二十七年後の決算報告

文・ 岡 千代子(Oka, Chiyoko)
 工学部庶務係   (元「学内保育所を作る会」会員)



 広島大学がまだ広島市の東千田町にあった昭和四十七年、有志が集まって「学内保育所を作る会」を結成しました。学内に保育所があれば、結婚し子供を育てながら働くことの困難さが、少しでも解消されるのではないか、と考えてのことでした。
 教職員組合の助けも借りながら、大学と交渉を重ねました。その間、自分たちでもその資金を準備しようと、毎週卵の販売をしたり、大学祭ではバザーに出店したり、年末にはみかんの販売等をしました。
 しかし種々の困難から、結局保育所はできることなく、「会」は活動を停止していました。資金だけが残りました。
 平成十年の春、広大に在籍している会員たちの間で、この会を正式に解散しようということになりました。広大に残った人、離れた人、さまざまですが、その子どもたちも、はや成人になっています。このままではいけないと、資金の行き先を定めることにしました。残っていた記録等を頼りに、全国に散らばった人たちに手紙を出して、相談しました。
 その結果、みんなの声を集約して、積み立てていた資金を、寄付することにしました。高金利の時代もあって、それは平成十年秋には二八○万円近くになっていました。具体的な寄付先を決定することは困難な仕事でしたが、最終的に、ネパールの学校建設・さくらんぼ病児保育室・外国人留学生を援助する会・教職員のアンケート集計報告書印刷に、寄付いたしました。
 「会」には、広大の教職員の皆様、その御家族、友人たちの有形無形の援助をいただきました。ここに改めて御礼を申し上げますとともに、このように資金を活用させていただいたことを、御報告いたします。





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