情報教育研究センター 



一年生のみなさんへ

 西図書館の階段を登って玄関ホールに立ってみましょう。正面のガラスのドアの右側にひっそりと鉄の扉があるのを知っていますか?
 この扉をくぐったところにあるのが情報教育研究センターです。一年生のみなさんは、ぜひここに来て、全員が自由にコンピュータを使いこなせるようになって下さい。「私は文系だから、コンピュータなんて関係ない」などと言ってはいけません。現代では、コンピュータ、特にネットワークにつながったコンピュータは、知的な大学生活を送るための必需品なのです。
 広島大学の一年生のみなさん全員が、ワープロでのレポート作成、電子メールでのコミュニケーション、WWWを使って情報を集めたり、発信したりといった学生生活に必須の基本的な力を付け、さらに将来高度な情報メディアを利用することができるように情報教育研究センターが作られ、二年前から活動を始めました。「情報教育研究センター」という名前が長くて舌をかみそうなので、英語名Research Institute for Information Science and Educationの語頭を取ってRIISE(リーゼ)と呼ぶ人もいます。
 センターには、演習室、自習室(オープンスペースラボ)、マルチメディア・ラボ、準備室があり、平日は朝九時から夜九時まで、土曜日は朝九時から夕方五時まで開いています。この五月からは西図書館の三階にも自習用端末スペースが開設されました。ではセンターの中を一巡りしてみましょう。

 演習室 

ここは主に授業をする部屋です。九十四台のネクストステップ(NEXTSTEP)というオペレーティングシステム(OS)を載せた端末があり、授業時間以外は自由に使えます。入学の時に渡された「コンピュータネットワークへの招待」を片手に利用してみてください。コンピュータの経験が全く無い人でも必ず使えるようになります。入学の時に学生証と一緒にもらったパスワードが必要です。情報活用演習、情報活用基礎の実習の授業がここで行われます。

 自習室 

演習室の隣にあり、いつでも自由に使える空間、オープンスペース・ラボです。ネクストステップ端末が二十台、貸出用のノートブックが二十台用意してあります。このノートブックにはリナックス(LINUX)というOSが搭載されていますが、どちらも同じパスワードで入ることができますし、電子メールや作成したファイルも共通に使えます。自由閲覧室として使ってもかまいません。

 マルチメディア・ラボ 

ここには、ビデオ編集装置、ミディ(MIDI)関連機器、ポスタープリンターなどがあります。一年生のみなさんがガイダンスで見たセンター紹介ビデオも、あとで紹介するSAの人たちによってここで作られました。

 準備室 

センターのスタッフがいつでもいます。使い方が分からない、動かなくなってしまったなど、何でも質問に来てください。こんな初歩的なことを聞いたら怒られたり、笑われたりしないだろうか、という心配はここでは無用です。また、準備室ではデジタル・カメラの貸し出しも行っています。ホームページに写真を取り込んだりするときに利用してみましょう。

 三階情報教育端末コーナー 

二階の情報教育研究センターだけでは端末が足りず、しばしば行列ができてしまうので、新しく三階にもコンピュータを利用できるオープンスペースができました。ここには、十台のネクストステップ端末、三十五台のリナックス端末、そしてマッキントッシュとスキャナーなどから成るマルチメディア・コンテンツ作成システムがあります。ここで分からないこと、困ったことがあった時は、窓の側にある「遠隔コンサルティングシステム」のボタンを押して下さい。二階の準備室のスタッフがテレビ画面を通して相談にのってくれます。また、このスペースのビデオ映像をキャンパス内のどこからでも見ることができます(http://real.riise.hiroshima-u.ac.jp/ramgen/encoder/n3f)。(実は新しい試みで調節中なので、うまく動いていないことが多いのですが…。)混み合っているかどうかのチェック、友達がいるかどうかの確認などに利用してください。

 SA 

「SA」と書いた標識を端末の上に立てて仕事をしている人がいたら、それがSA、スチューデント・アドバイザーの人たちです。ボランティアで、利用者の質問に答えたり、いろいろなセンターの仕事を手伝ってくれる学生さんたちです。現在、青山武司(法学部三年)、北臺如法(理学部三年)、國田祥子(教育学部三年)、築地聡子(総合科学部三年)、槌本裕二(理学部三年)、藤原至(工学部三年)、藤原裕久(工学部三年)の七名です。マルチメディア・ラボに深夜までこもっている人もいます。

情報教育センター見取り図

情報教育センター紹介のビデオの一画面
 このビデオは、台本、撮影、妖精のコンピュータグラフィック制作、編集、すべてSAの人たちによってマルチメディア・ラボで作られました。




マルチメディアコンテンツ作成システムでは何ができるの?

 西図書館三階の第二オープンスペースには、マッキントッシュ(Mac)が四台おいてあります。これらのMacはネットワークにつながっていないので、電子メールを作ったり、ホームページを見たりすることはできません。では、何ができるのでしょうか?
 センターのMacは、コンピュータ上で何かを「創る」ように構成されています。例えばイラスト。ペン・タブレットという装置を使うと、ペンで紙に書くような感覚でコンピュータに図を入れることができます。また、イラストレータ(Illustrator)というプログラムが全部のMacに入っていて、これを使って精緻なイラストを編集できます。
 Macに接続されたフラットベッドスキャナ(図や写真を読みとる装置)やフィルムスキャナー(写真のフィルムを読みとる装置)を使って写真やイラストを取り込み、さまざまな加工を施すことも簡単です。
 ページメーカー(PageMaker)というソフトウェアを利用すると、雑誌のように凝ったレイアウトの文書を手軽に作成できます。作成した文書は、アクロバット(Acrobat)というソフトを使って、いろいろなコンピュータ上で表示させることができるPDFファイルとして保存できます。ディレクター(Director)というソフトウェアでは、マルチメディアを活用した作品を作ることができます。作った作品はCD―RでCDに焼くこともできます。二階のマルチメディアスタジオの二台と都合六台のMacがあり、それぞれ異なったソフトウェアが入っています。詳細な構成はセンターのホームページ http://www.riise.hiroshima-u.ac.jp/Library/RIISE-Comp/macintosh/を御覧下さい。

3階情報教育端末コーナー




リナックス(LINUX)端末

 一年前のある日、H大学情報教育研究センターでのお話です。

猿田くん:「学生がアンケートで、なぜここではウインドウズではなくて、あまり聞いたことがないネクストステップというOS(オペレーティングシステム)なんですか、と言っているよ」雉子さん:「あら、私ネクストステップは大好きよ。初め何も知らなかった私でもすぐ使えるようになったし。他のOSに比べて、画面のセンスもいいし」
犬神くん:「マッキントッシュのアップル社を作ったスティーブ・ジョブズが、アップルを出て理想のOSを追求して作ったのがネクストステップだからね。ウインドウズがバージョン2.0か3.0という時期に、オブジェクト指向、ポストスクリプトをベースにしたグラフィック・ユーザー・インターフェース、直感的に使えるアプリケーションを持っていたのだから、世の中より十年は進んでいたね。それに、うちのように数千人規模のユーザーがいるところでは、UNIXをベースにしているというのは管理上本当に安心できるからね」
雉子さん:「SAのK君も、ネクストステップの上ですばらしいソフトウエアを書いているけど、他の環境は彼の美学では使う気にならないみたいね」
猿田くん:「そうなんだけど、ネクストステップはバージョン3.3Jで開発が終了してしまったし、MacOS Xに引き継がれると言われてもいつ出るのか分からないし。なんといってもユーザーが不満を持つのは、ホームページ閲覧のためのWWWブラウザがJavaを初めとする最近の技術に対応していない点だね」
桃唐先生:「そうか、ネクストステップも替え時か」
雉子さん:「うわ、先生、急に後ろから現れて話に割り込まないで下さいよ。それに、ここは有名な『広大フォーラム』ですよ。先生は『センター便り』にしか登場しないはずじゃあ」
桃唐先生:「最近、私は学外の雑誌にだって登場するんだぞ。エヘン!」
猿田くん:「突然、変なOSに全部変えようとか言い出さないで下さいよ。使いやすさ、セキュリティーといろいろ考えないといけないんですから」
犬神くん:「でも、リナックスなら、信頼性も高いし、初心者用に我々がいろいろ手を入れることもできそうだよ。表計算を初めとする商用ソフトもいろいろ出始めているし」
桃唐先生:「そうか、分かった。電話を貸せ。もしもし、鬼ヶ島電気販売さんですか。H大学の桃唐太郎です、お世話になっております。今度うちでリナックスの端末を二十台ほど入れたいのですが。何、商用ではないフリーのものは対応できない?馬鹿者!!」ガチャン!

 一年ほど前に情報教育研究センターが導入してみようと思ったときは、いろいろ困難がありましたが、最近はリナックスはすっかり有名になってしまいました。
 センターではネクストステップと同じように初心者の人でも楽に使えて、かつセンスの良い広大独自バージョンを作っていきたいという夢を持っています。ネクストステップとリナックスが混在しているので、少し戸惑うかもしれませんが、これから分かりやすいマニュアル類の整備も行っていきますので、ぜひご利用ください。



情報教育研究センターの研究教育支援

 情報教育研究センターは、センター長(併任)、教授一、講師一、助手二の小さな世帯で、また設立から日も浅いので、教育・研究支援のためにどのようなことができるのか模索を続けています。現在以下のような活動を行っていますが、学生、教職員の皆さんの声を聞き、また進歩の速い情報技術の動向や、社会の動きを眺めながら、よりよいサービスが提供できるように試行錯誤しながら活動していきたいと思っております。
一 演習室の授業支援
 教官の方にはそれぞれの専門で磨いたコンピュータの使い方を授業で教えることに専念していただき、演習のための教室の世話はセンターが行う、というのが情報教育研究センターの現在の方針です。演習室で授業中に端末が動かなくなった、マイクの使い方が分からない等、機器のトラブルはセンターのスタッフが飛んでいって対応いたしますので、安心して授業を進めてください。センターの機器に合わせたテキスト「コンピュータネットワークへの招待」も準備しています。
二 マルチメディア教材作成支援
 これからの授業には、多くの分野でビデオが取り入れられていくと言われており、センターでも少しずつ経験を積み重ねております。これまでの経験をもとに、撮影に必要と思われる器材(デジタル・ビデオカメラ、マイクと受信装置、ライト等)をまとめてお貸しできる体制を準備しています。また、ノンリニア・ビデオ編集装置、MIDI関連機器もマルチメディア・ラボの中に少しずつ整備を続けています。興味のある教職員の方はご相談ください。
三 研究支援
 学会でのポスター発表の時など大きな紙に出力できるプリンターは威力を発揮します。このたびセンターのマルチメディア・ラボにBゼロサイズまで出力できるカラープリンターを導入しました。また、科学技術分野の計算結果の可視化ソフトの標準であるAVSのネットワーク・ライセンスを一本準備しています。これは、学内ランに繋がった研究室のWindowsにAVSをインストールして利用していただくものです。利用についてはお気軽にセンター受け付けへお問い合わせください。

B0プリンターとプリント例

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