との出会いがありました。特に大学院に進学してからは、一日の大部分を研究室で過ごすので、先生方や先輩達と家族的な雰囲気を味わうことができます。
間下:僕は小・中学生のころから、テレビの科学番組をよく見ていました。高校になると科学者の自伝やエッセイを読むようになりましたが、特にホーキング博士の語る言葉がとても刺激的に感じられました。ですから大学に入ると、とにかく相対性理論を勉強しようと考えました。それでも一年生の間は、興味のあることは何でもやろうと思っていたので、バイオリンを始めたり、海外旅行に行ったりで、とてもエネルギッシュな一年でした。
松浦:私も小学生のころから子供向けの科学雑誌を愛読し、模型を作ったり、ラジオを組み立てたりしていました。ずっと理系志向で、高校時代も早くから理学部に入学することに決めていました。化学科に入学し、以来四十年間にわたって、分子が織り成す世界の精密さと柔軟さに魅せられています。
ところで、お二人は大学(院)に入ってから、それまでとは違う新鮮さや理学を学ぶよろこびを感じたことと思いますが、間下君から話して下さい。
理学を学ぶよろこびを
間下:二年になって、同好の士を募って、相対性理論や量子力学などの勉強会を始めました。お互いの刺激になりとてもいい経験でした。三年の物理学実験では、物理学というものを実感として感じ取ることができました。僕の場合は、前から興味をもっていたミューオンの寿命や放射性元素の崩壊について理解を深めることができました。
西谷:大学院では、学部の頃とは違って今までにわかっている知識をただ学ぶのではなく、自ら新しい事柄を発見していこうとする意気込みが必要です。私の研究は、生理活性物質を合成することですが、自分で勉強して研究を進めていくということはかなり大変なことです。でもこれによって新しいことが発見できたときはこの上ないよろこびです。研究成果を学会や国際誌に発表したときの感動も大きく、次のステップへの大きな原動力となりました。
松浦:理学部では、基礎科学の各分野について、「理」という字が意味するとおり、物事のすじ道を論理的に理解できるように、実験、実習、演習などを積極的に取り入れて教育を行っています。しかし、理学を学ぶよろこびは、ただ漫然と勉強するだけでは味わうことができません。情熱をもって取り組んでいくことが大切です。西谷さんや間下君が語ってくれた言葉は、情熱をもって入学してきた皆さんの気持ちにきっと共鳴することでしょう。有意義な学生生活をおくってください。
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