身体等に障害のある学生に対する期末試験における特別措置 

学部教育運営委員会(現 部局長会議)



学習条件の整備の一環

 身体等に障害のある人が、社会において、障害のない人と共に生きていくということは、社会参加のあらゆる機会が平等に与えられることを意味します。
 この「平等」とは、ただ物理的に同じ条件(同じもの、同じ方法、同じ時間)を用意するということではありません。一人ひとりの障害の種別や特性を考慮して、その障害に起因する不利益を補う配慮をしてはじめて「平等」になるのです。
 広島大学は、このような基本的姿勢のもとに、身体等に障害のある学生が大学における勉学・研究をはじめとする学生生活において、他の学生と平等な条件を提供するための整備をすすめています。
 その一環として、「身体等に障害のある学生に対する期末試験における特別措置」について、昨年度より検討してきましたが、本年三月二十三日の学部教育運営委員会で承認されました。
 本年度前期期末試験から適用されますので、その概要を紹介します。


特別措置の対象者

 次のいずれかに該当する学生が対象になります。
(1) 入学試験(大学入試センター試験を含む)において特別措置を講じた者
(2) 身体障害者手帳の交付を受けている者、あるいはそれと同程度の障害のある者
(3) 通常の授業の様子から、担当教官が特別措置を必要と認めた者


特別措置の内容・方法

 以下の内容・方法を基準とし、具体的には、当該学生及びチューター(または指導教官)と授業担当教官が協議して決めます。
【障害種別に共通の措置】
・必要に応じて、試験時間を延長する。
・出題形式や解答形式、試験時間の延長により、必要があれば、別室で行う。
【視覚障害者(点字使用者)】
・出題形式は、1.点字、2.普通文字の読み上げ、3.録音テープの再生、4.フロッピーディスク、などによる。
・解答形式は、1.点字、2.口頭、3.テープ録音、4.ワープロ、などによる。
・出題形式と解答形式のそれぞれ@〜Cは、さまざまな組合せを可能とする。
【視覚障害者(弱視者)】
・希望があれば、問題用紙や解答用紙を拡大する。
・必要性に応じ、弱視レンズ、拡大読書器、補助照明器具等の使用や、ワープロによる解答を認める。
・窓側の明るい座席を希望する場合は、その座席を保障する。
【聴覚障害者】
・問題用紙に印刷されない、口頭による説明がある場合は、紙に書いたものを渡すか、黒板に書く。
・試験開始・終了の指示が明確に伝わるようにする。
・必要に応じて、手話通訳者を配置するか、筆談によるコミュニケーションを図る。
【上肢機能障害者】
・解答形式は、1.ワープロ、2.口頭、3.テープ録音、4.代筆、などによる。
・自筆解答の場合は、必要に応じて、解答用紙を拡大したり、自由記述様式などによることも可能とする。
【体幹機能障害者】
・座位を保つことが不可能または困難な場合は、別室において、受験しやすい状況を設定する。
・解答形式は、必要に応じて、上肢障害者に準じて配慮する。
・必要に応じて、介助者の同席を認める。
【その他の障害者】
・前述の障害種別に該当しない者に対する特別措置は、前述の措置に準じて配慮するか、あるいは当該学生及びチューター(または指導教官)と担当教官が協議して、配慮の内容・方法を決める。
・前述の障害を複数併せもつ者に対しては、それぞれの障害種別による措置を参考にしながら、当該学生及びチューター(または指導教官)と担当教官が協議して、配慮の内容・方法を決める。


特別措置の申請

 特別措置を希望する学生は、措置を受けようとする試験科目の実施学部の教務係に、原則として試験日の三週間前までに申請します。(ただし、点字による出題、または代筆による解答を希望する場合は、原則として四週間前までに申請)


問題点の是正

 特別措置を実施してみて、新たにいろいろな問題点が出てくることが予想されます。学生、教官からの指摘を集約して、さらに改善を図る予定です。





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