ニューカッスル・アポン・タイン大学との 学部間協定(5年間)と 科研〈国際学術研究〉(3年間) |
交流の蓄積とその成果 五年前、歯学部には学部間協定は皆無で、無いというのもよくないという理由で、かねてから交流もあった大学の一つから、交流協定を締結したのがニューカッスル・アポン・タイン大学歯学部であった。交流協定の窓口はマッケーブ教授と私で、共にバーミンガム大学同窓である。こんなわけで、協定そのものは歯学部に看板を添えたという程度であったが、実質の交流はこの五年間、十分密であったといえる。 幸運なことに、形式にしか過ぎないと思っていた交流協定のおかげで、三年間文部省科学研究費補助金(国際学術研究)を受けたので、通常の交流にさらに拍車をかけることができた。 我々は、もともと三つの交流の糸を持っている。一つはIADR(国際歯科研究学会)という国際学会で年一回は会い、交流している。もう一方はISO(国際標準化機構)の歯科部門(ISO 106,TC2,WG2)で義歯材料の国際規格の研究をしている。これは一九九三年から今でも継続しており、世界中で、わずか三〜四か所で担当するラウンド ロビン テストの両翼をニューカッスル大学と広大で受け持ち、さらに年一回必ず国際会議で一週間を過ごしている。そして、三つ目は、バーミンガム大学の系統をひく、義歯材料の研究で、今回の国際科研は具体的にはこの研究をサポートしてくれた。 期間中、人物往来、E-mail, Faxも盛んで、国際科研はとりあえず終了してもIADR, ISOのラインと共に今まで以上に学術交流を発展させなくてはならない。 期間中のビッグニュースは一九九八年度IADRの最優秀科学者賞にマッケーブ教授が、一九九九年度には私が選ばれ、それぞれニース、バンクーバーで受賞した。マッケーブ教授は工学出身の材料研究者であり、私は臨床系であり、お互いに補い合える、世界でも今、最強のパートナーといえるだろう。
幸運に感謝 以前、本フォーラム(No.338,1997.10.1)に、交流協定は縁談にも喩えられるとの報告があったので、それに従ってみると、我々は元々、同棲していたが世間体を考え入籍してみた。すると、国の方針でたまたま科研を受け、地域振興券のように本当に幸運といえる。もしも科研が切れても、籍(交流協定)がどうであれ、今までどおり、いや、もっとうまくやっていくだろう。―――国際交流というものの一つの実態としてご理解いただければ十分である。国際科研がわずか数年で基盤研究に包括されることは、国でも何か感じることがあったと推察する。別表の派遣人員の推移をみるかぎり、学部間協定に基づく人物交流については、科研の財政援助の効果の大きさがわかる。―――重ね重ね我々はラッキーであったといえる。感謝。感謝。 参考 広大フォーラム No.318,No.338 別表 ニューカッスル・アポン・タイン大学との交流実績(協定締結前後)
交流協定期間中の関連論文発表(共同)22(3)件 学会発表(共同)24(1)件 関連製品の開発件 2件 ラウンドロビンテスト 2件 交流協定(1994.9.1から5年間) 国際科研(1996.4〜1999.3の3年間) |